昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
小さなエピソード・9
【エピソード・1】
ドウ子先生が担任になってまもなくの土曜日。散歩に出かけた昇平が、ナズナ(ペンペン草)をどっさり摘んできた。
「何本あるか数えてみるね」と言うので、「10本ずつ束にすると数えやすいよ」とアドバイスすると、10ずつのまとまりを作りながら10分近くかかって数え上げた。さらに「ドウ子先生にも教えるんだ」と言って、手紙を書き始めた。
「ドウ子先生。
おととい なずなを 133本 あつめました。 昇平」
月曜日に渡す手紙だから、と日付を「おととい」としたところに、びっくり。
【エピソード・2】
夕飯を食べていたら、昇平が突然言った。
「お母さんのお腹の中にいた時、見えなかったよ。見えたら暗くて怖かったろうね」
ふいに、お腹の中にいた頃の自分を想像したらしい。
【エピソード・3】
先生方の歓送迎会の日。母は朝からあれこれ用事が入っていて忙しかった。夜9時頃、ようやく家に向かって車を走らせていたら、昇平に聞かれた。
「今日は、お兄ちゃんの勉強をみるの?」
「うん。約束しているから、お兄ちゃんが教えてほしいって言ったら教えるよ」
すると、昇平が言った。
「お母さん、今日は大変だねぇ」
えっ、昇平がいたわってくれた!?
母は目が点になってしまった。
【エピソード・4】
高校に入って勉強がむちゃくちゃ忙しくなってしまったお兄ちゃん。テレビゲームも思うようにできなくなって、短時間でできるパソコンゲームの「マインスイーパー」で息抜き。
すると、その様子を見ていた昇平が言った。
「お兄ちゃん、暇つぶしなの?」
わきでこのやりとりを聞いていた旦那が、後からお兄ちゃんに言った。
「昇平に暇つぶしなんて言われてムッとしただろう?」
すると、お兄ちゃんは肩をすくめて
「いや、昇平にあんなこと言われて、ただびっくりした」
お兄ちゃんも目が点になっていたらしい。
【エピソード・5】
ずっと病気で入院していた義母が退院してきた日。
昇平が尋ねた。
「おばーちゃん、家に帰ってきてうれしい?」
「うん。すごーく嬉しいよ」
と義母が答えると、昇平は
「そうだろうねぇー」
その大人びた言い方に、義母も目が点になったという。
【エピソード・6】
かかりつけの病院で、C−SST(子どものための社会技能訓練)が始まると教えられて、昇平に聞いてみた。
「また病院でC−SSTをやるんだって。昇平くんはどうする? またやる?」
とたんに昇平、
「いや、もうこりごりです」
「どうして?」
「だって、めちゃくちゃ疲れる」
そうかー。相手の気持ちを考えて自分の行動を変えていく練習というのは、確かに疲れるよね。前回は今ほど社会性も伸びていない段階だったし。
ところが、その後突然、昇平が言い出した。
「いや、やっぱりC−SSTやります!」
「え、無理しなくていいんだよ。もうちょっと大きくなってからの方が楽にできるかもしれないんだし」
と言っても、
「いや、やる! C−SSTやるよ!」
病院で、先生と母が、そろそろC−SSTをするのに最適な時期かも、と話し合っていたのを思い出したのかもしれない。
なんだか、とにかく前向きな昇平。そして、明らかに前とは変わってきた部分がある。
今年一年の間に、この子はかなり変化していくんじゃないだろうか・・・?
そんな予感がしている。
[05/04/27(水) 16:20] 日常