昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

診察日・8

◎10月30日の記録 

 リタリン  1回目 8:15  2回目 11:30頃
 
   ☆★☆★☆

午前中、M病院へ薬をもらいに行ってきた。
昇平は保育園。
診察室に連れていっても、いつものような行動をとらなくて、主治医のY先生に「う〜ん、まだもう少しですねぇ」と言われてしまうので、最近は、私だけが行って最近の様子を報告することにしているのだ。
半年に一度の町の相談会にはY先生もいらっしゃるので、実際の様子はその時に観察してもらおうと思っている。

それにしても、Y先生とお話しするのは、とても久しぶり。
前回は予定が合わなくて、薬だけをもらってきたし、先週後半は先生が学会でいらっしゃらなかったので、実に6週間余ぶりの診察になった。・・・いや、昇平を診てもらったわけではないから、「診察」とは言えないのかな? ・・・ま、いいか。

まずは、10月はじめにあった運動会の報告。
皆と一緒にちゃんと参加できた話をすると、「そうですか〜!」と先生も喜んでくださる。
この、患者の成長を一緒に喜んでくれるところが、親としては本当に嬉しい。
運動会の練習をしてきたおかげで、運動会の後も、周囲の子どもたちの様子を見ながら行動する場面が多くなったことを話すと、「今回の運動会の一番の成果はそれでしたね」と言われた。私もまったく同感。

また、時間の概念が分かってきたものだから、逆に焦ってしまって、昼の給食をほおばりすぎるようになったこと、大泣きの声が大嫌いで、泣いている子やそのまわりの子を殴りに行くようになったこと、しかし、「ケンカは仲直りするお勉強」と先生に言われたら、ケンカに関しては納得するようになったこと、先日ウンチがトイレで出来たこと、などなど、最近のことを報告。
話しながら、保育園の先生たちには本当に良く対応してもらっているなぁ、と改めて感じてしまった。
もちろん、こちらも同じ問題を一緒に考えたり、家でもできることなら一緒にやったり、とそれなりに協力はしてきているわけだけれど。
でも、保育園で昇平が学んできていることは本当に大きいし、先生たちが根気よく昇平に合わせて教え続けてくれるおかげで、これだけ伸びてきているんだな、と思うと、本当にありがたい気持ちでいっぱいになる。
Y先生も「今、昇平くんは一番大事なことを(保育園で)学んでいるところですね」と言われた。
社会で生きていく上でまず必要になるさまざまな約束事(ルール)、自分の周囲の世界に気がつくこと、まわりの人たちの存在に目がいくようになること・・・・・・。
私は最近「保育園が一番の療育の場」と感じているのだけれど、それをはっきり肯定してもらったような気がした。

   ☆★☆★☆

今回は、昇平のことだけでなく、友達から教えてもらったとある本の内容についても話をしてきた。
その本の中にはADHDに関する記述もあるのだが、その表現があまりに極端で、ちょっとどうかな〜? というものだったのだ。
ADHDの二次障害である行為障害(暴力、破壊的行動、反社会的行動)などをものすごく強調してあって、しかも、それがADHDの子ども全部がそんなふうになっていくような書き方になっているのだ。

ADHDの子どもたちは、確かに、行為障害を起こす確率は高い。
それというのも、障害を理解しない周囲の人間から「お前はダメな人間だ」「どうしてこんなこともできないんだ」「怠け者」「バカ」と、幼い頃から叱られ、ののしられ続けることが多いので、成長しても自己肯定感や自信というものを持てなくて、その結果、思春期にさしかかると暴力、非行、あるいは不登校、鬱病、自殺などの二次障害を引き起こしやすいのだ。(ただし、不登校や鬱病、自殺などは行為障害とは呼ばないと思う・・・たぶん)
とにかく、育て方が適切でないとADHDの子どもが行為障害を起こすことは確かに多いが、その本では、このことに関して全然言及していないのだ。
まるで、ADHDの子ども全部が行為障害を起こして、他人をナイフで刺したり、殴ったり脅したりするような書き方をしている。
けっこう有名な専門家の本なので、そのこと自体もショックだった。

その本の文章の抜粋をY先生に見せて、その話をすると、Y先生は苦笑いをしながら「こう言うのは、最近ものすごく多いですからね〜」と言われた。
「専門家でも、まだまだADHDを誤解している人は多いんですよ。実際にADHDの子どもを長く診ている先生なら、こんな文章は書けないはずです。実際には、治療を受けて良くなっていく子どもたちがたくさん出てくるわけですからね」とも。

情報氾濫の時代だけに、こうした誤った情報に惑わされることなく、正しい情報をきちんとつかんで、それに沿って我が子を育てていくことが大事なのだ、と言われた。
また、こういうことを書く人たちには、直接抗議するより、遠回りなようでも、正しいADHDの知識を社会に広めていくことの方が有効だ、とも言われた。
直接抗議してもこういう人は決して自分の誤りを認めないだろうけれど、社会全体がADHDを正しく知るようになると、「おや? 自分の考えは間違っていたかもしれないな」と気がつくようになるから、だそうだ。なるほどね。(笑)
そのためには、この「てくてく日記」のようなものが有効なのだ、とも言われた。
ADHDの子どもたちが実際に治療を受けて、良くなっていく過程を世に知らせることが出来るのだから、と。
思いがけず誉められたような気がして、ちょっと照れてしまった私でした。(^^A

ADHDはまだまだ世間によく知られていない。
けれども、新聞で度々取り上げられるようになってきたことでも分かるように、関心は高まっているし、正しい知識も少しずつ浸透してきているような気がする。
微力ながら、私もそのお手伝いが出来たら嬉しい、と思っている。

[00/10/31(火) 06:08]

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