昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

歓送迎会

昨夜、小学校の先生方の歓送迎会がPTAの主催で開かれた。
だいたいこの時期、どこの学校でも歓送迎会が行われるので、転出していった先生方は赴任先の歓送迎会に出られることが多い。でも、幸いなことに、退職された先の校長先生と、森村先生は出席されると聞いたので、ゆめがおかの保護者に呼びかけて、都合のつく人たちだけでも参加することにした。

私としては、森村先生はもちろん、先の校長先生にも本当にいろいろと便宜を図っていただいたという思いがある。ゆめがおかに毎年補助の先生がついたのは、先の校長先生が教育委員会にかけ合うなど、かなり努力してくださった結果だったと聞いている。個人的なところでは、毎朝、昇降口前に立って子どもたちに挨拶してくださったおかげで、昇平も大きな声で「おはようございます!」が言えるようになった。挨拶は繰り返しの練習が必要なことなので、根気強く声をかけて挨拶を促してもらえたのが、本当にありがたかった。
そんなわけで、森村先生だけでなく、先の校長先生にもぜひ会ってお礼を申し上げたくて、初めて歓送迎会に参加したのだった。
子どもとしては、昇平と5年のDくんも参加した。

   ☆★☆★☆★☆

会場に着くと、森村先生はすでに到着して図書コーナーで本を読んでいた。そこへ、本を探しに昇平が入っていって、先生と出会った。
「あー!」と昇平。森村先生も「昇平君、会えたねー」とニコニコ顔。「たった2週間しかたっていないけど、また一段と大きくなった気がするね」と昇平の姿を見ながら森村先生が言った。
やがて、他の先生方も到着。座る席はくじ引きになっていたけれど、ドウ子先生が気を利かせて、別の先生と自分のくじを交換して、昇平の隣に座ってくれた。昇平は退屈しのぎに図書館から借りたゲームやパズルの本を読んでいたが、その問題をドウ子先生に出していた。
そのうちに、だんだん昇平の体がドウ子先生に寄っていって、しまいには、ぴったり体をくっつけて本を一緒にのぞき込むようになった。時たま、問題がうまくとけなくて怒った声を出すこともあったけれど、甘える気持ちからきているのが、母には分かった。
その様子を別のテーブルから森村先生がニコニコしながら眺めていたが、つと立ち上がって昇平の後ろに来ると、そっと、こうささやきかけてきた。
「怒ってる怒ってる・・・誰かが怒ってる・・・」
これは、森村先生の時代に、しょっちゅう昇平が声をかけられていたことば。とたんに昇平が口調を変えた。
「怒ってないよ。怒りません」
ははは。森村先生の一言は、やっぱり効き目があるね。

森村先生は、赴任先の学校でも情緒障害児学級の担任として、新しく2人の子どもたちを受け持っているという。子どもたちと信頼関係を結ぶのに努力し、ようやく学習指導に取りかかれるようになってきたところだそうだ。
きっと、昇平がドウ子先生と仲良く本を読んでいる姿を見て、森村先生も安心したんじゃないかな。

   ☆★☆★☆★☆

さて、いよいよ歓迎会が始まった。
退職、転出していった先生に続いて、新しく来られた先生も紹介される。もちろん、新しい担任のドウ子先生も。そこで、これもゆめがおかの保護者に呼びかけて、花束を2つ準備していた。通級に来ている子の保護者にも加わった人が何人かいた。みんな、森村先生にはたくさんお世話になったし、これからはドウ子先生にたくさんお世話になるので、何かしらその気持ちを伝えたいと考えていたのだ。
転出入の職員紹介が終わったところで、特別に森村先生とドウ子先生に前に出ていただいて、子どもたちから花束を渡した。
Dくんは森村先生へ。「ありがとうございました」と言って手渡した。
昇平はドウ子先生へ。「ゆっくり大きな声で、『よろしくお願いします』って言うんだよ」と耳打ちしてやったら、昇平は花束を渡しながら、大人ぶった(と自分で考えている)声ではっきりと、「よろしくな!」と言った。
お〜ま〜え〜はぁ〜・・・!
大勢の先生方や保護者の前で照れくさかったのは分かるけれど、やってくれたよ、という感じだった。まあ、会場からは大受けで、暖かい拍手ももらえたので、良かったことにするけれど。(苦笑)

その後は、ごちそうやジュース(大人はビール)で和やかに歓談。冬虫夏草をご存じだろうか? 地中で冬眠中の虫に生えるきのこで、漢方薬として最近を浴びているのだけれど。その薬酒が差し入れされていて、これもまた座の話題を盛り上げていた。
ドウ子先生が、初挑戦して冬虫夏草を1個(というか1匹)食べていたのには、びっくり。どう見ても「イモムシ」だったんだけど・・・すごいなぁ。
念願通り、先の校長先生にお礼を言うことができたし、新しい校長先生にもご挨拶ができたし。森村先生とドウ子先生と3人で歓談もできたし。子ども連れだし酒の席なので、早めに退出したけれど、とても楽しいひとときだった。

最後の最後に森村先生にご挨拶したけれど、なんだかまた涙が出てきそうな気がして、あわてて会場を後にした。
森村先生が子どもたちと作り上げてきたゆめがおか学級。それを見つめ続けた3年間は、本当に楽しい時間だった。今度はそれをドウ子先生が引き継いでいく。まだ出会ってから間もないけれど、ドウ子先生もなかなかパワフルで素敵な先生だと、私の直感が言っている。きっとまた、楽しくて興味深い学校の日々が始まるに違いない。
こんなふうにして、学校は続いていくんだなぁ・・・。
しみじみとそんなことを感じながら、昇平と一緒に帰路についた。

[05/04/16(土) 11:54] 学校

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