昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
日曜日の行動の記録
◎6月3日の記録
リタリン 1回目 10:00 2回目 −−
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日曜日は、リタリンを1回だけしか飲まないドラッグホリデー。
時間を遅めにして投与したので、一日の中でその効果や行動の変化をしっかり観察することができた。
タイムテーブル風に記録してみる。
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8:30A.M.
バレーの練習に遅れる、とあわてて起きだした兄の気配で目を覚ます。前夜10時の就寝だったので、少しは睡眠不足解消になったかな?
毎朝のことだが、着替えは遅々として進まない。パジャマのズボンとオムツを脱いでも、その格好のままごろごろと寝転がって漫画など眺めている。これも毎朝のことだが、母が「お母さんが布団を上げるのと、競争ね」と呼びかけると、やっとその気になる。母の進行具合が気になって、何度も隣の部屋に来て、布団の上に乗る(妨害)。だが、ちょっとした拍子にまた気がそれて、何かを読み始めたり、遊びはじめてしまったり。まったく、ADHDってヤツは・・・(^_^;)
最近、反抗期なのか、こちらのいうことにわざと逆らうようになってきたので、それを逆手に取る。「あ、そのまま本を読んでいてね。着替えしちゃダメだよ。お母さんが負けちゃうから(*^^*)」というと「ちがう! ぼくが勝つよ!!」と飛び起きて、あわてて着替えを進める。母より早く着替え終えることができて喜ぶ。(母が手加減していることには、まだ気がつかないのよね〜。笑)
9:00A.M.
兄は先に食べ終えてバレーの練習へ行ったので、父と母と3人で朝食。よく食べるが、これも食べ終わりまで時間がかかる。今朝は35分くらいかかったかな。昨日買ってきたかき氷器でデザートにかき氷を作る約束をしていたので、それを励みにがんばって食べる。
それでも、すぐにそのことを忘れて、食事から気がそれてしまうので、そのたびに声かけをする。「ほら、これを全部食べたらかき氷がもらえるよ」「昇平くーん」「がんばれ〜!」・・・何十回繰り返したことか。(^_^;)
かき氷を作る様子には大喜び。そばに貼り付いて氷の削れる様子を眺め、シロップにブドウのカルピスをかけてもらうと、2階の部屋で嬉しそうに食べる。
10:00A.M.
リタリンを飲む。7.5mg。
父が所用で外出したので、母と「お勉強」をする。
ひとつのことに長時間取り組ませると飽きてしまうので、3つのメニューを組み合わせる。
1.こどもチャレンジの付録だった「なぞりんボード」(水ペンを使ったひらがな練習シート)で、主にひらがなの筆順練習。最近、自分でひらがなを書くようになったのだが、ものすごい書き順で書いているので。今直しておかないと、後々修正に苦労するから。
2.公文式の3〜5才用『やさしいことばのおけいこ』。動きのことばのところを3枚。本当は2枚で終わるつもりだったのだが、本人が「もうひとつやる!」と言う。ホントに「お勉強」が好きな子だなぁ。(^_^A
絵を見ながら適切な動きことばを選ぶ問題は、難なくクリア。ことばそのものはよく知っている。
3.『らくがき本』1冊。印刷してある絵に自分で描き足してそのページを完成させるというもので、タイトルは「わくわく えいがかん」。ところどころ、もうやってあったが、そこにまた描き足したりして、全9シーン、全部完成させる。カード対決のシーンやゲームのシーンの絵が多い。・・・本物の映画なんて、見に行ったことないもんなぁ。(苦笑)
各メニューは12〜13分程度ずつ。初めの準備も含めて、全体で40分くらいかな。
おもしろかったのは、なぞりんシートに名前を書くところ。自分の名前には「ロウロウ」(自分でニックネームをつけたらしい)、お友だちの名前には最近とっても仲のよい「Jくん」、好きな人の名前というところには「???????」。大好きなHちゃんの名前でも書くのかと思って見ていた母は、大笑い。ふ〜ん、昇平でも好きな女の子のことは秘密にしておきたいんだぁ。(^o^)
「お勉強」で一番気をつけているのは、内容の修得ではなく、昇平に自信を持たせること。昇平はとにかく、自分のすることに自信を持てないことが多いから、ちゃんとできるんだよ、大丈夫なんだよ、とメッセージを送り続けるのだ。・・・ま、要するに、誉めて誉めて、誉めちぎるんだな。(笑)
書き順をきちんと守って書けたら「ちゃんと書けたね〜!」、間違った字を直すことが出来たら「そうそう。良くできたね!」、1ページ分完成させられたら「やった、やった、すご〜い!!」。
だから、内容は本人に割と楽にできるものを選ぶ。そこに、ちょっとだけ今より高度なものを混ぜて。
昇平は「お勉強」が大好きだけど、こんなふうにたくさん誉められるから、なお好きなのかもしれないなぁ。(笑)
「お勉強」のあとは、昇平のリクエストですごろくをした。ちゃんと順番もルールも守って遊べる。
ただ、母が先に上がりそうになると、たまにずるい手を使ってきたりするので、母は「それはずるい」と指摘したり、わざと見て見ぬ振りをしたり。そのあたりは臨機応変に。(笑)
11:00A.M.
父が戻ってきたので、バトンタッチ。母はパソコンに向かう。(笑)
昇平は父にRPGゲームをやってくれ、と頼み、自分はそれをちらちら眺めながらお絵かきを始める。
というわけで、父も思いがけず自分の好きなゲームを楽しめた。(笑)
このあたりから、本格的にリタリンが効き始める。「お勉強」中にお絵かきをしたときは課題を次々にやりたがって、1つ1つをじっくり描き上げる、ということがなかったのだけれど、この時間帯になって、1枚の絵にじっくり取り組むようになる。たぶん、集中力が増すからなのだろう。この日は、お気に入りの漫画『よしえさん』の表紙絵を写していた。完成すると「見て!」と得意そうに見せてくる。かなりよく似ている。
0:00P.M.
兄がバレーの練習から帰ってきたので、家族6人で昼食。
昇平はリタリンが一番効いている時間帯なので、食欲がない。食パンの角をほんの少しと牛乳1杯でごちそうさま。あとでお腹が空くだろうと思い、残ったご飯をおにぎりにし、鶏肉入り野菜炒めと一緒に弁当箱に詰めておく。
このあたりの2時間くらいは、本当に行動が落ち着いておとなしくなる。ただ、表情的にもあまり変化がなくなり、ちょっと難しそうな顔をしていて、いつものようなニコニコした表情があまり見られなくなった。まあ、そうは言っても、無感情になるわけではないし無気力になるわけでもないので、これくらいはしかたないかな、と思っている。
0:30P.M.
まだ昼食を食べている父のところへ、おもちゃのバットを持って「野球をやろう」と誘いに来る。
庭で遊ぶのかと思ったら、2階で野球のピッチングマシンごっこをしよう、ということだった。
オムツやパンツを入れているケースの蓋に溝があるのだが、その溝に沿ってピンポン玉を転がし、父がその玉をとってぽいっと投げると、昇平がそれをバットで打つ、というもの。
漫画「よしえさん」のなかに、ピッチングマシンで遊んでいる場面があって、それを真似して昇平が思いついたらしい。30分以上その遊びをしていたが、「面白かったぞ」と父も気に入った様子。
1:30P.M.
兄の友だちの中学生2人が遊びに来る。昇平の嫌いなゲームを始めたので、隣室の父のところへ避難していく。
外が真夏並の暑さということもあって、兄たちは午後中部屋の中でゲームゲーム。あまり良くないな、とは思うものの、家の中で元気に遊ばせるわけにも行かないし(彼らに元気に遊ばせたら、家が壊れてしまう。笑)、中学生くらいの年齢になると親があまりうるさく口出しすることもできなくて、このあたりの対処には悩むことも多い。遊んでいる姿は、和気あいあいとして楽しそうなのだけれど。う〜む。
2:00P.M.
父の車でスーパーまで買い物に出かける。母は留守番。
スーパーでは好き勝手なところには行くものの、行きつけの店なので迷子になる心配もないし、特に迷惑になるような行動もとらなかった、とは父の報告。きっと、いつものようにおやつコーナーにまっすぐ向かって、時間をかけてあれこれ吟味してきたんだろうなぁ。(笑)
3:00P.M.
結局、4個100円という小さなおやつを買って帰宅する。「四つ全部食べてもいいですか?」と母に聞いてくるので(こう言うときだけは、とても丁寧な言い回しを使う)、「いいよ」と答えると、飛び上がって喜んで、隣室に行って食べる。(兄たちにとられないように?)
このあたりから、リタリンが切れ始め、多動が始まる。意味もなくパソコンのある部屋と隣室の間を行ったり来たりし、独り言のような歌うような「う〜」という声をひっきりなしに出し、わけもなくニコニコし続ける。ちょうど、とてもご機嫌でハイになっている人のような様子。体が自然に動いてしまうのを、自分ではどうしようもないのだ。「落ち着きないねぇ」と思わず言いたくなる。(^_^;)
薬の切れる時間帯には、通常以上に多動になる(リバウンド)。30分〜1時間くらいでリバウンドはおさまり、ちょっと落ち着く。声も出さなくなる。
3:30P.M.
買ってきたおやつをぺろりとたいらげ、それでもなお、お菓子を食べたがるので、ピンと来る。薬が切れて、お腹が空いてきたのだ。「お弁当を作ってあるよ」と言うと、喜んで台所に行き、おにぎり小1個と野菜炒めを綺麗に食べてしまう。その後、スイカも食べる。兄たちも一緒。今年初物のスイカ。けっこう甘かった。
4:30P.M.
母の膝に乗って漫画を音読したり、読めない漢字を母に読ませたり。兄たちのゲームを眺めたり、隣室の父のところで遊んだり。遊びもひとつに集中することがなく、ミニカーやその他のおもちゃを出してきたり、本を読んだり。リタリンは完全に切れて、ひとつのことへの集中時間が短くなる。2階の2つの部屋の間をうろうろと渡り歩く。
5:30P.M.
母は台所で夕食の支度中。2階で遊んでいたはずの昇平、素っ裸で台所に現れる。どうしたのかと思ったら、おもらしして、父に全部脱がされてしまったのだった。寒いのか、恥ずかしいのか、自分で自分の肩を抱いて笑っていた。
2階に上がって着替える。着替えは、タンスから衣類を出すところから、完全に自分ひとりでできる。
6:50P.M.
家族揃って夕食。昇平はパスタ、コロッケ、塩キュウリ、フライドポテト、お弁当の残りのおにぎり1個、キャベツと油揚げのみそ汁を食べる。一応箸で食べているが、まだはさむところがうまく行かなくて、手で取ったおかずを箸にはさませている場面も。「手は使わないんだよ」と注意する。
好きな食べ物を食べているうちは集中がよいが、苦手な野菜が残ってくると、とたんに食事スピードが落ち始める。椅子カバーのチェック柄をたどって迷路遊びしたり、台所に貼ってあるポスターをもっとよく見る、と言い出したり、台所の隅に置いてあるお菓子の袋を眺めに行ったり。・・・本当は、こういう視覚的刺激はできるだけ減らしておきたいのだが、大勢の家族と暮らしていると、こういうところまで徹底するのはなかなか難しい。
とにかく、ひたすら声かけをする。「がんばって食べようね」「食べ終わったらデザートにゼリーがもらえるよ」「よそ見しないで、前向いて食べてね」「モグモグするの忘れてるよ」「お〜、がんばってるね。あと少しだ」「えらいえらい。次は○○だね」「ガンバレガンバレ、しょーへいっ!」食事に注意を持続させるのに、母は本当に何十回声かけをしているやら。・・・もしかしたら、百回以上かも?(^_^;)
この日、母は7時半から家庭教師のアルバイトがあったので、途中で父に応援係を交代してもらう。が、声かけするのもちょっと大変そうなので、タイマーを渡し、「メニューひとつごとに、3分から5分くらい時間を決めて上げるといいよ」とアドバイス。ちょっと困惑気味な父の顔。(笑)
8:45P.M.
母、家庭教師から帰宅。昇平が父とトイレにいる。またおもらししてしまったらしい。
母の留守中、一人でパソコンに向かってゲームをしていたが、そのゲームがフリーズしてしまったので父に応援を求めたらしい。ところが、ツールバーを昇平がおかしな位置に動かしてしまったために、父にもどう対処して良いか分からず、それで昇平がパニックを起こしたのだという。パニック中におもらししたのか、その前からおもらししていたのかは、よく分からないが。ウンチも少しもれていたから、きっと、パニックより前にウンチを我慢していてもらしたんだろうな。
どうしても、リタリンが切れている時間帯にはおもらしが多い。効いている日中なら「おしっこ」とちゃんと教えるし、ウンチだって、保育園ではちゃんと先生に教えているというのに。このあたりは、まだもうちょっとかな〜、と思う。
母がパソコンのゲームを強制終了させる。その後の昇平は落ち着いていた。
9:10P.M.
母と兄と3人でお風呂にはいる。兄が母と一緒に入ってくれるのは、あとどのくらいの期間かな?(^_^;)
昇平、一応自分で体を洗う。が、どうしても気はそぞろ。洗い方も雑。母が背中を洗ってやるついでに仕上げ洗いもする。
シャンプーもする。これは母が強制的に洗ってやる。本人、初めは嫌がるが「シラミが来るよ」と言うとあっさりOKになる。シラミ予防のボスターでシラミの写真を見てから、昇平はシラミが頭に来たら大変だと思っているのだ。頭を流すときに、顔をしっかりおおって我慢していたので「おー、すごいすごい!」「と〜っても上手だね〜!」「昇平くん、えらいっ!」と誉めまくる。
シャンプーが終わると、ホッとしたのか、はしゃぎ気味になる。口に水をいっぱいに入れて風呂から上がり、脱衣所で床に吹き出してしまう。母のスリッパが濡れる。「そんなことをしちゃいけません!」きっぱりと、でも感情的にならないように気をつけながら叱り、雑巾を持ってこさせて、水を拭かせる。・・・ADHDの子どもを叱るのには、なかなかテクニックがいるなぁ。(苦笑)
その後の着替えは、茶の間の祖母の前で。
ところが、ここでもゴロゴロ寝転がるばかりで、なかなか着替えが進まない。また、タイマーを持ち出して、「さあ、あと3分で着替えられるかな?」と持ちかける。3分ではボタン留めまでできなかったので、さらに1分延長してやったら、15秒くらいで終わってしまった。「おーっ、早かったねぇ!」と誉める。得意げな顔。
その後は歯磨き。これにも時間がかかる。(苦笑)
もう、最初からタイマーを持ち出して、2分間歯磨き、1分間仕上げ。虫歯の穴が大きくなってきているようなのが、とても気になる。「今度の水曜日には、必ず歯医者さんで治してもらおうね」と言い聞かせる。昇平も「ちゃんと削ってもらう」と言う。
でも、いざその場になると、やっぱり怖くなっちゃうんだよね・・・。今度こそ治療ができるといいけれど。
9:50P.M.
先に部屋に行った兄は、布団の中ですでに夢うつつ。
着替えのごほうびだったパソコンのゲームを、ほんのちょぴりだけやらせてから、布団に入る。いつものように「お話しして」とせがまれたので、電気を消してから『一休さんの虎退治』の話をする。虎の絵が描いてある屏風、といっても昇平にはイメージがわかないので、それは虎の絵が描いてあるふすま、ということにした。
最近、昇平は物語の理解度が少しずつ良くなってきている。「ふすまの絵の虎って、本当に外に出てくると思う?」と話の途中で聞くと「思う・・・う〜、思わない」「そう。出てくるわけないよね。将軍様はね、一休さんを困らせようと思って、わざと絵の虎が外に出てきて暴れるって、嘘をついたんだよ」・・・なんて具合に、ことばで登場人物の心理を説明すると、それで納得して話を理解できる様子。いつも、お話のあとはお話にちなんだクイズも出すのだが、それで確かめてみると、だいたいはストーリーを理解しているようだった。勘違いしている部分やよく理解できなかった部分は、母が分かりやすいことばで短く説明してやると、それで理解する。
「将軍様は、一休さんに、嘘ついて試してごめんなさい、私が悪かったです、って謝ったんだって」と最後に言うと、「めでたし、めでたし」と締めくくってくれた昇平だった。(笑)
が、しかーし。
その後も昇平はなかなか寝ようとしない。
布団の中でブツブツしゃべりながら、持ち込んだおもちゃで遊んでいる。
「もう黙って寝なさい!」と母に叱られ、ようやくおしゃべりがとまる。と思ったら、たちまち眠ってしまっていた。就寝、10:20P.M.。兄の方は、すでにぐっすりと夢の世界だった。
もっと早く寝せたい、と思うのに、いつもいつも10時過ぎ。これじゃ睡眠不足になっちゃう。とか心配していたら、翌朝、昇平は自分から6時半に起きだしてきた。元気いっぱい。けろりとした爽やかな顔。
結局、この子は睡眠時間が短くても平気なタイプの子だってことなのかもしれない。
・・・やれやれ。(苦笑)
[01/06/04(月) 11:45]