昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
「助長」
「助長」ということばを手元の辞書で引くと、
1.物事の成長発展のために外から力を添えること。
2.ある傾向がより著しくなるように力を及ぼすこと。
と出ている。
でも、今回の「助長」はそれではなく、中国の故事に出てくる、稲の苗の成長を助けようとした男の人の話。
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夜の寝物語に聞かせていた「勇者フルートの冒険」が完結したので、また、思いつくままに昔話をしているのだが、最近ちょっとネタ切れ気味になっている。
昨夜も何を話そうかな〜・・・と考えるうちに、ふと思い出したのが、この「助長」の故事。
うちの近くには田圃があるから、稲は小さい頃からよく見かけているし、これなら理解できるかな、と思って話してみた。
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昔々、中国に一人の男の人がいました。
その人が田圃に稲の苗を植えました。
稲の苗は見たことあるでしょう? 最初はこのくらいの大きさだけど、育つとこのくらいになって、先にたくさんお米が実るんだよ。
さて、稲の苗を植えたその日の夕方、男の人は田圃を見に来て苗を見ました。「もう大きくなったかな?」
・・・昇平くんはもう大きくなったと思う?
(昇平「大きくなってない」)
そうだよね。男の人は「まだ全然大きくなっていないなぁ」と言いました。
そのつぎの朝、また男の人は田圃を見回りに来ました。「もう大きくなったかな?」
大きくなったかな?
(昇平「なってないー」)
うん、まだ全然大きくなっていなかったんだ。草や花は、そんなに簡単に大きくなったりしないもんね。
毎日毎日、少しずつ育っていくんだもんね。
さて、その日の夕方、男の人はまた田圃を見に来ました。「もう大きくなったかな?」
今度は大きくなったと思う?
(昇平「全然なってないってばー!」)
そう、苗は少しも大きくなっていないように見えました。
すると、その男の人は考えました。
「なんだ、全然大きくならないじゃないか。よし、それじゃ俺が大きくなるのを手伝ってやろう」
そして、男の人はこうやって、苗の先をつかんでは「うんっ」「うんっ」と上に引っぱってあげました。
「うんっ」「うんっ」「うんっ」・・・全部の苗を引っぱって、伸ばしてあげました。
さて、その次の日。
男の人に先をつかんで引っぱられた苗はどうなったでしょう?
苗は全部しおれて、枯れてしまっていましたとさ。
おしまい。
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お話のオチの意味が分からないと困るな、と思ったので、「植物はそんなふうに無理に育てようとしてもダメなんだよ」という話を続けてしようとすると、昇平はニコニコしながら「おもしろいねー」と一言。
あらまぁ、ちゃんと分かっていたんだね。
この故事に含まれる教訓的な意味合いを、昇平が理解するまでにはまだしばらくかかるだろう。
でも、少なくとも、男の行動がナンセンスなこと、その行動の結果として苗が枯れたこと・・・がちゃんと理解できるまでになってきたんだな、と思うと、なんだか嬉しかった。
しかし。
昇平が最近ますます物語を楽しむようになってきたのは良いけれど、さて、今夜の寝物語は何にしてやろうかな・・・。
ネタ探しに頭をひねる母です。
[03/01/29(水) 13:38]