昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

自閉症とADHDの多動の違い(下)

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とまあ、自閉症とADHDを比較して、多動の違いを考えてみた。けれども、実際の子どもたちを見てみると、なかなかこんなにきれいに分類できるわけではないのも、また事実だったりする。

自閉は「情報収集のための多動」だと書いたけれど、ADHDの子どもだって、「ここはどんな場所だろう?」「ここには何があるんだろう?」と好奇心にかられて、新しい場所を走り回ることはよくある。どこまでが視野の狭さを補うための情報収集で、どこからを好奇心だと言えばいいのだろうか。
一方、不注意や知的障害のために、その場所で何をしていいのか分からなくて退屈して、「何か面白いことはないかな?」とうろうろ歩き回ることだってある。これだって、考えようによっては、「情報収集のための多動」と言えるかもしれない。
また、昇平は確かに「視野が狭い」ために多動になっていたけれど、リタリンを始めたのを境に視野が広がってきたようで、次第に物事を総合的に考えて判断するようになってきた。だから、それに反比例するように、情報収集に走り回ることも少なくなった。リタリンによる不注意の改善が、自閉に共通する多動の特徴を軽減させたことになる。このあたりのことを考えると、自閉症と不注意タイプのADHDは、どのあたりから線引きするものなんだろう、と考えてしまう。
それから、自閉児もADHD児も、ちょっとした刺激に敏感に反応して落ちつきがなくなることがとても多い。ざわめいた落ち着かない雰囲気の中にいると、一緒に落ち着かなくなって、多動になったりする。これは自閉症もADHDも変わらないような気がする。
学術的には、自閉症とADHDを区別する必要があるのかもしれないけれど、現実の子どもは、昇平のように複数の障碍特徴を合併していることも多いから、「自閉症だからこう」「ADHDだからこう」と決めつけると、かえってうまく行かなくなるかもしれない・・・とも思う。

自閉症とADHDの多動の違いは何か? 対応の違いは何か? いや、そもそも、自閉症とADHDとを分類して考える必要があるのかどうか?
私の中では、まだまだ答えは出てこない。
皆様は、どう思われるだろうか?

[05/04/24(日) 20:45] 知識 療育

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