昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
小さなエピソード・8の後日談
多忙が続いて5日ぶりの日記更新になりました。
実は、前回の「小さなエピソード・8」の続編のようなできごとがあったので、今日はその話を・・・。
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森村学級に通級するようになったFちゃんが、アンケートを書くのに困っているのを見て、「お手伝いするんだ」とFちゃんの鉛筆を削ったりしてあげたという昇平。
そのことが連絡帳に書かれてきたので、昇平に聞いてみた。
「Fちゃんのお手伝いをしてあげたんだって? Fちゃん、喜んだ?」
これは、昇平の「お手伝い」が、引っ込み思案で気持ちの繊細なFちゃんに「ご迷惑」になった可能性もあったと思ったから。
すると、
「喜ばなかった」
と昇平が答えて、
「Fちゃん、全然しゃべらないんだ。ニコニコもしないんだよ」
と不満そうな顔をした。
実は、Fちゃんは去年卒業していったマドンナHちゃんと同じようなお子さん。気持ちがとても繊細なので、安心できる場所を求めてゆめがおかに通級するようになったのだ。
それで、昇平にHちゃんの話をしてやった。
「卒業したHちゃんのことは、もちろん覚えてるよね? Hちゃんはどうだった? おしゃべりしていたっけ?」
「いっぱいしゃべってたよ。ニコニコもしていたよ」
と昇平。入学したときに一番よく面倒を見てくれたお姉さんなので、昇平もHちゃんのことは本当によく覚えている。
「そうだよね。でもね、昇平くんがゆめがおかに入学するまで、お母さんがひとりで教室を見学に行ったとき、Hちゃんはまだほとんどしゃべらなかったんだよ。欲しいものがあっても、困っていても、それが言えなくて、ずーっと黙っていたの。もちろん、全然ニコニコもしていなかったんだよ。Hちゃんは、その頃ゆめがおかに来るようになったばかりだったの。ゆめがおかに来るうちに、だんだんしゃべるようになったんだよ」
「・・・それで?」
と昇平が聞いてきた。ほう。一見(彼にとって)無関係に見える話が、本題とどう関わるのか、と思えるようになったんだ。
「つまりね、Fちゃんも、今はあまりしゃべらなくても、そのうちにHちゃんみたいにいっぱいしゃべったり、ニコニコしたりするようになるかもしれない、ってこと。そういう風になるのには、時間がかかることがあるんだよ」
「わかった」
昇平は素直に返事をして、その後は、Fちゃんに対する不満の言葉はまったく口にしなくなった。
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そうしたら、木曜日の連絡帳に、こんな学級での様子が書かれてきた。
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今日はFちゃんも登校してくれて、大喜びの昇平くん。3校時目を図工に設定すると「図工だもんね。紙をください」と言ってきました。休み時間(の制作に)は工作で余った紙しかもらえませんが、図工の時間は希望の色の工作用紙を新品でもらえるからです。何を作るのかと見ていると、ピンクの工作用紙で箱のようなものを作り、耳をつけ、かわいい目を書き込んで、ネコの顔を作っていました。そして、すぐにFちゃんに「プレゼントだよ」。Fちゃんも、ぺこりとうなずいて、ありがとうをしてくれました。
喜んだ昇平くんは、今度はビッグサイズのネコを作り、これもプレゼントしました。今度はFちゃんが折り紙で、顔を入れる箱を作ってプレゼントしてくれました。(注:昇平は自分自身にも同じような紙の動物を作っていた)
「それ(箱)どうやるの?」と昇平くんが教えてもらいたくて声をかけると、Fちゃんが、静かに折り方を見せながら教えてくれました。難しいところがあって仕上げられず、私が手伝うことになりましたが、とてもほほえましい光景でした。
どちらにとっても良い関係が築かれてきたな・・・と感じました。
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まだまだ気持ちの一方通行が多い昇平で、相手の気持ちが思いやれなくてトラブルになることも多いけど、こんなふうに、少しずつ良い関係が経験できれば、きっと変わっていけるだろうね。
Fちゃんに限らず、通級の子どもさんたちとも交流が生まれていて、いい感じだな、と思いながら眺めている。
[05/03/12(土) 05:52] 学校 日常