昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

診察日・番外編

◎8月9日の記録

 リタリン  1回目 8:20  2回目 12:30
 
   ☆★☆★☆

脳波と脳のCTの予約を入れるために、N病院の精神神経科へ行ってきた。
かかりつけのM病院では子どもの脳波がとれないため。

昇平は5階まである病院の建物を見て興奮。(ははは・・・うちの町には大きな建物の病院ってのがないので、珍しいんでございますぅ。笑)
なんとしても上の階まで行ってみたいと主張。持っていったお絵かき帳に、迷路にも似た階層図を描いて、楽しみにしている。(^_^;)
病院の上の階は入院病棟になっているので、診察と会計が終わったら、エレベーターでそっと行ってみることにしようね、と言って、診察を待った。

受付をしてから30分くらいで名前を呼ばれて、診察室へ。
考えてみたら、主治医以外の専門医に昇平を診てもらうのは、これが初めてなのだわ。(笑)
時間は10時を少し回った頃。リタリンを飲んで2時間弱というところで、一番効いている時間帯のはずなのだが、診察室に入ったとたん、昇平が落ち着きなくなってしまった。
珍しい場所に入って興奮してしまったのだ。
前回、M病院に診察に言ったときと同様、落ち着きなく診察室の中を歩き回り、椅子に座ってクルクル回ったり、診察台のベッドの上に乗ってみたり、隣の診察室をのぞこうとしたり、外に出ていこうとしたり、「先生とお話が終わったらエレベーターに乗って3階まで行く?」なんてくり返し言ってきたり。
ああ、やっぱり前回のM病院での態度は、お兄ちゃんが不在だったための不安定が原因ではなかったんだな、と母は改めて確認。
保育園や家の中といった、いつもと同じ場所でなら、それなりに落ちついて過ごせるようになってきたのだが、やはり、いつもと違う場所、いつもと違うことをする場面になると、とたんに興奮気味になって、落ち着きを失ってしまうのだ。
そういえば、保育園でも、夏祭りの日にはものすごいハイテンションだったしなぁ〜。
場面認知が良くなってきた分、いつもと違う場面というのもよく分かるようになって、影響をもろに受けるようになってきた、ってことかもしれない。
以前は、そういう場面では、興奮すると言うより、何が起こるか分からなくて不安で怯えていたことのほうが多かったもの。
あるいは、まったく周囲の出来事を無視して、好きな本などに没頭している、周囲無視型反応をするか。(^_^;)

まぁ、とにかく、診察室での昇平は、もう見事に典型的ADHD児。
「M病院でY先生にかかられているんですね。・・・ええと、(M病院で受けている診断は)ADHDですね」
と担当の先生からも一発で言われる。(笑)
ちなみに、「ええと」と言われたのは、診断に迷っていたからではなく、診断名を明らかにしても大丈夫かな? という医者の読みの部分。
「はい、そうです」と私があっさり答えると、心なしか、先生もほっとしたご様子だった。(笑)

今回は紹介状などもらってきているわけではないので、私の方から、これまでの経過をざっと報告した。
ADHDといっても、自閉症のような特徴のある子どもであること、リタリンを1年半ほど前から飲んでいること、それでずいぶん良くなってきて、保育園でも友だちとの関わりなどが出てきたこと、ところが、それに伴って友だちの遊びを邪魔するなどのトラブルが増えてきたこと、だから、主治医のY先生は別の薬の追加を考えていらっしゃるようだということ・・・を先生にお話しした。
担当の先生は「確かに、リタリンを飲んでいてこの状態ではね」とおっしゃって、薬の追加に賛成のご様子。これで、昇平は2人の医者から同じ診断、対処法を指示されたことになった。(笑)

「おそらく、パルブロ酸・・・デパケン(商品名)を処方されるんじゃないかな」と担当の先生。
でも、その前に先生は、しばし私の様子をじっと観察なさっていたから、これだけのことを言っても動じない母親だと判断して話したのじゃないかな、とか思った。
たぶん、親によっては、ここまで詳しいことは言わないんじゃないかな。逆に不安をあおったり、主治医との処方の違いが出てきたときにトラブルが起こるのを心配して。
精神科医というのは、患者本人だけでなく、その家族まで一緒に診るものなのだな、と、そんなことをふと改めて感じたりした。

途中、先生は昇平に体重を測らせて、その数値を聞く、ということもなさっていた。
先生「体重、何キロあった?」
昇平「・・・ごにょごにょ」
先生「え? 何キロ?」
昇平「19」
19キロでした、と私が繰り返し言ってフォローしたが、一応、質問の受け答えはできたということになったらしい。
そういうちょっとした場面でも、精神科医は患者の診断を行っている。これは、M病院でも常に感じることだ。

結局、間にお盆が挟まったり、私の仕事の都合があったりして、脳波をとるのは今月の29日ということになった。
いろいろと、検査のための準備について説明を受ける。
私がお世話になっているMさんの掲示板こと「ことばと発達の学習室掲示板」でも、以前脳波検査の話題が上がっていたので、そこを読み返しておこう、と考えた。
「うまく眠ってくれれば、検査もすぐ終わるんですけれどね」と先生も看護婦さんも口を揃えて言う。
う〜ん。普段から眠りの短い昇平には、ちょっとキツイかもなぁ。(^_^;)
よし、しっかりと掲示板の過去ログを読み直さなくては。

診察が終わって、会計も済んでから、約束通り病院のエレベーターに乗って最上階まで行ってみた。
入院病棟だが、入院患者のいない通路をちょっとだけ通らせてもらい、階段を下りて1階まで戻った。
ささやかな病院探検。「入院している人がいるんだから、静かにね」と言いきかせると、昇平も声を低めていた。
病院を出たら、建物を振り返って「上まで行ったね〜」と満足げな昇平だった。

 ☆★☆★☆

しかし、脳波検査のためとは言え、別の病院の医者に診てもらえた、というのは収穫だった。
やはり昇平は今でもまだ医療レベルの治療が必要なADHD児で、今現在の薬では補い切れていない、ということが分かったから。
我が子に薬をたくさん飲ませたい、と思う親はいない。
だけど、必要なものであるならば、あえてそれに踏み切るときも必要なのだ。
心の中のどこかで何かを吹っ切ったようで、母は晴々とした気分で帰路についたのだった。

[01/08/10(金) 05:40]

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