昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

対策1

◎5月11日の記録

 リタリン  1回目 8:00  2回目 12:00頃

   ☆★☆★☆

給食の時、どうやったら落ち着いて昇平が食べることができるか、連絡帳を通して担任と話し合ったわけだが、今日の連絡帳に、その結果報告がのっていた。
「対策1」として、今までいつでも手の届くところに置いてあった本を、お片づけの時に一緒に箱にしまって、届かないところに片づけてみたという。

昇平は、保育園では本当に本ばかり見ているらしく、今までにも、「本を読んで過ごしていました」「本が大好きなようです」と書かれてきたのだけれど、実際には、お気に入りで手放せない1冊があって、それを片時も離さず持ち歩いて眺めていたらしい。本を見ていると、先生の指示にも従えなかったり、給食の時にも、テーブルにつこうとせずに本を読んでいたり、という弊害が起こっていたようだ。自宅で、「星のカービィ」の本を片時も離さず、それを呼んでいる間はこちらの言うことに気がつかない、という状態と同じだったわけだ。
ところが、その本をお片づけの時に手の届かないところにしまってみたら、給食時に限らず、今何をする時か・・・に気持ちが向くようになったのだそうだ。一日にメリハリがついて、落ち着いて過ごせました、と連絡帳には書いてあった。

給食の時も、自分から進んで椅子に座ることは出来たらしいが、自分の分(ご飯2/3くらいと、牛乳のみ。おかずはやっぱり食べなかった)を食べ終わると、やっぱり席を離れてしまい、先生に連れ戻されても、また席を離れ・・・の繰り返しだったようだ。

   ☆★☆★☆

ADHDの子どもが何より苦手なのが、この「我慢すること」と「待つこと」。
わがままな性格でも何でもなく、脳の中の仕組みがそうなっているので、生理的にそう言う傾向が出てしまうのだ。
すぐ目の前の、手の届くところに、大好きな本があったら、もう見たくてたまらなくなって、給食やお集まりどころではなくなるだろう。
それを「今は別なことをする時間だから」なんて、ネコの目の前に魚をぶら下げてお預け食らわせるようなことをしても、なかなかうまくいかないはずだ。それよりは、初めから見えない場所に片づけておいてもらった方が、当人にとっても、はるかに楽で幸せなことだろう、と思う。
食べ終わった後、席に座り続けることにしたって、その間、何もすることがないのだとしたら、きっと「動くな、咳ひとつするな」と言われる座禅の修行のように、辛く感じられるのだろう、と思うのだ。

このあたりの部分、ADHDの子どもと、普通の人間との間には差がある。
なぜ待てないんだ、我慢できないんだ、と責めるより、そう言うことをしなくちゃならない場面を減らしてやった方が彼らのためには、ずっと生きやすく、気持ちがよいだろうと思う。
それこそが、配慮、ということなのだろう・・・と。

[00/05/12(金) 07:23]

[表紙][2000年リスト][もどる][すすむ]