昇平てくてく日記3

中学校編

合唱コンクール

 先週の木・金曜日は中学校の学校祭で、金曜日にはクラス対抗の合唱コンクールがあった。
 この日のために子どもたちは昼休みや放課後、熱心なクラスだと休日にも集まって練習をする。合唱は皆が心を一つに合わせなければ、綺麗なハーモニーは生まれてこない。指揮者や伴奏者、一部の人たちだけががんばってもダメ。喧嘩したり、しらけたり、怒って泣いて話し合って再結成して……と、毎年さまざまなドラマを生むイベントになる。
 兄ちゃんが休日ごとにクラスメートと河原に集まって練習していたのは、ついこの間のことのようなのに、もう昇平がそのイベントに参加することになった。
 昇平の協力学級は1年5組。もしかしたら休みの日にも練習したのかもしれない。昇平はちょっと免除してもらったかな。でも、休み時間や放課後にはちゃんと練習に参加していたし、リハーサルもがんばっていたらしい。

 当日、私は1年生のステージだけ聴きに行った。昇平のクラスは一番最後だった。……あら、うまい。
 1年生は、男子が変声期の真っ最中だから歌はつらいところがあるし、子どもたちだけで一つの歌を作り上げるのは初めての経験だから、まとまるのもなかなか大変。どのクラスも苦労の跡が見える発表だったのだけれど、昇平たちのクラスはその中でも一番良くまとまっていて、ハーモニーもとても綺麗だった。誰か飛び抜けてうまい子がいるわけではないけれど、皆が声を合わせ、心を合わせて歌っているのがわかった。
 昇平は、と見ると、二列に並んだ後ろの列の、なんと真ん中。どひゃぁ、なんて目立つ場所にいるの!? 思わず心配になって眺めてしまったけれど、遠目にも、ちゃんと口を開けて皆と一緒に歌っているのがわかって安心した。「曲、ちゃんと覚えたの?」と聞いたら「だいたいね」と答えたのが確か一週間前。そうか〜。本当にちゃんと覚えられたんだね。
 入退場の様子も含めて、他の子たちとまったく変わらない様子の昇平だった。

 昇平が帰宅してから結果を聞いたら、1年生で一番の「優秀賞」だったらしい。やっぱりねぇ。すごくうまかったから、きっとそうだろうと思ったよ、と言ったら、「でも、その上に最優秀賞があるんだよ」と昇平。わかってるって。でも、それはたいてい3年生が取るんだよね。1年生で最高の賞は優秀賞。みんな、よくがんばったねぇ。
 1年5組は、1年生の中で唯一、特支学級の子どもたちを受け入れている協力学級だ。ちょっと変わった個性的な子どもたちと、折り合いながら一つのクラスを作っている。そのクラスが合唱コンクールで優秀賞を取ったのは、そういうことと決して無関係ではなかったんじゃないかな、と思った。


 週明けの連絡帳に、1年5組が綺麗なハーモニーだったこと、優秀賞と聞いて私も嬉しかったことを書いたら、担任の岩沢先生からこんなお返事があった。

「いろいろあるものの、お互いを知り、良さを認め合える交流でありたいと考えています。
 昇平くんも5組のクラスメートも共に成長しています。」

 これまた本当に嬉しいコメントだった。

 うん、本当にいろいろなことが起きるけれど、それを通じて一緒に成長して、互いに受け入れて協力し合えるようになったら素敵だね。
 がんばれ、がんばれ。昇平も、クラスのおともだちも。
 こういう経験が、将来きっと君たちの力になっていくはずだから。

[08/10/20(月) 19:49] 学校

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