昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

この世で一番怖いもの

◎5月30日の記録

 リタリン  1回目 8:00  2回目 12:00頃

   ☆★☆★☆

お兄ちゃんが宿泊学習から帰ってきた。
昇平は「おかえりなさ〜い」と言い、さっそく一緒におやつを食べていた。
お兄ちゃんも久しぶりの我が家にニコニコ顔。

ところが、夕方頃になって、お兄ちゃんの機嫌が悪くなり始めた。
疲れが出てきたのだ。ここが痛いの、なんのと不機嫌そうなことを言い始め、その度、昇平はおびえた顔をするようになってきた。
そして、夜、見たいテレビも終わって、明日の準備をする段になったら、「疲れてもうどうしていいか分からない! 頭の中がごちゃごちゃになってる!」と騒ぎ始めた。
汚れた運動着を洗濯に出すように言うと、明日、掃除の時に運動着を着なくてはならないから、絶対に持っていかなくちゃならない、と言い張る。・・・いくらそういう規則でも、こういう状況なら、洗濯する方が自然だと思うのだが。では、とゼッケンの付いていない新品をとりあえず持って行かせようとすると、それもダメだと言う。どうにも、真面目すぎて融通が利かないと言うか、なんというか・・・(-_-;;

そして、そんなお兄ちゃんを見て、昇平が泣き出してしまった。
昇平がこの世で一番怖いものが、泣いて騒いでいるお兄ちゃん。
お兄ちゃんがちょっとでも機嫌悪くなろうものなら、敏感に反応し、泣き出せば、自分も泣き出してしまう。一生懸命なだめようとするのだが、お兄ちゃんは、小さな弟の慰めなど受け付けないから、結局は階下のおじーちゃん・おばーちゃんのところへ泣きながら逃げていくことになる。
お兄ちゃんにしたって、疲れたときや悲しいときには泣きたくなるわけだし、母に甘える気持ちもあるから、そんなふうになるわけなのだが、昇平にはまだ、そのあたりが理解できない。
ただただ、いつもは優しいお兄ちゃんが別人のように怒り狂い泣く様子が怖くて、怯えてしまうのだ。
お兄ちゃんは大好きだ。でも、泣いているお兄ちゃんは怖くて大嫌い。
そんなジレンマの中に、彼もいるのだろう。

夜、お兄ちゃんは疲れ切って、部屋の電気を消すなり、もう眠ってしまっていた。
昇平と私も一緒に寝たわけだが、昇平が突然、しくしくと泣き出した。
直接の原因はない。おそらく、思い出して泣いていたのだろう。
大丈夫だよ、もう大丈夫だよ、と落ち着かせるようになだめると、そのうちに眠ってしまった。

泣く、というのは人の持つ自然な感情だ。
甘える、という気持ちだって、あって当たり前の感情だ。
お兄ちゃんは普段は弟を思いやる、優しくて頼りになる少年だけど、時には感情を爆発させたくなることがあるし、思い切り母に甘えたくなることだってある。
時々、その爆発が激しくなりすぎるときはあるけれど、それでも、誰かを攻撃するようなことは絶対にないし、大人になるに従って、少しずつ自分でコントロールできるようになってきている。
お兄ちゃんに、昇平が怖がるから絶対に爆発するな、とは言いたくないのだ。
そんなことを言ってしまったら、今度は、お兄ちゃんがかわいそうすぎる・・・・・・。

昇平とお兄ちゃんの間に、ケンカはない。
でも、兄弟というものには、やっぱり難しいものがある。

[00/06/01(木) 05:53]

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