昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
「ぼく、結婚しないよ!」
先日の性教育準備教育(?)の後日談。
夜、昇平が突然
「お母さん、ぼくが大きくなったら、ぼくと結婚しよう」
と言った。これは時たま昇平が口にすることなので、私は昇平の肩に両手を置いて、こう答えてやった。
「う〜ん、残念だけど、お母さんは昇平くんとは結婚できないんだよ。お母さんと子どもは結婚できないの。でも、大きくなっても一緒に暮らすことはできるよ」
昇平が言う「結婚する」は「将来もお母さんと一緒に暮らしたい」という意味なのは分かっていたので。
すると、昇平、ちょっと考えてからこう言い出した。
「じゃ、ぼくは大きくなっても絶対結婚しないよ」
うん? お母さんと一緒に暮らせれば結婚しなくていいっていうことかな?
ところが、昇平は真剣な声でまた繰り返した。
「ぼく、絶対に結婚しないから」
「どうして?」
と聞いてみた。
すると、昇平が答えた。
「だって、結婚はものすごく大変だから!」
真剣そのものの顔で、『ものすごく』という部分に力をこめて言うものだから、私は思わず大笑いしてしまった。
そうだねぇ〜。結婚は確かに『ものすごく』大変だねぇ〜。
しかも、今の昇平くんにとっては、結婚はとても荷の重すぎることだものねぇ。(笑)
話を聞いてみたら、性教育準備教育で、男と女の違いや、女性の前でのマナーの話をする際に、森村先生が「昇平くんも大きくなって結婚したら、立派なお父さんになれるよ」と言ってくれていたのだという。
ところが、昇平自身には、とても自分が『お父さん』になれる自信がない。それで「ぼくは大きくなっても絶対に結婚しない!」と言いだした、というわけだった。
笑った笑った・・・大笑い!
そして、笑いながら言ってやった。
「そうだねぇ。結婚は確かにとても大変なんだけどね。・・・でも、昇平くんが大人になって、『大変でも絶対この人と結婚したい!』って思う女の人と出会ったら、その時には、その人と結婚すればといいと思うよ」
将来、そんな女性が本当に現れるかな? その女性が、昇平と結婚したいと思ってくれるかな?
そんな考えが頭の片隅をよぎったけれど、それは言わないでおいた。
昇平はもう一度
「ぼくは結婚はしないよ」
と言いながら、隣の部屋へ行ってしまった。
すると、同じ部屋でそのやりとりを聞いていたお兄ちゃんが言った。
「でもさ、ADHDだから結婚できない、ってことはないんでしょう?」
さすがは中学3年生。お兄ちゃんは時々、とても鋭いところを突いてくる。
「うん、そりゃないよ。ADHDを持っていても結婚している人は大勢いるからね」
と答えると、お兄ちゃんが考えるように言った。
「昇平が結婚して、俺が結婚しない、ってことだってありうるんだよな」
う〜む、それは確かに。
そこで、ちょっと真面目になって、こう言った。
「ADHDがあるから結婚できないってことはないし、逆に、ADHDとかがないから結婚できる、という保証もないんだよね。特に、今の時代は、何の障害がなくても結婚しない人たちは大勢いるから、それは誰にも分からないことなんだよね」
お兄ちゃんは、何かを思う様子で、そのまま黙ってしまった。
本当にね。今の日本は「大多数の人が必ず結婚する」という時代では、もうなくなっている。しかも、結婚してもそれを維持し続けることができる、とも限らない。
結婚が個人の意志、個人の自由に完全に委ねられているのが、現代の日本社会。
そういう時代の中で、性教育はどういうふうに進んでいくんだろうな、とふと思った。
やっぱり、森村先生が教えてくれたように、「男と女は似ているところと違っているところがあること」「だからこそ、相手を大切にし、自分自身を大切にすることを学んでいく」ということに尽きるんじゃないかな・・・。
[05/03/04(金) 15:26] 日常