昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
発達相談会
◎3月5日の記録
リタリン 1回目 8:30 2回目 12:00
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町の乳幼児発達相談会に行ってきた。
思い起こせば、昇平の療育はここから始まったのだ。
あれからもう、丸2年が過ぎた。
相談会に参加するのも、これが5回目・・・かな?
田中・ビネー式発達検査も今回が4回目。
ずいぶん慣れたと思う。
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田中・ビネー式は、12月に病院で受けたWISC-R発達検査と比べて、数値が今ひとつ正確に出ないのだと言う話なのだが、それでも、ずっと同じ検査を受け続けていると、昇平の現在の発達状況がとても良くつかめるようになる。
今までは、母がそばにいて、心理士の先生の出す課題を「通訳」したり、本人の注意を持続する手伝いをしたりしていたのだが、それでも、途中で飽きて席を離れてしまったり、検査を嫌ってパニックになったり、ということも起こっていた。
でも、今回はきっと、母の補助無しでも検査をやり通すだろう、という予想がついていた。
朝、本人に「今日は保育園を早くお帰りして、○○でテストをするよ。テストってのは、こういうことをやってね・・・」と説明したら、本人も検査を覚えていて、とても乗り気になっていたし。
実際、やってみたら、ほとんど先生と昇平の直接のやりとりで、検査をやりきることができた。
席を離れてしまったり、検査物をのぞきに行ったり、あれがやりたいのこれは嫌だのと、落ち着きがないのは相変わらずだけれど、それでも、先生に「ちゃんと座ってね」と言われると、また席に戻って、検査を再開していたし。
それだけでも、ああ、やっぱりずいぶん成長していたんだな、と感じることができた。
実際の検査結果でも、ことばによる質問にずいぶん答えられるようになっていて、感動してしまった。
曜日を全部覚えていて、それを逆から言うこともできたのには、びっくりしてしまった。
ここまで理解しているとは思わなかったのよね。
ただ、チャートをみて場面を理解するとか、不自然な箇所を指摘する、という検査は、やはりまだ思わしくなかった。
状況認知がまだ弱いことを示していることになる。(と、私は判断した。笑)
検査途中、黒いおはじきだけ使って並べる課題があって、それが終わったとき、昇平は白いおはじきも同じように並べたがった。
結局、それをやらせてもらったら、満足して次の課題に移れたのだけれど、「並べるのが好きなんですか?」と心理士の先生にしっかりチェックされてしまった。
はぁい。相変わらず自閉的行動は残っております。(笑)
以前よりはずっと少なくなりましたけどね。
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で、検査の結果。
実際の数値はまだ算出されていないのだが、全体評価として、ことばの力が著しく伸びている、と言われた。
この心理士の先生に検査してもらうのは8カ月ぶりだったのだが(去年6月にやっていただいたF先生)、その間に、本当に、目を見張るばかりに伸びたのだから、先生もさぞ驚いただろうと思う。
「私は検査しただけで、具体的に何かしてあげたわけでも何でもないのだけれど、こんなに伸びているのを見ると、私までなんだかすごく嬉しくなるんですよ」なんて、ニコニコと満面の笑顔で言って下さるのだから、こちらまで嬉しくなってしまう。(*^^*)
「自分は、あまり厳格に検査を進めないから、悪い心理屋なんですけどね〜」なんてF先生は言う。
「でも、私はこういうお子さんたちの研究のためのデータを取っているのではないんですよね。何のために検査をするのかって考えると、お子さんが少しでもよりよく伸びていく手助けをするために、その指導の手がかりにしたくて検査をするわけだから、検査の手順や基準にあまり厳密に従って、それに少しでも合わないときには、(その検査項目を)『できない』ってことにしてしまうのには、抵抗があるんです。やり方を少し工夫したり、子どもさんの興味に合わせて課題を出していけば、気持ちよく取り組めて、ちゃんと出来るかもしれないんですからね。もったいないじゃないですか〜」
・・・なかなかユニークな心理士の先生です。(*^^*)
でも、私自身が、検査結果の数値の上がり下がりを知りたいわけじゃなく、前と比べて今がどういう発達状況にあるのか、何が伸びていて、何がまだ良く伸びていないのか、そのあたりを押さえて、昇平の指導に生かしたいと考えているものだから、このF先生の考え方には、もう諸手を挙げて賛成してしまうところなのです。
そしたら、F先生「分かっていただけると嬉しいわ〜!」なんて。二人で思わず盛り上がってしまいました。(笑)
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今回、一番相談したかった内容は、最近少しずつ友達との関わりが出てきたので、大人はそれにどう関わるのが有効なのか知りたい、ということだった。
検査の結果、ことばが大きく伸びてきていることを受けて、F先生は「自分や相手の気持ち、状況などを、短く分かりやすいことばで置きかえて、獲得させていくと良いですよ」と言われた。
たとえば、昇平が悲しい気持ちでいたら「悲しいんだね」と言ってやって、『ああ、これは悲しいって気持ちなんだな』と本人に理解させる。そして、悲しんでいるお友だちがいたら「○○ちゃんは悲しいんだよ」と教えると、自分自身の悲しい気持ちと引き合わせて、理解(共感)できるようになっていく、ということ。
とにかく、分かりやすい、短いことばで説明していくことが有効だろう、と言われた。
これは、11月に行った教育相談会での心理士N先生とは、まるで対照的な指導になる。
N先生は、昇平は自閉症なのだから、いくらことばの力が伸びてきたと行っても、ことばだけで納得させるのではなく、目に見える形で理解を助けるべきだ、と指導してくださった。
もちろん、それは自閉症には正しい指導法であるのだけれど、私は、どう考えてもその方法は昇平に合わない、と思えてしかたがなかったのだ。
N先生も、仕事熱心で、優しくて、とても良い先生なのだけれど、それでも、ことばをわきに置いたような指導法にはどうしてもピンとこなかった。
今回のF先生は、基本的に昇平をADHDと見ている。だから、ことばが伸びてきているから、ことばによる指導を、と言ってきたわけだが、こちらのやり方の方が、私にはすごく納得がいった。ああ、これだ。こっちの方向だ、と。
・・・う〜ん。親の直感としか、言いようがないかな。(^_^;)
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その後、主治医でもあるY先生と面接、相談したが、その時にも、ことばが発達することで質問にもきちんと答えられるようになってくるし、そうすれば、人と人とのつながり(コミュニケーション)がもっと発達するだろう、と言われた。
今年1年は、昇平くんの基本的生活習慣を整えたり、ことばの基礎を作ったりしてきた年でしたね、と言われたので、「来年は、これをふまえて、社会性が発達してくる年になるような予感がしています」と答えたら、「きっとそうでしょう」と言われた。
・・・嬉しかった。(*^^*)
最後に。
今回の相談会にも、保育園の担任のみお先生が一緒に来て下さって、相談をしたり、指導内容を一緒に聞いてくれたりした。
ここまで熱心に対応してもらえて、昇平は本当に幸せ者だと思う。
Y先生にも「ほとんど理想的なケース」とまで言われたし。
みんなのおかげで、昇平は成長している。
本当に、感謝に堪えない。
[01/03/06(火) 05:44]