昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

遠足

◎5月19日の記録

 リタリン  1回目 8:30  2回目 11:30
 
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保育園の遠足があった。
行き先は隣町の運動公園。しばらく前に我が家でも出かけた、高さ40mのジャンボスライダーがある場所。

朝9時に駅前に集合。電車に乗れるので、子どもたちはワクワクドキドキ。
昇平も、何日も前から「遠足」「遠足」と楽しみにしていた。
前の晩など「あしたは遠足だから早く寝ようね」と言うと素直に早々と眠ったし、朝の着替えも朝食も「遠足に遅れるよ」と言うと、いつになく早い早い。(笑)
その話を先生にしたら、「みんなそうなんですよね〜」と笑っていた。

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去年の遠足では、当日の朝になって雨が降り出してしまい、残念ながら保育園内での遠足になってしまった。
ホールで手遊びをして、各教室に別れてお弁当。
昇平は大勢が集まる賑やなホールがイヤで、そこにいる間中、ずっと耳をふさいで私の膝に顔を突っ伏していた。
お弁当の時にはデザートの缶詰のミカンだけをパクパク食べていたのだけれど、その様子を見て、担任の2人の先生が「昇ちゃんがこんなふうに食べているところを初めて見た!」と驚いていて、その後、本格的に昇平に給食を食べさせる取り組みが始まったのだった。
あの頃は、昇平は給食をほとんど食べていなかったのだ。・・・今となると、懐かしい思い出だけど。
遠足が終わる頃になってようやく雨が上がったのだけれど、そうしたら、昇平が「雨が上がったから電車に乗る」と言いだした。
前の日に、副担任のまき子先生が「あしたは電車に乗って遠足に行くよ」と言いきかせていて、電車に乗るのを楽しみにしていたのに、雨が降ってしまったものだから、「雨が降ったから電車に乗れなくなったんだよ」と、また言い聞かせていたのだ。雨が降ったから電車に乗れない。では、雨が止んだのだから、電車に乗れるのだろう。と昇平は考えたのに違いなかった。
遠足が終わった時間も早かったので、私と昇平は特別に車で駅まで行き、そこからわざわざ電車に乗って、4つ先の駅まで行って、少し散歩をして、また帰ってきたのだった。
電車に乗っている間も、散歩をしている間も、昇平は楽しそうだった。遠足がそもそもどういうものか、理解できないでいたのは分かったけれど、昇平自身がそれで楽しいならば、それでいいか〜、と思った。
・・・それが去年の遠足のこと。

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今年、昇平は遠足がどんなものか、ほとんど理解できていた。
電車に乗って隣町の公園へ行き、そこで遊んでくるのだと言うことも、ちゃんと分かっていた。
みんなと一緒がとても嬉しそうだった。
高い場所は相変わらず怖くて、ジャンボスライダーにも網のトンネルにも絶対に挑戦しなかったけれど、前回怖くて滑れなかった小さなスライダーを一人で滑り、親の手を借りなくては通れなかった石の階段を自力で上り下りし、前回は不安ですぐに引き返してしまった、鉄の輪のトンネル(う〜ん。説明が難しいぞ)も、クラスのお友だちと一緒にちゃんと最後まで渡りきることが出来た。
他の子たちの様子を見て、自分にも出来る、自分もやりたい、と思っているのが、はたから見ていてすごくよく分かった。
集団はありがたい、とつくづく思った・・・。

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朝、駅で待っていたとき、そばにいた同じクラスの女の子が聞いてきた。
「昇平くんのお母さん。昇平くんは、どうしていつも泣いてばかりいるの?」
出た! 子ども特有の、遠慮のない質問攻撃。(笑)
そこで私は、ちょっと考え込んでから「ん〜と・・・昇平くんもそのうち、だんだん泣かなくなってくるからね」 だから、みんな、もうちょっと待っていて上げてね、というニュアンスで答えてみた。
その子は、すぐにそれで納得してくれた。
う〜ん。やっぱり子どもたちは素直だなぁ。(*^^*)

結局、子どもたちは、悪意も何もなく、ただ純粋に疑問なのだ。
同い年のクラスメイトなのに、何故、その子だけこんなふうな行動をするのだろう。何故、その子だけあんなことをしているのだろう。
純粋に不思議だから、それにまっすぐに答えてもらえると、それだけできちんと納得してくれるのだ。
難しいことは理解できなくても、心から心への思いは、ストレートに伝わっていくような、そんな気がしている。

で、そんなふうにまともに子どもと受け答えするものだから、母は何人かの子どもたちから気に入られてしまったようで、その後も、公園ですれ違ったりすると「昇平くんのお母さ〜ん!」なんて、ニコニコと手を振られたりするようになってしまった。
遠足終了後、スーパーに買い物に回ったら、そこでもクラスの女の子にばったり出会って、またまた「昇平くんのお母さん、見て見て〜! おやつにこれ買ったんだよ」なぁんて一幕も。
その子は、それから、きょろきょろとあたりを見回して「昇平くんはどこ?」「あっちのお菓子売場で、自分のおやつを選んでいるよ」。
あとで行ってみたら、その子と昇平の2人が、お菓子売場に仲良く並んで立って、何やら話していた。
何を話しているのかまでは聞こえなかったけれど・・・。
親が気に入られると、子どもも一目置いてもらえる、とは、先日掲示板で話題になった内容だけど、それって本当だなぁ、なんて改めて思ったりしていた。(笑)

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今回の遠足でつくづく感じたのは、昇平がしっかりクラスの中で受け入れられている、ということ。
普通とはちょっと違った子、とは受けとめられているけれど、だからといって、仲間外れにされていることもない。
それでも一緒のクラスのお友だち。
そんなふうに思ってくれているのが、はっきりと伝わってきた。

特定の仲良しが出来始めていることも分かった。
以前、Sくんという男の子と仲良く遊ぶことが増えてきた、と担任から聞かされたことがあったけれど、今回はJくんという男の子ともよく関わっていた。
そばにいると、どちらともなく近くに寄っていって、相手のしている遊びを眺めたり、2人で一緒に遊具のところへ出かけていって、一緒に遊んだりしていた。
2人で会話もしていた。長いやりとりや、難しい内容は話せないけれど、それでも、話しかけ、それに答え、ということが起こっていた。
う〜ん。本当に成長したよなぁ、と母はしみじみ感動していた。

友達関係は、これからますます発達していきそうな予感。
今の課題は、会話がまだあまりうまくないことと、一緒にする遊びがあまり長続きしないこと。
ここがもう少し発達してくれば、もっともっと友達との関わり方が深まってくることだろう。
これからの園生活がどんなものになっていくのか、とても楽しみになった母だった。

[01/05/20(日) 16:13]

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