 | 自己肯定への道 〜ひとりのADHD女性の手記〜
By くらげ |
その10
現在は、元々働いていた知的障害者施設に戻っています。
身障施設で働いていた期間は辛いことも多かったけど、「異動を経験して本当によかった」と心から思えるだけの収穫もありました。
いちばんは、身体障害についてほとんど知らなかったことに気付けたこと。身の程を知ることで恥をかかずに済みます。
そして、それまで知らなかった知識を身につけたというのは自信に繋がりました。
介護技術については、今の施設でもとても役立っています。知的障害者施設ではありますが、利用者の重度化、高齢化で、身体介護が必要な方も何人かいるんですよね(私が異動でいない間に増えていたし) 「これでいいのかな」と不安にならずに介助できるのは、身障施設での経験があるからですね。
専門分野が違うというだけでなく、単純に他の施設を経験したことで、視野や考え方の幅が広がったというのもあります。
あと、利用者にうるさく言われていたことがきっかけで、少しでも介護中に時間短縮する方法はないかと自分の行動を観察(?)してみて、どのように不注意なのかを改めて認識できました。
例えば、介助中に気がそれて利用者さんの部屋に飾ってある写真を見ていたりとか、自己決定できない方の更衣介助を始めてから、「長袖の方がよかったかな?」等と迷って手が止まったあげく、着替え直したりするとか。
そのようなことに気をつけて、短時間集中して介護を行う感覚がわかってきました。(気をはっている状態は長く保たないので、いつでもできるわけじゃないけど)
ちなみに、「あれを忘れた!」と無駄に動くのは、気をつけていてもなくなりませんね。ワーキングメモリー(短期記憶)の問題なのだなぁと実感しています。思いついた数秒後には忘れてるので(^^;
どうしても自分には無理なことがわかっているというのも大切ですね。「またやっちゃったよ〜」と思うくらいで、直さなきゃとは思わないですから。
利用者からのプレッシャーがなければ、「自分は不注意だから動きが遅いんだ」という認識だけで、意識すれば気をつけられることと、無理なことの見極めまではできなかったかも。
ADHDを自覚していると、「障害だからできないんだ」と思いこんだり、簡単に諦めたりしてしまうこともありえます。実際にそのような特性があるから上手くいかないので、「ADHDが原因だったんだな」と知ることで、気持ちは楽になります。
でも、人よりもちょっと努力すればできることも含まれていたりするんですよね。
環境を整える等の配慮も必要でしょうが、この「ちょっとの努力」というのは大切じゃないかと思います。
ただ、どうしてもできないことに関しては諦めも必要。
努力ではなく工夫でどうにかなることもあるけれど、どうしようもないこともありますからね。
素材提供 
|