昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
心理検査(WISC-R)を受ける
◎12月9日の記録
リタリン 1回目 8:50 2回目 13:00頃
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午前中、M病院へ心理検査を受けに行った。
「検査をする」と言っても昇平には理解できないので、「Y先生の病院にお勉強しにいくよ」と説明しておいた。実際、心理テストはさまざまな課題、問題を解くことで発達度や能力の分布を見ていくので、お勉強とイメージ的には同じ。なんの問題もなく取り組むことができた。(昇平は「お勉強」が大好きだし。笑)
今まで行ったこともなかった2階の奥まった部屋で検査。
周囲の音などで検査を邪魔されないように、ということなのだろう。
心理士の先生は、まだ若い男の方で、とてもソフトな人当たり。でも、質問するときにはしっかり昇平の目を見て、注意を引いてから話しかけていたので、昇平もすぐになついてしまった。当然かもしれないが、さすがはプロだと思った。
昇平は、自分に分かるように話しかけてくれる人には、よくなつく。自分の言うことを理解してくれる大人にもなつく。・・・逆に言えば、そこを考慮しないで話しかけたりする大人がとても多い、と言うことなのだけれど。(苦笑)
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テーブルを挟んだ椅子に先生と昇平とで座って、検査開始。
私は昇平の左後ろの椅子に座っていた。
本当は検査の時は子供と先生だけでするはずなのだが、昇平の場合は母から離れると不安になるので、いっしょにいることになったのだと思う。
検査の名前は、WISC-R。個別式知能検査のひとつで、これまでの相談会で受けてきた田中・ビネー式検査と同じ類のもの。ただし、調べてみたら、WISC-Rの方はきちんとした専門知識の教育と訓練を受けてきた人でなくては検査することができないらしい。やはり、病院で受ける類の検査だと言える。
問題は大きく2つの種類に分かれていて、ことばだけで問題を聞いて、それに答えるものと、手を使って積み木やパズルなどを動かして、図形を完成させるといったようなもの。
ことばだけの問題には、田中・ビネー式にもあった「帽子はなにをするもの?」というような質問もあった。(ちなみに、昇平はなかなか答えられなかった。「どこにつけるの?」と聞かれて、やっと「頭」と答えられた。)
これで、言語性IQと動作性IQというのが算出され、その総合値として全検査IQというのが出てくるらしい。
昇平は、見事なまでに動作性の問題をよく解いていた。もちろん、できない課題はあったが、この検査は5才から16才くらいまでが対象らしいから、難しい内容があっても当然だろうと思う。
特に、赤と白に塗り分けられた積み木を使って図形を完成させる問題は、ほとんど完璧に近くできていて、母も先生も感心してしまった。図形に強い子だとは思っていたけれど・・・
ところが、言語性の問題になると、たちまち分からなくなる。(^_^;)
絵を見て答える問題ならまだましなのだが、ことばだけで質問されて、それにことばだけで答える内容になると、まず聞かれていることが分からない。分かっても、なんと答えてよいのか分からない・・・という感じ。
すぐに検査に飽きて、部屋の中をうろうろし始めたり、バッグに入れておいたおもちゃをとろうとして母に叱られたりしていた。
この状態は「多動」。けれども、主に課題に興味を持てなくて起こっている多動なので、リタリンを飲んでいても押さえられないものなのだ。多動にもそれぞれ理由があるな〜、などと、のんきに考えていた母だったりする。(笑)
でも、先生の方もさすが。
昇平が課題に集中しなくなったな、と思うと、ぱっと昇平の好きな動作性の課題に切り替えて、興味を引いていた。・・・昇平が興味を持ちすぎて、どんどん先生の方に近づいていくので、「席に座っていたら次のパズルを出して上げるからね」などと言われる場面も幾度もあったが。(^^A
今までの相談会での検査では、昇平の興味を持続するのに母がずいぶん手助けしなくてならなかったのだが、今回はその必要がまったくなかった。
おかげで、母も検査の様子を面白く観察していることができた。(笑)
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さて、そうやって算出された昇平の知能。
言語性IQ82、動作性IQ112、トータルとしての全検査IQは95と出た。
言語能力はかなり低く、それに対して、動作性の能力はずば抜けて高く、それをならすと年相応のIQということ。
けれども、言語性IQと動作性IQの差は、実に30にもなり、これは立派に「問題あり」の状態。ここの差が大きい場合、いくら平均値が正常範囲でも、正常ということにはならないのだ。
正常ではない。問題あり。
・・・付け加えておくと、心理士の先生は、こんな言葉遣いはなさらなかった。私が勝手にそう解釈しているだけ。(笑)
だって、分かり切っていたことだもの。
昇平はことばが大幅に遅れていて、ADHDがある。
いくら平均して正常値が出たって、絶対に「正常」ではないのだもの。
とはいえ、「知的障害ではないですね」と、そちらの方面はきっぱりと否定された。
検査の結果を踏まえながら、さらに先生と話をした。
昇平はことばそのものの理解は進んでいるが、特に耳から聞くことばを理解する力が弱いこと、また、自分からことばを発する力が弱いこと。一方、図形などには非常に強いので、絵や図など視覚的補助をしながら課題に取り組ませると、昇平は伸びるだろう、ということ。
将来は、図工的なものを得意にさせるとよいだろう、とも言われた。
このあたりは、母の観察とまったく一致。
自宅の昇平の棚も、図工のための専用お道具棚になっているほどだし。(笑)
「そちらの方面(聞き取る能力を主とした言語面)でLDの可能性はありますか?」と聞いてみたところ、「その可能性はありますね」という答え。
初めて、LDの可能性を認めてもらえた!
母はずっと昇平にLDを疑ってきたのだ。
ただのADHDとは違う。極端に言語能力、特に、聞いて内容を理解する力が弱い。
LDを持っているのではないか、と思い続けてきたのだが、これまでの検査ではそこまで判断できなかったのだ。
ただ、LDに関しては小学校に上がってから専用の検査をして、具体的に弱い部分を見つけたり対策を考えたりすることになるらしい。(今は、まだ、その検査を受けるには幼すぎる、ということ)
はっきりした診断は、もうしばらくおあずけということになった。
自閉の可能性も聞いてみた。
「(自閉傾向が)いくらかあるかもしれませんが、現在の状態では、問題にするほどではないですね」という答え。
むしろ、人の話がなかなか理解できないために、話しことばが発達しないし、そのあたりから人との関わりも弱くなっているのではないか、というような話だった。
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検査を受けて、詳しい診断が出たといっても、それで本人が変わるわけではない。
病院が対応を変えてくれるわけでもない。
変わるのは、私たち親や教師の対応。
今まで、漠然と「こうかな?」と感じていたことが、数値ではっきり表れたことで、より具体的に、より的確に対処しやすくなった、ということ。
今回の検査結果は、保育園にも知らせるつもりでいる。
指導の際に絵や図といった視覚に訴える補助が有効だ、と言われたことも、しっかり伝えようと思う。
それと同時に、家庭では、耳でことばを聞き取る訓練もしていこうと考えている。
訓練と言っても、そんなにすごいことじゃない。
ただ、ゲーム感覚で楽しみながらできそうな訓練のアイディアをひとつふたつ思いついているのだ。・・・私はこういうことを考えるのが好きなので。(笑)
もちろん、また情報収集もしようと思っている。
ポイントが絞られると、情報を集めるのも楽になるのだ。(*^^*)
検査は、これからの対処を考える出発点。
気持ちを新たに、またがんばるぞ〜!!
・・・でも、焦らず無理せずにね。<と自戒。(笑)
[00/12/10(日) 07:53]