昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
大根おろし
水曜日のこと。
夕食のメニューは「おろしきのこハンバーグ」だった。ハンバーグに大根おろしときのこの醤油煮をのせて、ポン酢醤油でさっぱりといただく。
大根おろしは食べる直前におろしたほうがおいしいので、旦那の分はぎりぎりまで待って、旦那が帰宅してからお兄ちゃんに頼んだ。
「大根おろしを作ってー!」
お兄ちゃんはもうすぐ高校生。力のある作業はどんと来い。
「わかった」
とお兄ちゃんが返事をすると、一緒に二階にいた昇平まで答えた。
「ぼくが作る! ぼくがお手伝いします!」
お兄ちゃんの後を追って、ばたばたと台所に下りてきた。
「おまえには無理だ、できっこない」
とお兄ちゃんが馬鹿にして笑うと、昇平が憤慨して言い返した。
「できるよ! ぼくが作る! ぼくひとりでやるから!」
いや、お兄ちゃんの方が力があるから・・・と説得しても言うことを聞かず、とうとう昇平は自分で大根おろしを始めてしまった。
「昇平のヤツ、自分を知らないぞ」
とあきれ顔のお兄ちゃん。私も、今日の大根がかなり堅いのを知っていたので、じきに音を上げるだろうと思いながら見ていた。
「どぅりゃぁぁぁーーーーー・・・!!!」
昇平が、気合いを込めながら大根をおろしていく。時間はかかるけれど、なんとか半分近くもすり下ろしたのだから、たいしたもの。
けれども、だんだん大根が短くなってきたので、昇平に声をかけた。
「ありがとう、もう十分だよ。後は危ないから、お兄ちゃんとバトンタッチしてね」
すると、また昇平が大根を握り直した。
「いや、バトンタッチしないぞ! ぼくががんばる!」
そしてまた大根をおろし続け・・・案の定、自分の指まですり下ろしてしてしまった。
それでも、まだがんばって大根を動かし続けている。
「わー、昇平! おまえ、指から血が出てるぞ!」
とお兄ちゃんが驚く。それでも、昇平は歯を食いしばってがんばる。
結局、半分以上を昇平がすり下ろし、昇平の力ではどうしてもできなくなったところで、お兄ちゃんが交代した。
「昇平も、けっこうやるじゃん」
とお兄ちゃんは昇平をちょっと見直していた。
その夜、旦那は息子2人が力を合わせて作った大根おろしを、ハンバーグにたっぷりとのせて食べていた。
ひときわおいしかったんじゃないだろうか?
[05/03/18(金) 05:14] 日常