昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

目隠し

◎4月24日の記録

 リタリン  1回目 8:00  2回目 12:00頃

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昇平は視覚情報に強い。
見たものを即座に判断したり、それを類推、分類したりするのが得意で、例えば、子どもの学習誌などを見ていても、絵の抜けているところにシールを貼る問題は、正確な位置に適当なものを貼ることが出来るし、順番を答えましょう、とか、ごちゃ混ぜになっているものを仲間ごとに分けましょう、などという問題は簡単にこなしてしまう。

ところが、その視覚認知力が高すぎるために、そこに引きずられて、聴覚的情報が入って行きにくくなる、という現象が起こる。
例えば、本を読んでいるとき、いくら呼びかけても全然反応しない、ということがよくある。無視しているように見えるのだが、実は、本当に聞こえていないのだ。・・・いや、聞こえてはいるのだけれど、脳がそれをしっかりキャッチできないでいる、と言うべきか。
普通の人でも、面白い本やテレビに熱中しているとき、誰かから話しかけられても気がつかない、と言うことが時々ある。あれと同じことなのだが、ADHDの子どもたちの場合、それがものすごく頻繁に起こってしまう。それで、わざと聞こえないふりをしている、などどいわれのない非難を受けて、叱られたりすることがよくあるのだ。

「昇平、○○するよ。・・・昇平! しょーへい!! しょう!!!」
ああ、まただ。また本に夢中で聞こえていない。
わざとじゃないのは分かるのだけど、これには本当に疲れてしまう。何度呼んでも聞こえないんだから。
とんとん、と軽く肩をたたいても良いのだけれど、それでもよく気がつかないことがあるから、こんな時には、あの手を使いましょう。
後ろから近づいていって、そっと、両手で目隠しをして「昇平、○○するよ〜」。
意地悪で目隠ししているわけじゃない、って分からせたいから、ちょっとふざけているみたいな口調を使って。
すると、ほらね。すぐに言われたことが分かって、振り向いた。
「○○? しょうへくんも、する!」

そして、こんな昇平の反応を見るたびに、ああ、この子がこんなふうなのは、決してこの子のせいじゃないんだな、とつくづく思い知らされてしまう。
ADHD。
外見からは理解されにくい、とても難しい障害だ。


 

[00/04/25(火) 05:48]

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