昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

カルタ取り

◎7月15日の記録

 リタリン  1回目 8:30  2回目 12:00頃

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以前、昇平がどのくらいカルタ取りを出来るか調べてみたことがある。
5枚10枚と絵札を増やしていって、私が読み札を読み上げてとる、というやり方だった。
ちなみに、昇平は3歳になる頃からひらがなは全部読めたので、文字の理解力という点では、その頃から何も問題はなかったのだ。
結果、15枚程度までは楽勝だったが、絵札が15枚を越えたところで急に集中力が落ち、20枚を越えたら、絵札を並べ終わったとたんに興味を失って、どこかへ行ってしまった。
それは、20枚を越えると、昇平には全体を把握できなくなった、ということだった。
ADHDはさまざまな刺激が同じ強さで入ってくるために、自分の中で情報処理がうまく行かなくなる障害だという。たくさんの絵札の中から目的の文字の札を探し出す、という行為は、たくさんある中の、ひとつのものだけに意識を向けるという操作が必要なので、昇平には難しくて、たちまち興味を失ってしまったのだった。

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さて、今日の午後。
お兄ちゃんの友達が遊びに来て、一緒にゲームをしていたので、私と昇平は隣の部屋で一緒に遊んでいた。
母がパソコンをしていないものだから(笑)、昇平は喜んで、次々とおもちゃなどを持ってきて、母を遊びに誘ってくる。
ドミノ倒し、チョロQのレールコース作り、紙芝居、工作、etc.・・・

そのうちに、カルタも持ち出してきて、「ぜんぶならべる」と言う。「全部並べてもいい?」とお伺いを立てている雰囲気だった。
今までだと、カルタをたくさん出すと、出しただけで終わってしまうものだから、枚数制限することが多かったのだ。
「やりたいなら、全部並べていいよ」と答えると、喜んで1人で並べ始めた。読み札の山は、全部私の方に押しやってきた。
そして、全部の絵札を散らし終わると、文字札を読んでくれ、と言ってきた。
昇平の目の前には50枚近い絵札が並んでいることになる。

試しに読んでみた。
「『お』・・・おかのうえに、しろいくも。『お』」という具合に、初めに文字を読み上げ、それから文章を読むようにしてみた。
すると・・・たちまち『お』の札を取ったではないか!
目で絵札の中を探し回り、ちゃんと『お』を見つけ出して、「はいっ」と得意そうに拾い上げる。
「え、もうとれたの? はや〜い!」と驚きながら、次々読んでいったが、確かに、昇平はその枚数でちゃんとカルタ取りが出来ていた。
たまに、うまく見つけられないときもあったが、「この辺だよ」と範囲を指定してやると、すぐに目的のカードを選び出す。
そうするうちに気がついたのは、昇平が読み上げられた言葉で場面を思い浮かべて探している、ということ。
たとえば、「『ほ』・・・ほねも立派な大きな魚」と読むと、『ほ』の文字ではなく、大きな魚の骨の絵を探して見つけ出しているのだ。
文字が手がかりになったのは、読み札に使われている単語が理解できないときだけで、それもめったになかった。
結局、10分くらいかけて、全部絵札を取ってしまったが、見つけられなくて「ここにあるよ」と私に教えられることは一度もなく、本人もとても満足そうな顔をしていた。
しかも、遊び終わると、一緒に札を箱に片づけて、輪ゴムをかけ、引き出しにちゃんとしまうことが出来た。・・・う〜ん、満点だ。(^_^;)

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つまり、これは昇平の全体把握力が上がったということなのだと思う。
50枚近い絵札が目の前に並んでも、ちゃんと、その中から目的のものを選び出す力が育っていたのだ。
情報の処理能力が、それだけアップしたということになるのだろう。
最近、言葉の理解力が上がっていたことも、背景としてあると思う。
もともとが、視覚的処理能力の高い子なので、言葉で場面を想像することさえ出来たら、その場面の絵を見つけ出すことは割と楽なのだ。

カルタ取りを一緒にやっただけのことなのだが、それを通して、昇平の成長ぶりをはっきり感じることが出来て、とても嬉しいひとときだった。

[00/07/16(日) 07:38]

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