昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

運動会当日

◎10月7日の記録 

 リタリン  1回目 8:00  2回目 11:30
 
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いよいよ、運動会当日が来た。
これまで昇平が練習してきた成果が見られる。
私と義母、それに半日仕事を休めた旦那の3人は、運動会の格好の昇平と車で保育園へ向かった。
お兄ちゃんは、「ぼくも見たかったな〜。写真たくさん撮ってきてよ」と、未練たっぷりで登校していった。

保育園の園庭は、どこもあまり広くないのが普通。(たぶん、大人の目が行き届くように)
その大部分は競技の会場になるので、親は端の方にシートを敷いたり、立ったりして競技を眺めた。
単純計算しても、保護者が150人以上はいたのだけれど、よくそれだけの数が入っていたな、と思うくらい、観客席は狭い。私たちもずっと立ちんぼうで眺めていた。

9時。花火の合図と共に、子どもたちの入場行進。
昇平は? いたいた。ほら、まき子先生に手を引かれて、クラスの列の一番後ろにいるよ。
ちゃんと歩いてる〜。開会式の間は、先生に手を握ってもらわなくても、ちゃんと自分の場所に立っている。ふらふら出歩いたりしないし・・・
前で行われている開会式を、興味を持って眺めている様子はないけれど、ちゃんと立ち続けているし、国旗掲揚の時には、旗の方を見上げている。
あらぁ、とうとう最後までしゃがみ込んだり、砂遊びしたりしなかったわ!
すご〜い!

実は、昇平、それまでの練習では必ずと言っていいほど、開会式、閉会式でしゃがみ込んでしまっては、砂遊びをしていたのだ。
今回も、待ち時間、園児席ではさんざん砂にお絵かきをしていたが、他の子どもたちも退屈紛れに砂遊びを盛んにやっていたので、それはまるで目立たなかった。
開会式のあとで、まき子先生のそばに行ったら「昇平くん、ずっと立っていられましたねぇ!」と、先生も嬉しそうだった。

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一番目の演目はかけっこ。

これが最初に来ているのだから、親も時間に間に合うよう、必死で来るわけ。(笑)
あっちからもこっちからも声援が上がり、ビデオカメラが回り、写真のシャッターが切られている。
もちろん、私も写真を撮った。(^^)

昇平、「よ〜い、ドン」で鳴らされるピストルの音が大嫌い。
スタートラインではいつも耳を押さえていた。
だから、スタートダッシュは遅くなるし、で、かけっこは一番ビリだったけれど、それでもピストルを嫌って逃げ出したりしなかったし、かけっこも最後まで走り通した。
放送席の先生が「昇平くん、ガンバレガンバレ!」なんてアナウンスしてくれていた。

その後の障害物走(正確には、途中で課題をクリアしていく競技)も、なんなくクリア。
「隣のトトロ」競争だったので、真っ黒くろすけの下がったアーチをくぐり抜け、緑のトンネルを這って通り抜け、トトロの巻物をくるくると巻いたあと(なんで、巻物? 笑)、大きなトウモロコシを茎から引っこ抜いてゴールイン!
何度も練習したからだろう。まったく迷いのない走りっぷりで、なんと、ここではビリにならなかった。
ビリから2番目。(笑)
よくできました。(^^)

親子競技には、私が一緒に参加。
途中でさいころを振ったり、旗を持ってポールを回ったり、カードを引いて、乗り物に乗せてゴールまで走ったり。
昇平は、楽しそう、というのとはちょっと違っていたけれど、真剣な顔で一緒に走っていた。
私はたぶん、にこにこしていたと思う。
昇平とこんな風に一緒に運動会に出られるのが、本当に嬉しくて嬉しくてたまらなかったから。
ゴールしたとき、「もっと走っていたかった〜!」と思ったのだ。・・・かけっこ嫌いの私が!(笑)

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さてさて、ついにやってきました、マーチングバンド。
年長さんの演奏する鼓笛に合わせて、年中さんが踊ります。
女の子たちは、リングやポンポン。男の子たちは、旗を構えてのガード。
そう、昇平はこれのために今まで猛練習してきたのでした。

それにしても、年長さんたち、よくもここまで練習しました、というくらい、上手に楽器を演奏していた。
もちろん、音が合わなかったり、リズムがバラバラだったり、ということもけっこうあるのだけれど、みんな真剣な顔で演奏していて、その姿に、なんだか目頭が熱くなってしまった。
がんばって、がんばって、そしてその成果をお父さんお母さんたちに見てもらおうと、精一杯誇らしそうにやって見せている。
なんだか、すごく、いいなぁ! と思ってしまう。

そして、いよいよ、昇平たちの出番。
鼓笛隊の後ろに、旗を持った男の子たちが行進してきて、オブラディオブラダの曲に合わせて旗を動かしていく。
上げたり、下げたり、前に進んで旗の頭を合わせたり、2人向き合ってお互いにすれ違っていったり。
昇平の近くには、ずっとまき子先生がついていた。
でも、手を貸したのは、彼がどうしてもタイミングをつかめない、旗を順番に下ろして行くところだけ。
それ以外の時には、ほとんど自分だけでちゃんと演技できていた。・・・まわりの子のやることを見ているので、半テンポから1テンポくらい遅れながら。(笑)

あれほど家で練習していた「鼻とへそ」(旗の棒を鼻につけるようにして、棒の下はへその高さ)の構えはすっかり忘れてしまっているようだったけれど、それはたぶん、動きに集中していて、構えにまで注意が回せなかったため。
だから、はた目にはひとりだけあまり上手じゃない子がいるな、と見えるのだけれど、それでも、彼にしては本当に良くやっていた。
行進も、先生に手を引かれなくてもちゃんと歩いていたし、動きそのものは頭に入っているようだったし。
あれだけゴーイングマイウェイだった昇平が、お友だちと合わせた動きが出来た!
これはもう、本当に、ものすごい成果なのだ。
鼓笛の高い帽子や衣装を「装備」するのも、嫌がっていなかったし。(帽子の紐が顎に掛かるのは時々気にしていたけれど)
本当に良くやったねぇ、昇平。がんばったね!!!
一緒に見ていたおばーちゃんやお父さんも「ちゃんと出来たね」「立派なもんだ」と感動していた。

でも、昇平がきちんとガードをやって見せたら、どんなにか感激して涙が出るだろう、と思っていたのに、実際にはちっとも泣けてこなかった。
最後までちゃんとやり遂げられるかドキドキしながら見ていたので、とても、泣いているような余裕がなかったのだ。
感涙にも心の余裕が必要なのだな、と改めて感じた次第。(笑)

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ところが、11時半近くになって、園児席で待機している昇平が、砂遊びに熱中していく様子が見えた。
まぁ、他の子たちも飽きてきて、盛んに砂遊びしているから、昇平の姿も全然目立たないのだが、だんだん列から離れていくのを先生が列に連れ戻そうとすると、嫌がって抵抗しているのが見えた。
あ、これはちょっとまずいな、と思った。
砂遊びに夢中になっているように見えるが、実は、リタリンの効果が落ちて集中力が下がってきたために、周囲の状況に目が行かなくなって、手元の遊びに関心が向いてきているのだ。(そうでなければ、列に戻らなくちゃならないことに、すぐ気がつくはずだから)
あわててバッグから携帯用のリタリンと砂糖のスティックを出した。でも、水道はあるけれども、飲ませるコップがない。
思案するうちに、写真のフィルムケースを使おうと思いついた。
実際、フィルムケースに薬と砂糖を入れ、水を少し入れてから、蓋をして振ると薬がよく溶けるので、なかなか具合が良かった。
これからも、薬と一緒にフィルムケースを携帯することにしよう。(^^)

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その後も、昇平は綱引き、鈴割り(くす玉割り)と競技を順調にこなしていった。
どの時にもピストルの音を怖がるのが目立っていたけれど、それはしょうがいない、しょうがない。(^_^;)
逃げ出さなかっただけ、上等です。(笑)

そして、最後の競技、リレーも終わって(といっても、もちろん昇平は出ていない。ただ、年長さんは全員走るので、来年は昇平も出ることになる。)、閉会式。
昇平は、最後までちゃんと立っていて、式の後、記念品をもらうときにも自分の場所できちんと自分の番を待っていた。

集団行動が、きちんと出来ていた!
大勢の観客の前でも、ちゃんと練習の成果を発表できた!!
かけっこの順位なんて、どうだっていい。
もう、本当に素晴らしかったね。500点満点の大きな花丸だね。

 「よく、できました!!!」




 

[00/10/08(日) 07:34]

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