昇平てくてく日記3
中学校編
ちょっと嬉しかったこと
昨日、昇平は散髪へ行った。自分で自転車をこいで、自分ひとりだけで。初めてのこと。
念のために電話番号を書いたメモを持たせて、「何かあれば遠慮なくご連絡ください」と書き添えて、「これを床屋さんに渡しなさいね」と送り出したけれど、連絡は来なかった。
昇平の散髪はずっと同じ店でやってもらっている。
じっと座っていられない昇平を三人がかりで押さえて散髪するところから始まって、床屋のおじいちゃん、おばあちゃん、若旦那さんと奥さんに、昇平を少しずつわかってもらっていった。いつの間にか若旦那さんが昇平の散髪担当になって、奥さんがそれを補助してくれる。様子を見て、おじいちゃんやおばあちゃんも手を貸してくれる。そうして回数を重ねるうちに、昇平の方でも次第に慣れていって、とうとう「自分ひとりで行ってみる?」と聞いたら「うん」と言うようになった。それが今回。
ひとりで来店した昇平に、床屋さんでは「お母さんは来てないの?」と驚いたらしい。
戻ってきた昇平は「さっぱりしたよー」と得意そうだった。その後、すぐに昼食になったけれど、なにかと私を手伝ってくれる。「ぼく、親孝行するよ。インスタント味噌汁、あけてあげるね。ほうれん草も入れてあげるね。お母さん、親孝行してもらって嬉しいでしょう?」
やたら「親孝行」を連発したところを見ると、床屋さんで何か言われてきたのかな? 「お母さんたちに親孝行しなくちゃダメだよ」とかなんとか。
初めてひとりで散髪してきて、大人になったような気持ちもあったんだろうな。
もちろん、同年代の子たちにしてみたら、こんなことはどうってことないのだけれど、昇平にとっては大きな進歩。ゆっくりだけど、確実に大人になっているんだよね。
あせって変わる必要はないよ。自分のペースで成長していってね。
[08/11/23(日) 09:41] 家庭