「自閉症とセクシャリティに焦点をあてた家族プログラム」
受講レポート(2)

報告者:プーミンママ

受講日:2010年4月20日
会場:茨城県結城市公民館

もくじ

勉強会2日目は、"第2部 障害のある子の思春期・青年期"についてです。

2週目の目標
 ○ 障がいのある子に特徴的な困った行動を減らす方法を学ぶ
 ○ 子どもを信じる必要性やコツについて学ぶ
 ○ 性についての困った行動を大げさに考えない


まずは「ウォームアップ活動」と題して、あとだしジャンケンを行いました。5回勝負ファシリテーター(プログラムの進行役)にあとだしで何回負けることができるか?

結果
 5回とも負ければ"すばらしい!!"
 4〜2回では"まずまず"
 1回は"脳のリフレッシュが必要"
 1度も負けられなかった…(>_<)う〜ん!


次に、宿題「わたしメッセージ」の報告を順番に行っていき、いよいよ今週のテーマへと進みました。

最初は、子どもを信じること 〜SPELL を用いて〜
「SPELL」の意味ですが、英国の支援団体が提唱している支援の原則の頭文字を使用しています。

 ☆ S Structure = 構造化、分かりやすい指示を心がけること
 ☆ P Positive = 肯定的に
 ☆ E Empathy = 共感して
 ☆ L Low Arousal = 緊張(興奮)させないように
 ☆ L Links  = 連携

上記の具体例として、場面・活動・支援初期の行動→親(支援者)の不安、 支援のポイント(折り合い)・支援していく中での変化を表にして、表示されていました。
例えば、店内・トイレ編の場合、お子さんに一目散にトイレに向かう行動があるとします。

 「またこだわってる。こまったもんだ」
   ↓
 「トイレチェックは彼のお約束。そんなに困ったことじゃない」
と、する。

これはSPELLの"E"。彼の行動やこだわりに共感した結果、困った行動に見える彼の行動が、目くじらをたてるほどのものではないと思える結果となった例を表しています。

次はグループワークです。
「共感性のトレーニング」と題して、二語文自己紹介(ロールプレイ)を 2人1組で行いました。

ルールは、
 ○ 2人1組になりじゃんけんをします。
 ○ じゃんけんで勝った人は「話す人」、負けた人は「聞く人」です。
 ○ 「話す人」は、自分の昨日の1日の様子を自己紹介を交えながら「聞く人」にお話しして下さい。
 ○ 「話す人」は、1文に関して2語しか使えません。
 ○ 「聞く人」は、自由に質問して構いませんが、「話す人」は、質問に対しての答えも2語文以内です。
 ○ 時間制限は5分です。
 ○ 「話す人」と「聞く人」を交代します。

以上のことが終わった後、感想を発表していきますが、助詞が使えない状態で話をすることって、難儀だなぁというのが正直な気持ちです。
話すことに困難を持つ人にはこうした苦労があることをわかったうえで、聞き手が上手に話を誘導する、また、時には共感しながら(相づちを打ったり)聞き出してあげる(心の内をはき出す手伝いをする)必要があるなと、思いました。


次に、情報提供として
 「性は問題になる?」
 「性的な問題とみなす支援者の見方と、障害特性からの性的な問題行動」
といった内容を読み進めました。

 ふれあいのはじまり → ふれあいのひろがり → ふれあいのふかまり
 障がいのある人はゆっくり成長する

「できることに注目した子育てと できないことに注目した子育て」
 1.子どものできることに注目し、子どものできないことにはそれほど注目しない子育て。
 2.その逆の子育て。
 どちらが良いか? ……もちろん1。

この章では、
 @ 事例を提示しながら
 A 周りの大人が、ついつい、子どものできないことに注目する悪循環にはまってしまうことを知り
 B その悪循環にはまらないように、また、悪循環は入ったとしても抜け出せるように、ワークを通して、より良い対処を考えていく
上記の内容を事例を通して確認しました。

続いて、
「できることに注目した子育てのため」
肯定的な指示のグループワークを行いました。

 「ほめるのいろいろ」
 「ほめるのコツ」
 「肯定的な指示」
○×クイズも行いました。

そして無視(ほめるために待つ)の練習  ― ロールプレイ ―
〜 子どもの問題行動に巻き込まれない、子どもの問題行動から注目をはずすテクニック 〜

 ☆ 子どもに注目していることが伝わるテクニック
  (逆模倣・実況中継・子どもの行動を言葉で言うとき、楽しさ、嬉しさなどを表現する)
 ☆ 子どもが問題行動やパニックを起こしているときにも使える指示の心得(CCQ)
  ※ CCQ = 穏やかに(Calm)、近づいて(Close)、落ち着いた声で(Quiet)

以上のことを踏まえて、2人組で親子の役を順に行いました。(子どもの設定は小学生)
 パターン1:子どもを親の指示に従わせようと、あの手この手を使ってやってみる。
 パターン2:従わせたい指示を3度ほど静かに提示する。子どもが従わないので、親はその場ですぐに後ろを向く。

これは、まさしくペアレント・トレーニングで読んだ内容だなと思いつつ 取り組んでいました。かぶる部分があるんですね……なるほど。

次にあった「ソーシャル・ストーリーと5段階表の活用例」はさっと読み流し。
「問題の解決に向けて できないことに注目してしまっていないか?」の 内容へ進みました。
ほめることと無視することは、一般的な養育スキルとして普及してきています。しかし、障がいのある子どもたちにはさらに工夫が必要です。
の、文章から始まります。(以下、太字はワークブックダイジェスト版からの抜粋転載)

ここでは、例として無視の通じない(無視していることが本人に理解できない)受け身な性格の自閉症の女の子が登場します。
内容は以下のように続きます。


 一般的に無視はとても効果的ですが、そのための前提として、注目される・認められる・心地よさを十分に体験しておくことが必要です。自分の感覚的な快よりも他人からほめられる快に目覚めてもらえるように、ほめることをたくさんしておくことが、ここでの工夫です。
 また無視は、親の側に罪悪感があって、うまくできなこともしばしばあります。
「子どもが良い行動に気がつくチャンスを与えているんだ」
「注目をはずすことで問題行動が減っていくんだ」
 と自分に言い聞かせ、子どもが指示に従ったり、自分で気がついて望ましい 行動をしたりするまで我慢できたときは、子どもだけでなく、「うまく無視できた!」と自分をほめてあげましょう。


読めば読むほど……ペアレント・トレーニングの文字が頭のなかを行ったり来たり。
と思ったら、このワークブックには、いろんな役立つ先行研究の言葉が引用されているのだそうです。どうりで。納得です。

無視のタイミングが最初のうちはなかなか掴めなかったり、上記の内容にも あるように罪悪感があったり……と、取り組み始めてはみたものの、なかなか 上手くいかないと悩んだ経験のある保護者の方も少なくないと思います。コツが掴めるようになるまでの試行錯誤が辛いですよね。
また、この方法はわが子には合わない。だいたい、無視されていることに気がついていないわ……なんていうご家庭もあるかと思います。
十人十色でお子さんも様々。
また、親御さんも様々。


続いて、男の子の事例が2つ。

「こだわり」に一度スイッチが入ってしまうと止めるのに骨が折れるお子さん。
方法として、
 ○ こだわり行動が出そうな状況が親も段々にわかってくるので、その直前に 声がけをする。

また、親が子どもが面倒を起こすことに疲れ切ってしまっている事例。
 ○ 「今はお母さんは落ち着いて話せないから、あとで話そう」とタイムアウト 提案し家を離れる(も、方法です)。
 ○ 断るときはあいまいにせず「お母さんは、そういう(具体的に)言葉を言われるとつらい。脅したり、傷つける言い方をするなら、話せない」と私メッセージで話すことが有効。

ソーシャルストーリーも本人と私たち支援者が整理するために役立つ。


最後に、二語文自己紹介をやってみた感想(話す人の役と聞いた人の役の両方)と、肯定的な指示、まきこまれないための無視 ロールプレイをやってみての感想(パターン1・パターン2の両方)、そして今日のワーク全体の感想を書いて提出しました。

2週目もまた、宿題がでました。
内容は「お子さんの行動分類」です。注目する(望ましい)行動、注目しない(無視すべき)行動、制止すべき行動を、表に書き込みます。

以上が、2日目の内容でした。

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