昇平てくてく日記2

小学校高学年編

3月(2)〜関わりの深まる日々

3月10日(月)

 兄ちゃんが家にいるので、毎晩二階の居間で顔を合わせている。昔はそれだけでなにかとトラブルが起きたけれど、今はもうそんなこともない。それぞれにテレビを見たりパソコンをしたり、かと思えば一緒にゲームをしたり。
 昇平のパソコンタイムに兄ちゃんが「俺にもパソコン貸せよー」と言うと、昇平は落ちついて「8時半になったらね」と切り返す。本当にその時間には交代するので、それで兄ちゃんも納得する。見ていてなんだか面白い。二人ともほんとに大人になったなぁ。

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3月11日(火)

 さすがに多忙が効いて、私は風邪をひいた。葛根湯を飲んで早めに寝る。ひどくならないと良いなぁ。

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3月12日(水)

 今日は午前中にゆめがおかの卒業おめでとうパーティがあった。葛根湯が効いて、体調も少し良くなったのでほっとした。パーティは下級生が一生懸命手作りで準備してくれたもので、とても楽しく和やかだった。子どもたち全員の親も集まってのパーティだったけれど、親子混じっての王様ジャンケンは盛り上がった。その中でも、昇平はなぜか7回連続で王様の座を守り続けて、自分でも大得意。でも、ついに負けて王座を追われても怒ることもなく、皆と一緒にゲームを楽しんでいた。いろいろなところで、本当に大人になったなぁ、と思わされた。
 感謝の手紙と一緒に、手作りのジャンボ抱き枕もプレゼントしてくれた。下の写真がそれ。先生の指導を受けながら、自分でミシンをかけて作ってくれた。縫い目も丁寧。すごく嬉しい。

Dakimakura




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3月13日(木)

(ドウ子先生の連絡帳から)

 中学校の入学式の通知が来ました。いよいよなんだなぁ、と思います。
 今日は6−2のお別れ会に、三、四校時まざりました。後でI先生に参加状況を尋ねると、笑いながら「昇平くんらしく混ざって楽しんでいましたよ」とのお返事……。(ん? ←母の内心) 本人も良い表情で戻ってきたので、大丈夫だったのでしょう。今日は子どもたちの企画での会なので、西尾先生には介助してもらわず、あえて一人で行かせたところでした。
 6−2全員に昇平くんも一言ずつメッセージを書き、自分も色紙をもらう、という活動もしているのですが、一緒に下校したEくんとMくん以外は名前を言っても全員「知らない」の返事だったのですが、Hくんの名前は知っていて「〜したことがある」という一言があってびっくりしました。

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 学校での行事が一つずつ終わっていく。協力学級(交流学級)である6−2との関わりは、普通のお子さんと同じように、というわけにはいかないけれど、昇平らしさを受け入れてもらいながら、本当によい形で関わらせてもらってきた。今まで昇平と同じクラスになった子たちはみんな、本当に優しかったし、暖かかった。特別扱いではない優しさ。それはきっと、子どもたちを指導する担任の先生方の姿勢によるものがとても大きかったのだと思う。
 相変わらず人の顔などを覚えるのはとても困難な昇平だけれど、それでも「半分自力下校」を一緒にしてくれたMくんやEくんはちゃんと覚えたし、それ以外にも、関わったことの内容を通じて覚えられる人が出てきたらしい。これからますます関わる力が伸びてきたら、他人の顔ももっと覚えられるようになるのかもしれない。
 大勢の一員であることを経験させてくれた協力学級にも、本当に感謝している。 

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3月14日(金)

 金欠病の兄ちゃん。「ほしいCDがあるから買って〜」と私に言ってくるので、「そんなのは自分で買いなさい」とつっぱねていたら、昇平が尋ねた。
 「大人の寸前のくせに、兄ちゃんはなんでそんなにおねだりするんだよ?」
 おおっ、鋭い突っ込みだ。
 すると、兄ちゃんが言い返した。
 「寸前だからこそなんだよ。大人になるともうこんなふうにねだれなくなるから、頼んでんだよ」
 いやぁ、笑った笑った、大笑いしました。
 最近妙にいろんなことがわかってきた昇平と、そんな弟に負けまいとへりくつをこねる兄ちゃん。脇で聞いていると本当に楽しい。
 こんな会話も、兄ちゃんが家を離れるまでなんだね。あと一週間かぁ。昇平にとっても淋しいね。

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3月15日(土)

 午前中は親の会のペアレント・トレーニング学習会、午後から総会。一日がかりの日なので数日前から準備に追われていた。風邪がだいたい治ったので助かった。
 学習会や総会の間、昇平は他の子どもたちや託児ボランティアの大学生のお姉さんたちと一緒に隣室にいた。時々、子どもたちの声が聞こえてきたけれど、喧嘩することもなく楽しそうに遊んでいる様子が伝わってきた。私は役員会もあったので、総会終了後も昇平は残っていたし、その頃にはもうボランティアさんたちも帰ってしまったけれど、昇平と同い年のKくんとずっと一緒にいた。こんなに子ども同士で長く仲よく関わっていたのは初めて。後から何をしていたのか聞いたら、DSでピクトチャット(絵や字を書いて通信で相手のDSに送ってやりとりする遊び)やゲームをしたのだそうだ。最後には「またね」と笑顔で別れていたから、本当に楽しい時間を過ごせたのだと思う。良かったね。

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3月16日(日)

 今日も、家を離れる長男のための新生活用品を買いに出かける。長男の入学式のスーツを選ぶ間、昇平はまた一人で本屋さんにいたが、旦那が「今日は絶対に無断で車を動かしたりしないからね」と言ったら、「わかった」とあっさり返事をして、あとは何ごともなく本屋で待っていた。昼食は全員で喫茶店に。こういう店が始めての昇平は珍しくてテンションが上がっていたが、それでも騒ぐと言うほどのことではなかった。

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 子どもの問題点を気にするよりも、嬉しいこと、楽しいこと、できるようになったことに注目しながらのポジティブな日記に戻る、と宣言してから2週間になる。日記は成長の表れの記述でいっぱいになっているけれど、別に悪いことに目をつぶっているわけではない。本当に、この半月ほど、問題がほとんど起きていないのだ。卒業式が目前になって、自分の言動をコントロールしようという自覚が高まっているのか、薬の調整がうまく言って落ちついたおかげか、母が肯定的注目の視線に戻ったので安心したのか、そのすべてが関係しているのか。とにかく、最近の昇平は良い感じでいる。
 小学校卒業のこの時を、こういう状態で迎えることができるのは、本当に嬉しいと思う。
 良い小学校時代だったな、本当に。


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[08/03/18(火) 09:04] 作品 学校 日常 発達障害

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