昇平てくてく日記3

中学校編

昇平3行日記・11

※全然3行で収まっていない3行日記。


12月6日(月)
 いつも週の始まりは特に調子が悪いのだけれど、今日も「嫌なことを思い出しちゃった」と言って、朝から元気がなかった。朝食後もなかなか動き出せなかったので、私が車で送って8時10分ころ登校。それでも、「安定剤はいらないよ」と、いつもの薬だけを飲んでいった。
 学校では、L子さんが熱を出して欠席だった。それでも昇平が図書室に「避難」しようとしたので、担任から「自分の教室にいることが基本。図書室に行くのは体調の悪いときだけ」と確認されたらしい。
 まだその確認はちょっと早いかな、とも感じたけれど、ピンと来たのが、図書室のパソコン。いつでも誰でも使える、ネットに常時接続のパソコンが何台かあるのだ。「図書室にいる間、自由に使ってるんじゃないの?」と昇平に確認すると、ばれたか! という表情をして、「パソコンは学校での“癒し”なんだよ」と言う。
 気持ちはわかるけれど、その状況では、図書室に入り浸りになって自分の教室に戻らなくなるかもしれない。学校には勉強に行くのだから、パソコンは必要ないよ、と話し、連絡帳にも、パソコンへのこだわりが強すぎるときには、図書室のパソコンを勝手に使えないようにするか、図書室以外の場所を避難所に考える必要があると思う、と書いた。
 ただ、L子さんが休みでトラブルがなかったので、昇平は落ち着いて過ごして、元気に下校してきた。

 一方の私は、一日疲れていた。特に疲れるようなことをしているわけはないのだけれど、昇平が学校に行っている間、ずっと頭のどこかでは心配し続けているから、気疲れしてしまうのだろうな。夜9時半には眠くて目も開けていられないくらいになったので、旦那の帰宅を待たずに就寝。

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12月7日(火)
 朝6時半に自分で起きてきたけれど、間もなく「また嫌なことを思いだした!」とSOS。嫌な記憶が次々と浮かんできて止められなくなっていたので、リスペリドン0.5mlを服用させたら、まもなく落ち着いて動き出せるようになり、自分で自転車で登校していった。
 ところが、学校ではやはり眠くなったそうで、1,2校時目はストーブの前で横になって眠り、3校時目から授業に参加。5校時目はまた嫌なことが浮かんできて図書室に行ったそうだ。帰宅してから「薬のせいで今も眠い、だるい」と言ってきたけれど、さすがに時間から考えてそれはありえない。学校でがんばってきたから疲れたんだよ、と話した。

 連絡帳に図書室でのパソコンのことを書いたら、担任から返事。なんと、図書室では時間を決めてパソコンを使っていて、勉強の時にはちゃんとパソコンから離れた机で課題をこなしていたらしい。「図書室に行くのは体調が悪いときだけ」などと注意されているから、てっきり、L子さんがいなくても図書室に行こうとしたのだと思ったら、そういうこともなかったらしい。だとしたら、昇平にはかわいそうなことを言ってしまった。「勉強の時にパソコンをしているわけじゃなく、やっていいよ、という時間に使っているなら、それはいいんだよ」と話したら、「そうなの?」と、ちょっとほっとした表情になった。
 実際、昇平はもうがんばりすぎて、精神的にへとへとになっている。だから疲れるし、嫌なことも浮かぶのだけれど、そんな時に図書室に行くと、落ち着くし休まるのだそうだ。許可がもらえたときには、パソコンもできるし。そうやってなんとか学校を乗りきろうとしていたんだものね。学校でパソコンはだめ、なんて言ってしまってごめんね。
 でも……だとしたら、「図書室に行くのは体調の悪いときだけ」とは言わずに、「基本は教室だよ。ただ、調子の悪いときや疲れたときには、いつでも図書室に行っていいからね」と言ってやってほしかったな。この時期にそんな注意をされたから、こちらも、昇平が必要以上に図書室に行きたがって教室に戻らなくなっているのかと思って、焦ってしまったのだもの。
 昇平は一日あまり調子が良くなくて、夜寝るときにも不安定だったが、なんとか11時過ぎに就寝した。

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12月8日(水)
 今朝もまた嫌な記憶の連続フラッシュバック。一度整理して納得し始めたことも、また元の状態に戻って、無限ループの不安と疑問になっている。精神的な不安やプレッシャーで引き起こされている症状。学校へ行かなくてはならない朝に、特にひどくなる。
 それでも、昇平はもうリスペリドンは飲みたくない、と言う。眠くなってしまって、何もできなくなるから、と。今朝は幸い、なんとか自転車で登校することができたが、今後は本当に学校に行けない日も出てくるかもしれない。病院で相談して薬を変えてもらう、という手もあるけれど、そこまでして昇平だけにがんばらせる必要もないんじゃないか、とも思い始めている。だって、こんなに疲れているんだもの。昇平に本当に必要なのは、安心できる環境でゆっくり休んで、エネルギーを取り戻すこと。昇平は冬休みを心待ちにしているけれど、状況によっては終業式を待たずに休業するのもありだと考えている。

 スクールカウンセラーのA先生との相談日。前回の相談から、あまりにもたくさんのことがあって、それを報告するだけで、ほとんどの時間を使ってしまったような気がする。でも、話を聞いていただけて、私は嬉しかった。学校がもっと上手にスクールカウンセラーのアドバイスを取り入れてくれたら、もっと早く、もっと効果的に昇平に対応していくことができたのになぁ……。良いアドバイスも提言も、聞いて実行してもらえなかったら役には立たないのだよね。

 昇平のほうは、今日もL子さんが風邪で休みだったので、教室で授業を受け、5校時目は疲れたので図書室に行ったらしい。帰宅後は割と調子が良かったが、就寝しようという時間になって急に不安定になり、落ちつきを取り戻して寝るまでに小一時間かかってしまった。11時半頃にようやく就寝。

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12月9日(木)
 今朝も起きてしばらく落ち込んでいたが、クリスマスプレゼントの話題を出したのをきっかけに浮上して、自転車で登校していった。ただ、連絡帳を見ると、学校に到着したのは8時20分頃だったようだから、のろのろと自転車を漕いでいったらしい。
 L子さんは風邪が治って登校。昇平の方は調子が悪いので1校時目から図書室。2校時目の理科、4,5校時目の美術は理科室や美術室で受けたが、3校時目の英語は図書室で受け、6校時目の数学は疲れてしまってできなくて、図書室で休んでいたらしい。
 帰宅してからは割と元気に過ごしていたが、今日も就寝のためにパソコンのスイッチを切ったとたんに不安定が始まり、嫌な記憶の無限ループになった。こういう状態の時には、いくら話しても逆に混乱していくので、「疲れたから嫌なことが浮かんでくるんだよ。楽しいことを考えよう」と、冬休みに行けるフリースクールやクリスマスや大晦日、正月の話などをするうちに、やっと落ち着いていった。今夜も11時半頃に就寝。

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12月10日(金)
 朝起きてすぐ落ち込んでしまうのは、いつもの通りだけれど、週末が来るからか、比較的早く立ち直って、自転車で登校していった。1〜3校時は教室で授業を受け、4、5校時は図書室で活動。4校時目には面接練習をして、3学期になったら作文練習をする予定らしい。
 疲れて帰ってきたけれど、結局昼寝はしなかった。夕食の時にまた不安定になって、ひとしきり私と話をして落ちつき、その後は楽しそうにゲームをしていたけれど、寝る時間になってまた不安定になった。今夜はいくら話してもなかなか落ち着かず、一度落ち着いたと思ったらまたぶり返して、結局1時間半くらいかかって、ようやく11時半に就寝した。
 不安定な状態が進行しているように見える。疲れがたまってしまっているのかな。

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12月11日(土)
 親の会の学習会と忘年会が福島市である日だったけれど、義母はまだ腕が使えないし、昇平も不安定なので、今回は会の仲間たちにお任せして欠席した。
 昇平は朝10時過ぎまで寝ていた。起き抜けにひとしきり落ち込んだけれど、その後元気になって、日中は割と機嫌良くすごしていた。ただ、夕方あたりからまた不安定になり、嫌な記憶が無限ループで再現されるようになったので、7時半頃にリスペリドン0.5mlを服用した。副作用で眠くなっても、夜ならむしろ安眠できて好都合だと思ったのだけれど、不思議とこういうときには眠くならないらしい。不安定だけがおさまって、とても元気になった。(ということは、眠いという訴えは、薬のせいではなく体調のせい?)
 ところが、就寝時間が来てパソコンやゲームを終えるとまた不安定が始まった。それでリスペリドン0.5mlを追加したが(=医師の指示の通り)、今度はおさまらない。11時過ぎまで話したところで、「もう寝なくちゃ」と言ったら、「だって一人だと不安なんだもの。お母さんがいないと」。
 あ――そういうことか。私たちは今もまだ同じ部屋で寝ているのだけれど(昇平はロフトタイプのハイベッド)、たいてい昇平の方が先に一人で就寝する。そんなふうに一人で寝るのが不安で、それで不安定になっていたらしい。そういえば、私が疲れて先に寝たときには、昇平の不安定は起きなかった。
 それならば、と一緒に寝に行ったら、昇平もスムーズに眠った。「昇平にはお母さんが精神安定剤なんだな」と、それを見ていた旦那が、翌朝言った。

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12月12日(日)
 起き抜けに少し落ち込むけれど、じきに回復して朝食を食べ、アニメ「ポケモン」を私と観て、すっかり元気になった。その後、家庭教師と数学。相似の図形。途中で「調子が悪いから早く切り上げてくれ」と駄々をこねたらしいけれど、先生に上手に励まされ、間で楽しくポケモンの話などしながら、最終的には結構な問題数をこなしていた。
 その後も元気で、自転車で町へ買い物に行ったり、ゲームをしたり。午後の家庭学習は減らしてあげようと思ったのだけれど、本人が「できそう。やりたい」と言ったので、数学の二次方程式の計算問題を出したら、ちゃんとできていた。
 先日スクールカウンセラーのA先生とも話したのだけれど、昇平は決められたことややるべきことを「やりとげたい」子ども。「大変だからやらなくていいよ」と言ってしまうと、かえって、「ぼくはやるべきこともできない駄目なヤツなんだ……」と落ち込んでしまう。大変でもやりとげると、「ぼくはがんばってやりとげた。やればできるんだ!」とセルフエスティームが高まって元気になる。今のように調子の悪いときには、以前のようにたくさんの学習をこなすことはできないし、失敗しそうな難しい問題は出せないけれど、だからといって、「勉強なんてやらなくていいから」なんて言ってしまうと、逆に本人の自信を奪ってしまうんだよね。
 このあたりは昇平に特徴的な個性。個性をしっかり見極めないと、対応を間違うことになるなぁ、と改めて考えた。
 夜は9時にリスペリドン5ml服用。やっぱり飲んでも眠くなる様子はない。寝る間際にちょっとだけ不安が顔を出しそうになったけれど、私が一緒に寝室に行ったら、なんの問題もなく11時前には寝てしまった。

 私は、午後から昨日の忘年会で会えなかったIさんのお宅へ。久しぶりだったので、たくさんしゃべって、たくさん情報交換して、お互いちょっとずつ元気になれた。

[10/12/13(月) 09:05] 3行日記

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