昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

子どもたちの「許容」の心

◎6月22日の記録

 リタリン  1回目 8:00  2回目 12:00頃

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昇平は給食がほとんど食べられない。いつも、自宅から持っていくご飯(たいてい、白いご飯にごま塩がふってある)を食べて、牛乳やジュースが出るときには、それを飲んでくる程度。担任の保母たちは、少しでも昇平に給食を食べさせようと、根気強く働きかけてくれている。
今日、連絡帳にこんなことが書かれてきた。

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今日も、給食にキュウリが出てきたので、緑の皮の部分をむいてやると、5〜6切れ食べることができました。
すると、この6月からクラスに転入してきた女の子が、「昇ちゃんはどうして皮をむいてもらっているの?」と聞いてきたので、「昇ちゃんはね、おうちでもこうやって食べているんだよ」と教えると、「なーんか赤ちゃんみたいだね。・・・小さい組(年少組のこと)さんになればいいのにね」と同じグループの子たちに問いかけたので、そんなふうに言われて、みんなはすごく困った顔をしてしまいました。
4月からいっしょにやってきたみんなは、なんとなく昇平くんのことを分かっていて、理解し、受け入れてくれているけれど、具体的に言葉で昇平くんのことを説明しようとしても言葉が出てこない感じでした。私たち(保母たち)からは、あえてみんなに言葉で(昇平くんの障害を)説明したこともありませんし。
そこで、私が(その女の子に)「そんなこと言わないでね。昇平ちゃんも同じ○○組さんのお友だちでしょう? でもね、できないこととかがある時には、みんなで助けて上げたり、手伝って上げたりするんだよ」と優しく話すと、すぐに元気に「ハーイ」と答えて、さっそく、給食中に席を離れていた昇平に「昇ちゃーん、こっちおいで〜〜〜」と言っていました。
まわりの子どもたちも、ホッとした表情をしていました。

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この女の子は、すごくハキハキした、素直な子で、入園当初から昇平のことを疑問に思っていたらしい。
「なんでこの子は座っていないの?」とか、よく不思議がっていたという。
それは、とても自然な子どもの反応だと思う。
むしろ、今のクラスのお友だちのように、何も言われなくても、昇平を受け入れていく子どもたちの姿の方に、こんなに幼くても「許容」は身についていくんだ、と驚きさえ覚えてしまう。
その女の子にしても、
「理解すれば昇平くんのこと、優しく受け入れられる子なので、心配ありません。」と連絡帳に書いてあった。

子どもたちって、我々大人が思っている以上に大人なのかもしれない。
そして、やはり、子どもたちのお手本になる先生が、障害あるその子を理解して、受け入れているかどうかが、クラスの雰囲気を決める鍵になるのだろう。
子どもたちは大人の鏡だ、とつくづく感じている。

[00/06/23(金) 07:24]

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