昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

児童相談会・2

◎11月6日の記録(続き) 

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児童相談会で、昇平を自閉症児と見たときの対処法を、心理士のNさんにうかがった。

田中・ビネー式検査の後で、実際に保育園などで困っていることの相談。
まき子先生と一緒に、まず、泣いているお友だちに乱暴するようになってきたことを話す。
「なぐるのはいけない」と一目で分かるように、友達をなぐる絵に大きく×を書いた絵カードを準備して、その場面になったら、それを見せたら、と言われた。ことばで禁止しても興奮しているときには通じにくいだろうから、と。
あるいは、誰かが泣いているときにすぐに避難できる昇平専用の避難所を作ってやって、なぐるよりそこに「逃げる」ことを覚えさせたら、とも言われた。
ある自閉施設では段ボールの箱で家のようなものを作って、そこを避難所にしているらしい。

食事の時に、食べ終わりの時間を気にしすぎて大急ぎで口にほおばってしまったり、気が焦ってパニック気味になり、大泣きしながら食べる問題。
先生が食べるものを小分けにして提示すること。食事のプレートの上で、食べるものをいくつかのブロックにおいてやり、それを順番に食べるよう指導する。おはじきなどをテーブルの上に置き、ひとつ食べたら、おはじきを左から右に動かして、食事のペースを理解させる。

それ以外にも、いくら最近ことばによる理解が進んできたからと言っても、昇平のような子どもにはことばによる理解はかなりの負担なので、絵カードなどによる情報提示は続けた方がよい、というアドバイスも受けた。
例えば、給食の献立を気にするので献立表を見て教えておくと、その日の食材の都合などでメニュー変更が起こって困ることがある、という話をしたら、本来のメニューを書いた絵カードの上に新しいメニューの絵カードを重ねてやると、メニュー変更になったという理解がしやすいのだ、と言われた。

空模様が怪しそうな日に、外遊びをするかと聞かれて、「雨が降らなかったら遊べるけど雨が降ったら室内遊びだよ」と教えても、曖昧な予定がなかなか理解できない件には、昇平の生活パターンに合わせずに、園の生活スケジュールがこうなのだから、と、きっぱりと室内遊びの時には室内、と言い聞かせる(外遊びに×の絵カードを見せる)と良いだろう、とも指導された。

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・・・で、ひととおり、そのアドバイスを聞いての感想。

N先生、すみません! どうしても、ピンとこないことがほとんどでした。(^_^A

N先生は特にTEACCHと呼ばれる自閉症児療育法の勉強を良くなさっている方で、それに基づいて指導してくださっているのは分かったのだけれど、そのTEACCHのやり方が昇平に合わないというよりは、すでにその段階はクリアしてしまった、と感じることがあまりにも多かったのだ。

このてくてく日記などをずっと読んでいて下さる方はご存じだと思うのだけれど、1年ほど前、「お絵かきスケジュール作戦」と称して、その日の予定や行動などを絵と文字で書いて昇平に理解させていた時期があった。
その頃には絵による理解補助は役に立ったのだけれど、それはもう何ヶ月も前に卒業してしまって、今では彼に理解できることばと表現さえ使えば、話しことばだけで充分予定などを伝えることができるのだ。
今、敢えて絵カードを作ったとしても、それは余り意味がない、と私には思えた。・・・よほど複雑な状況や理由の時には、今でも絵で教えることはあるけれど。

食事にしても、おはじきをつかって視覚的にペース配分させても、おそらく効果がない気がする。
なぜなら、パニックが起こるのは保育園の給食時に限られているから。
保育園の給食ができるだけ全部食べなくちゃならない(嫌いで食べられないものは残して良いと分かってはいるけれど)、時間までに食べ終わらなくちゃならないのも分かっている。分かるだけに、それで気が焦ってしまって、自分なりの食事ペースが作れなくなってしまっている。
それが今の混乱の原因だから、ひとつずつ食べて、それが終わったら食事を終わっていいんだよ、と教えることでは解決にならない気がするのだ。
食事時に先生が食べるものを小分けにし、口の中のものを飲み込んだら次のを食べると言う指導は今現在、すでにやっているし。

自閉症の子どもたちには、たしかにTEACCHのようなやり方で全体の見通しをさせたり、生活の予定や行動の手順を視覚的に理解させるのは、とても有効なのだろう、と思う。
ところが、それを昇平に当てはめてみると、TEACCHのそもそもの目的の部分で昇平には合っていない、と感じてしまって仕方ないのだ。
それは、昇平にADHDがあるから合わない、とかいうのではなく、そのやり方では彼が今抱えている問題を解決する手助けにはならない、という感じ・・・う〜ん、うまく表現できない。

もしも、昇平に使えそうなやり方であれば、たとえ少し合わなくても、私は昇平にやり方を合わせてやってみよう、とすぐに思う。例えば、雨が降ったら室内遊び、降らなかったら外遊び、というのを理解させればそれで解決するのならば、初めから「雨→室内遊び」「曇りまたは晴れ→外遊び」という2枚のカードを作って、実際の外の天気と照らし合わせて理解させる方法を思いつくだろう。
ところが、昇平が曖昧な予定をなかなか理解しないで何度も聞くのは、実は、どちらの予定になるのか分からなくて不安だから。

昇平は、予定が未知数なのが怖いのではない。外遊びが当人のスケジュールになっているのに、それができないからパニックになっているのでもない。
本当は外遊びしたいのだけれど、それができるかどうか分からないから、不安なのだ。・・・これって、発達段階としては幼いけれど、ごく普通の子どもの反応のような気がするんだけれど・・・。

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確かに、昇平には自閉症のような特長が目立つ。
特に2〜3才の頃にそれが強かった。
だから、そこから診断したら、昇平は自閉症の一種と診断されるかもしれない。自閉症にADHDが重なっているケースだ、と。
ただ、今回相談会で話して、いろいろ考えて分かったことは、昇平と自閉症で重なっているのは「場や人の感情などの読みとりがうまくできない」という認知の部分の問題だけ。
ことばで説明したり、絵などの視覚的補助を使ったりして、本人に分からせることさえできたら、その後は何のパターンも手順も必要なしに、自分の力で問題を解決していく。その過程は普通の子どもたちと変わりがない。

N先生がおっしゃるように、昇平は「ただのADHDではない」のは確かで、「特に丁寧な対応が必要なケース」であるのは間違いないと思う。
ただリタリンを飲んで、叱るより誉めて、自分の力で自分をコントロールすることを身につけさせる・・・というADHDの基本療育だけでは足りない、と私も思っている。
もう少し積極的に、場を理解させること、集団行動を身につけること、人と関わること、そう言うことを教えて行かなくてはならない子どもだ、と。
だから、自閉症の対応の仕方にも、ヒントになるところはたくさんあるのだけれど、でも、根本の部分で、何かが違う、と感じてしまう。
むしろ、Y先生が言う「不注意が極端に強いために場の理解などができなくて自閉症のような症状を示している」と理解した方が、しっくりくるような・・・・・・

とはいえ、Y先生も診察の際には昇平に自閉の可能性を含めて見ているようだし、私としては、診断名で自閉を先にされようが、ADHDとされようが、別に余り気にならないし、対応の仕方さえはっきりつかめれば、それでよいと思っている。
その意味では、アドバイスそのものはあまり参考にならなかったけれど、昇平の状態像を改めて把握するのに、とても良い機会になったので、N先生には本当に感謝している。

そうそう。
インターネットでの情報収集も良いけれど、実際に障害ある子を持つ親たちの集まりにもでて、直接話したり体験談を聞かせてもらったりする、生の交流もぜひした方がよいですよ、というアドバイスもされた。
それは確かにそうだとおもうので、なんとか機会を見つけて参加してみたいな、と考えている。

[00/11/08(水) 07:53]

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