昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

「お楽しみ」は不安

◎10月18日の記録 

 リタリン  1回目 8:15  2回目 12:30頃
 
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高機能自閉症者の自伝「ずっと『普通』になりたかった」(グニラ・ガーラント著/ニキ・リンコ訳/花風社)を読み始めている。

昇平はADHDと診断されているけれど、同時に「自閉症のような特長がある」とも言われている。
実際、彼の行動などを見ていると、自閉症に共通するところが非常に多い。
周囲の認知がなかなかうまく行かないところとか、こだわりがあるところ、コミュニケーションがとりづらいところ・・・などなど。
だから、最近、私は彼を「限りなく自閉傾向に近い」と言う意味で「準自閉っ子」なんて呼んでいたりもする。(笑)

もしかしたら、彼は自閉症じゃないのかもしれない。
ADHDが強すぎて、周囲の認知がうまく行かないために、自閉症のような症状を見せているだけなのかもしれない。
けれども、少なくとも表面的には自閉と同じような行動を見せているわけだから、ADHDと同時並行して自閉のことも知っておくことが、彼を育てて行くには有効だ、と思える。
というわけで、前出の本を手に入れて、読み始めているのだ。

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さて、本の初めのほうに、こんな記述がある。
「突然のお楽しみとか、中身はあけるまで秘密とかいうのは、ときどき耐えがたいことがあった。(中略)お楽しみというのはそれでなくても恐怖なのに、この恐怖は黙って忍ばなければならなかった。」

突然のお楽しみ、開けてみるまで、始まってみるまでのお楽しみ、というのはよくあるし、普通の子どもたちならこれは一般に大好きなのだけれど、昇平もこれはかなり苦手になっている。
突然のお楽しみのほうは、まだ良い。
準備のないままに突然始まるから、ちょっとの間はおびえるけれど、それが楽しいことだと分かると、後は楽しんで見たり参加したりできるから。
これから「お楽しみ」が始まるよ、と予告されて、それが何か分からないときに、不安がとても募るらしいのだ。

今日は保育園で10月生の子どもたちのお誕生会があった。
秘密のメニューが出てくるお楽しみ給食があって、子どもたちは毎回ワクワクなのだが、昇平の反応は以下の通り。(連絡帳から抜粋)

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今日のお誕生会は初めから給食のメニューを気にしていました。
「お楽しみメニューだから、先生も分からないんだよ」「お誕生会だから、きっとおいしいメニューだよ。大丈夫!」と言って聞かせたのですが、繰り返し聞いては「ワァ〜〜」と泣いていました。
給食を配っているときも大泣きで、保育士を追いかけては「スイカ食べたらごちそうさま(する)〜」と言っていましたが、保育士が一対一で座って「全部食べたらスイカね」と言ったら(ほとんどが昇平くんの好きそうなメニューだったので)、結局、栗ご飯の中の栗を残しただけで、全部食べられました。

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昇平の場合、始まってしまえば、食べ始めてしまえば、不安はなくなっていくのだが、そこにたどりつくまでが大変なのだ。
かといって、生半可に予告しておくのも、逆に不安をあおることがあるし、なかなか難しいのである。

[00/10/19(木) 05:57]

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