昇平てくてく日記3
中学校編
兄ちゃんの帰省
土曜日に、埼玉の大学に行っている長男が帰省してきた。夏休み以来だから、4カ月ぶりになる。
昇平は何日も前から「お兄さん、帰ってくる?」「ちゃんと帰ってくる?」と言いながら、そわそわわくわく待っていた。
これには正直ちょっとびっくり。昇平がこんなに兄ちゃんの帰りを待ちわびたのは、本当に初めてのことだったから。
「兄さんが来るまでに仕上げるんだ」と、前の晩には一生懸命イラストを描いていた。ただ美少女キャラの絵だったので照れくさかったようで、本当に兄ちゃんが来たときにはちらっと見せただけで引っ込めてしまったので、兄ちゃんには何がなんだかわからなかったけれども。(笑)
家に一緒に遊べるゲームがなかったので、「せっかく兄さんが帰ってきたのに何もできないね」とがっかりしていたら、天が願いを聞き届けてくれたようで、翌日の日曜日には大雪が降った。真っ白になった庭で、二人大喜びで雪合戦。30分くらい遊んでいただろうか。「いやぁ、昇平のヤツ、容赦しなくなったなー」と苦笑いしながら兄ちゃんが家に入ってきた。
雪合戦で兄ちゃんが昇平に圧勝していたのは昔の話。今の昇平は、身長こそ兄ちゃんにはかなわないけれど、がっしりした体格になって、声も低くなって、すっかり頼もしい姿になったからね。
とにかく、二人ともすっかり落ち着いてしまったなぁ、というのが今回の印象だった。昇平も兄ちゃんも、本当に大人になっていた。
そして、やっぱり昇平は確実に人との関わり方がうまくなってきた。年相応とはいかないけれど、以前に比べれば、他人と関わりたい気持ちがとても強くなっているし、関わり方のスキルも上がってきている。だから、兄ちゃんと二人で遊べることが増えたし、楽しく長く遊べるようになったのだ。
兄ちゃんは三晩家にいて、今日、郡山の私の実家へ泊まりに行った。そちらで年の近い従兄弟が待っているから。
大みそかには私の妹弟一家も実家に集まって、賑やかに年越しをすることだろう。私や昇平や旦那は、年が明けた元日にそちらへ合流することになっている。
兄ちゃんにはその時にまた会えるけれど、兄ちゃんはバイトがあるので、郡山からまっすぐ埼玉に帰っていく。
すると、今朝、昇平が残念そうに言った。
「兄さん、もう帰っちゃうんだね」
もっと家にいてくれればいいのに。そんな気持ちがはっきりわかる言い方だった。
あんなに周囲の人に関心を向けようとしなかった昇平。兄ちゃんは昇平の良いモデル(お手本)だったけれど、昇平の社会性が低すぎて、兄とでも遊びが全然長続きしなかったのに。お互いに相手のすることが気に障って、寄るとさわると喧嘩のようになっていた日々もあったのに。
その昇平が、兄の帰りを待ちわび、兄が帰っていくのを残念がるようになっている。
ああ、兄弟っていいなぁ、としみじみ思った。
たとえ年の差があっても、どこかで対等なこの関係は、他のどこでも得ることができない。それを経て成長しているのは、きっと昇平だけじゃないんだろう。兄ちゃんだって、少し新しい昇平に出会っていったのに違いない。
兄ちゃんが次に帰ってくるのは、たぶん春休み。その時に二人はどんな姿を見せてくれるだろう。
今からとても楽しみにしている。
[08/12/30(火) 14:06] 家庭