昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
ことば〜発達検査の結果に思う〜
◎3月6日の記録
リタリン 1回目 8:30 2回目 12:00
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今回、4回目の田中・ビネー式発達検査を受けたわけだが、これまでの検査の結果を保健婦さんに頼んで、まとめて教えてもらえたので、それを比較してみた。
主治医のY先生いわく、田中・ビネー式は、検査のしかたなどで出てくる数値に幅が出やすく、実際の数値より10ポイントくらい高く出やすいですよ、ということだった。
また、検査する心理士によっても、数値にばらつきが出やすいかもしれない。
厳格に検査方法を守るN先生と、検査方法を少しフィジーにしても現在の伸びを数値に表そうとするF先生とでは、やはり、検査結果に差が出てくるだろうし。
というわけで、今回の検査結果を、前々回、同じF先生にやってもらったときの、平成12年6月5日の検査と比べてみると・・・
去年の時の生活指数はちょっと不明なのだが、知能指数(IQ)の方は、実に30ポイントも上がっていた。
以前、半年の間に7ポイント上がったときでさえ、「すごい伸びだ!」と驚かれたのだから、これは、本当に驚異的な伸びだと言えるんだろう。
ただし、IQの数値そのものは、ここに載せないでおくことにする。
秘密主義だからではなく、数値そのものには、あまり統計学的意義がないから。
昇平のIQを知りたい方は、今年1月11日の日記に載せたWISC-R発達検査の結果をご覧ください。m(_ _)m
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で、この数値の伸びの原因なのだが、実は、急に昇平の頭が良くなったわけではないのだ。
この1年間、特に気をつけて昇平を観察してきたが、昇平自身、中身は別に変わっていない。
リタリンを飲んだから、急に勉強好きになって、熱心にお勉強するようになったわけではないし、こちらでも、知識や学問を教え込むようなことはしなかった。ただ、本人が興味を持って調べたり、尋ねてきたりしたことには、惜しみなく答えてあげるようにはしてきた。でも、それだって、昔からやってきたことだったし。
要するに、ことばの能力が上がったために、心理の先生から出される課題が理解できて、それに答えられるようになったこと。
そして、集中力が伸びたために、検査を最後までやり通すことができたこと。
それから、状況認知力が上がってきたために、今は検査をするときなのだと理解できるようになり、きちんと検査に取り組めたこと。
これらが、高いポイントを出した原因なのだ。
もちろん、本人が成長した部分もある。
でも、この大幅な伸びの原因は、やはり、昇平が急にお利口になったわけではなく、本来持っていた力をようやく発揮できるようになった、ということなのだと思う。
もちろん、リタリンがその手助けをしてくれたことは間違いないけれど。
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今回の相談会でアドバイスされた内容を受けて、ことばでの働きかけに、いっそう気をつけるようになった。
話しかけるときには、昇平の目を見ながら、はっきりと短めの文章で言う。
昇平に分かりやすいことばを選ぶ。
あいさつも、しっかり目と目を合わせて言うようにする。
「今日、保育園で何を作ったの?」というように、その日の出来事をことばで聞いてみる。
その際には、連絡帳に書かれたその日の活動の様子が参考になる。
折り紙で製作した、とあったので、「折り紙で何を作ったの?」と聞いてみたら「へびと、ししまい」という答えだった。ちぎり絵ではなく、紙を折って、のりで貼って製作したらしいが、本当にそうだったかどうか、担任の先生に確認してみようと思っている。
この文章を入力している今日は、お誕生会がある。昼食のメニューが内緒のごちそうになっているので、「お昼は何を食べたの?」と聞いてみようと思っている。
ことばのトレーニング? 受け答えの訓練?
・・・でも、もしかしたら、本当は、私は昇平と会話できるようになったことを楽しんでいるだけなのかも知れない。(笑)
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今でもしょっちゅう思い出す。
昇平が何も話せなかった2歳代のあの頃。
「おかあさん」も「ママ」も言えなかった。
何か要求があるときには、人に頼まずに、さっさと自分でやってしまっていた。
自分でどうにもならないとき、なにか不快な思いをしたときには、ただパニックを起こして泣き叫ぶだけだった。
要求があるのに、それを周囲に伝えられなくて、泣いてわめいて騒ぐ昇平を見ながら、「なんでもいい。たった一言でいいから、声に出して気持ちを伝えようとしてくれたら・・・! そうしたら、それを手がかりにこっちで気持ちを察してあげるのに!」と、泣きたいくらいの気持ちで思った、あの日のこと。
自閉の特徴とされ、問題行動扱いされることが多いクレーン現象でさえ、「これだって、りっぱなことばの代用品だ」と嬉く思えた、あの日のこと。
なかなか増えないことばの数を気にしながらも、焦ってもしかたないや、と開き直って、ただひたすら、楽しくことばに触れることに専念した、あの頃のこと・・・。
あの頃から比べると、本当に、天と地の差のように成長した昇平。
特に、この1年間の伸びは著しかった。
相談会に来てくれたみお先生(担任)が、「正直、入園当初には、私たちもこんなに昇平ちゃんが伸びるとは思っていなかったんです」と言っていたけれど、親である私たちでさえ、それは同感なのだ。
もちろん、それでも他の同年代の子どもたちから比べたら、昇平はまだまだ幼いし、コミュニケーションも下手くそだし、いろいろ問題も抱えている。
「追いつけ、追い越せ」と考えてしまったら、せっかくの昇平の成長ぶりも、心から喜ぶことはできないだろう。「確かに伸びてきたわね。・・・でも、やっぱり他の子よりは遅れているわ。何とかできないかしら」と考えることになる。
それでは、あまりにもったいない・・・!(笑)
というわけで、今日も私は親バカ一筋でいこうと思う。
話せるようになってきて良かったね、昇平。
もっともっと、いろいろ楽しいお話をしようね。
そして、だんだん、他のお友だちともこんなふうに楽しくお話しできるようになると、いいね。(*^^*)
[01/03/07(水) 11:05]