昇平てくてく日記4

高校編

てくてく日記・192「高校卒業」

Sotsugyousiki
卒業証書を受け取る昇平

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3/9(月)〜3/15(日)

月:フリースクール
火:フリースクール
水:卒業式予行練習・卒業文集制作
木:卒業式(郡山市内)、兄帰省
金:病院、フリースクール
土:温泉一泊旅行
日:帰宅、兄関東へ戻る

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 昇平は無事に高校を卒業した。
 卒業式は3月12日木曜日。本校の単位制・通信制課程の子どもたちと合同の式なので、会場は郡山市内だった。朝早く起きて、昇平はスーツに着替えて、私の運転で郡山へ……。
 会場に勢揃いした子どもたちもみんなスーツ姿。担任の先生のひとりがそれを見渡して、「馬子にも衣装だなぁ」と感嘆。(笑) でも、本当にどの子も急に大人っぽく見えて、親としては感無量だった。

 通信制の高校にはいろんな生徒が集まってくるので、中には金髪に近い子や、式が近いから黒く染めようとしたけど染まり切りませんでした――なんて感じの子もいたけれど、チャラチャラした格好の子はひとりもいなかったし、式に臨む態度も真剣そのもの。誰ひとり、ふざける子も反発する子もいなかった。

 そんな様子を見て、私は昇平のために学校見学に行ったときのことを思いだした。
 職員室をのぞくと、生徒が何人も来ていて、金髪の子もいれば、ピアスをしてる子も、化粧をばっちりしてピンヒールを履いてる女の子もいたけれど、どの子も先生と真面目に勉強したり進路を相談したり、あるいは、職員室前のメダカを見ながら先生と談笑したり。格好は派手でも中身はとても素直な子たちなんだ、と直感した。先生たちとの信頼関係もしっかり築けていることも感じられた。

 ここの生徒たちは、中学時代までに不登校を経験したり、高校に入ってから友人関係や学業でうまくいかなくなって、途中から移ってきたりした子がほとんど。でも、だからこそ、「高校には通いたい」「勉強して高校を卒業したい」という気持ちは、人一倍強い。頑張って通い続け、レポートを提出し、勉強して試験にも合格して、無事に迎えた卒業式。校長先生の祝辞にもあったけれど、普通の高校にはないような感動に満ちあふれた、すばらしい式だった。
 昇平も壇上で卒業証書を受け取り、終わってからは福島校の生徒や先生たちで記念写真を撮り、郡山校の教室で最後のホームルームをして、晴れて卒業生となった。

 家に帰る車の中で、昇平がしみじみと言った。「これからはもう学校には行かなくていいんだね? なんか淋しいなぁ」
 そうだね、先生方はフレンドリーで面倒見が良かったし、学校全体が自由であっさりした雰囲気だったから、君に本当に合った学校だったよね。
 でも、これから手術を受けたり、その後障害者職業センターに通ったりと、先の進路も他の子たちとちょっと違っているから、担任の先生たちはまだ昇平を気にかけてくれている。「職業センターに通い始めたら、またご連絡くださいね」と担任のK先生からも言われている。
 今度は卒業生として職員室に顔を出したら、先生方はきっと喜んでくれると思うよ。

 卒業おめでとう、昇平。
 これからの君の人生が大きく拓けていきますように。

 その後、家族で行った卒業祝いの一泊旅行については、後日ひとりごとブログのほうで……。

(2015.3.17記)

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☆昇平のブログ→ 「826番ココログ」
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[15/03/17(火) 22:15] てくてく日記

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