昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

参観日

◎6月9日の記録

 リタリン  1回目 8:30  2回目 12:30
 
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土曜日は、保育園の参観日だった。

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最近の昇平は、スケジュールをきちんと理解することができる。
今回の参観日も2日ほど前から説明しておいたのだが、朝起きたとき、今日は特別の日なのだとちゃんと覚えていた。
ただ、参観日の回数そのものが少ない上に(保育園は親が忙しいので、参観日の回数はとても少ない。私が去年行った参観日は、たった1回きり。)前回の参観日の時には、昇平はまだ夢の中に暮らしているような状態だったから(笑)、実際にどういうことをするのが参観日なのかは、昇平の記憶にはほとんど残っていないようだった。
それでも、お母さんが教室に来て、皆のお集まりの様子を見ることや、給食なしで一緒に帰ることはきちんと理解していて、それを時々私に言っては確認していた。
特別な日に興奮しているようで、朝からかなり多動気味。大丈夫かな、とちょっと不安を感じながら保育園へ連れていった。

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保育参観は10時から。親は一度子どもを送って、改めて出直してくる。
ところが、玄関で「いってらっしゃい。後で来るからね」と声をかけると、昇平が不安そうな顔で戻ってきた。「お母さん、帰っちゃう?」
ああ、と気がついた。
そこで、心配そうな昇平に向かって、「うん。お母さんは一度家に帰ってね」と話しかけてながら、ぐいっとその肩をつかみ、オーバーアクション気味に耳にささやいてやった。「きれいにお化粧してから、また来るからね!」
すると、昇平、ホッとしたように笑顔になると、すぐに2階の教室へ上がっていった。
気がついたら、そばにいた担任のみち子先生と年中組の先生が、それを見て笑っていた。(^_^A

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さて、昇平に言った手前、きちんと化粧をしてから、また保育園へ。(笑)
少し時間が早かったので、子どもたちが教室で自由遊びをしているところが見られた。
昇平は他の男の子たちに混じって、ブロック遊びをしているようだった。・・・ようだった、というのは、その姿が他の子たちに紛れていて、よく見極められなかったから。そのうち、向こうでこちらに気がついて、ニコニコしながら出入り口のところまでやってきた。「おかあさん!」「はあい」それだけのやりとりで、昇平は満足して、また教室の中に戻っていった。
じきに、先生の指示でおもちゃのお片づけ開始。
さすがに年長さんだけあって、片づけ方も早い早い。きっと、お母さんたちが廊下で見ているものだから、いつもよりなお張りきって片づけていたのかもね。(笑)
昇平も皆と同じようにブロックを片づけていた。最後にテーブルの下にひとつ入り込んでいたブロックも見つけると、テーブルの下にもぐり込んで取って、それもちゃんと片づけていた。ふ〜ん。あんなものにもきちんと気づけるようになったんだ。

さて、先生が椅子を円形に並べてお集まり開始。
親たちも教室の中に入っていって、後ろに並んだ。
子どもたちは、朝の歌、ご挨拶、それからみお先生のオルガンに合わせて手遊びや歌を数曲、続けさまに歌った。
見ていると、昇平は手遊びをほとんどしていないし。歌もほとんど歌っていない。
だけど、よくよく見ると、小さな動きだけれど、手はちゃんと他の子たちと同じように動いているし、口も少しは動いていた。やらないのじゃない。歌わないのじゃない。本人は、あれでちゃんと一緒にやっているつもりなのだ。(笑)
全体から受けた印象は、「ちょっと自信がないみたいだな」という感じ。
家では大きな声で歌っている歌も、保育園では自信なさそうに小声になってしまっている。全体に少し不安そうな顔。そして、何をするにも他のお友だちを見ながら、その真似をしている。
昇平は、自分で分かっているんだろうな。他の子たちのようにはうまく手遊びができない、ということを。(手遊びに限らないけれど。)だから、なおさらに動きも歌声も小さくなってしまう。
だけど、それでも、他の子たちの真似をしながら、一生懸命一緒にやろうとしている。
それならそれで良い。と思った。
下手だって、なんだって、みんなと一緒にやろうとすることができるなら、それで十分。
立派だよ。

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さて、元気いっぱいな歌声の次は(他の子たちは親の前で、張りきって、力いっぱい大声で歌っていた。笑)先生たちによる人形劇。
人形と言っても、紙コップや紙皿、洗濯ばさみを使って作った海の生き物たち。タコ、イカ、カニ、魚、貝・・・。面白い! 子どもたちの目が輝き出す。
2人の担任がそれぞれにタコや他の生き物を動かし、セリフを言って、「海の夏の相撲大会」の物語。
いや〜、はっきり言って面白かったです。(*^^*)
横綱タコノハナ(笑)が他の生き物たちを寄せ付けない圧倒的強さ。
その決まり手も、カニニシキは前に進めなかったからタコノハナに押し切られて負け、とか、クラゲナダは電気ショックで相手をしびれさせたので反則負けとか、とにかく面白い。
子どもたちからは、タコノハナに声援が飛ぶ。クラゲナダが反則勝ちしたときには「ずるい!」「ひきょうだ!」と男の子たちの間から抗議が続出。ふふ・・・さすがは年長さんだね。
昇平は、タコノハナが勝つたびに、私を振り向いては「お母さん、ほら、勝ったよ!」と嬉しそうに報告してくれていた。(^_^;)
最後の対決は、タコノハナ対イカボノ。両者譲らない名勝負。だけど、ついにタコノハナがイカボノを投げ飛ばし、イカボノは遠く遠く飛ばされていって・・・宇宙まで行って、宇宙ロケットになりましたとさ、というオチ。(笑)
ちゃんと、イカボノからは宇宙で織り姫彦星に会いました、というお手紙も来て、物語はめでたしめでたし。子どもたちも大喜び!

盛り上がった気分そのままに、担任のみお先生が言う。
「それじゃ、今日はみんなもお相撲をやりましょうね。みんなは、カエルさんになって、カエル相撲をしましょう」
子どもたちから歓声が上がった。
う〜ん。うまい! 見事な導入だわ!(^o^)

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カエル相撲、というのは、子どもたちがカエルをイメージしたまわしをつけ、カエルの手の模様の円盤を手に付けて、それで押し相撲をする、というもの。
ご丁寧に、マットの上には緑の紙でつくったハスの葉っぱの土俵も敷いて。
窓には勝ち抜き戦の取組表。
呼び出しを受けた子どもたちが、まわしをつけてもらい、2人ずつ勝負をしていく。
盛り上がる、盛り上がる。(*^^*)

昇平の順番は、ちょうど真ん中あたり。
土俵のすぐ前で夢中で観戦する子たちのグループの、その少し後ろあたりに自分の場所を確保して、そこから勝負を眺めたり、取組表を眺めたりしていた。ちゃんと順番を待っていられたし、自分の番が来たら、ちゃんとまわしをつけてもらって勝負することもできた。
ただ、マットから押し出されたら負け、というのはよく理解できなかったのかなぁ。
あっという間に押し出されてしまって、自分が負けたことにもよく気がつけなかったみたい。(^_^;)
あとで、みち子先生に自分が勝ったのかどうか、確認していたし、結局、彼の頭の中ではいつの間にか自分が勝ったことになっていたようだ。(笑)
とはいえ、この勝負、どうやって勝ち負けになるのかよく分からない子たちは他にもけっこういて、押し出せば勝ち、と理解している子どもにたちまち押し出されてしまい、先生が「○○ちゃんの勝ち」と言うのを聞いて、不思議そうな顔をしながら戻っていく、という場面は何度も見られた。(笑)
最後の決戦は、運動神経の良さそうな活発な女の子VS.体が大きくて力も強うそうな男の子。
なかなか良い勝負だったけれど、結局、男の子の方が優勝。男の子は金メダルをもらい、女の子は銀メダルをもらっていた。
・・・あとで、優勝者は誰だったか、昇平に聞いてみた。
優勝者の名前も準優勝者の名前も、正確に教えてくれた。
クラスのお友だちの顔と名前を覚えました、というのは、本当だったんだな、と感動してしまった。

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保育参観の後は、バザー。
各戸で1個以上品物を出して、売上金は、保育園の遊具を購入したりするのに使われることになっている。
まだ始まらないうち、母が何を買おうかと眺めていたら、隣の教室から昇平が抜け出してきて、「ぼく、これが欲しい!」と、たったひとつあったミニカーを指さし、先生に呼び戻されて急いで教室に戻っていった。(^^A
そこで、母はバザー開始と同時に素早くミニカーをゲット。すると、後でまた昇平が顔を出して、心配そうに見てくる。「大丈夫。ちゃんと買えたよ」とミニカーを見せると、安心したように笑顔になった。
ちなみに、母はフェ○シモのミニカップとミニソーサーも手に入れて、ちょっとご機嫌になっていたのだった。(笑)

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昇平は本当に落ち着いて行動できていた。
お集まりが始まる前、興奮した子どもたちのはしゃぎ声が辛かったのか、少しだけ耳ふさぎをしていたが、それもすぐにおさまって、あとは他の子たちと本当に変わりなく過ごしていた。
昇平が「そういう子」だと分かって見ていなければ、ちょっと引っ込み思案なおとなしい男の子、としか見えなかったに違いない。

それはそのまま、昇平の成長の姿であり、とてもとても嬉しいことであったけれど、同時に、ちょっと不安なことでもあった。
だって、昇平が普通に見えてしまえばしまうほど、彼が抱える本質的な問題は、他人から理解されにくくなる、ということだから。
たしかに、他の子と同じようにやっていたけれど、昇平がとても一生懸命がんばっていることは、私の目にははっきり見えていたから。
保育園から、慣れない小学校に進んでいったとき、どのくらい適応していくことができるか。
そして、学校側にどのくらい、彼を理解してもらい、それに合わせた対応をしてもらえるか。
それが、来春からの学校生活を左右することになるのだろう。

しかし・・・普通に見えてくれば来たで、また新たな心配が生じてしまうのだから、親というのはつくづく因果なものだよねぇ。(苦笑)

[01/06/10(日) 13:53]

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