昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
児童相談会
◎9月3日の記録
リタリン 1回目 8:30 2回目 13:00
デパケン 1回目 −− 2回目 17:00
(デパケンに関しては、次回の日記にてコメントします)
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児童相談所の主催する児童相談会に行ってきた。
担当は、発達相談会時代からずっと見ていただいていた心理士のN先生。もちろん、お医者様もいらっしゃるのだが、主治医のY先生で常に診察時に話しているから、ということで、今回は医者との相談は無しとなった。(実は、この日の昼過ぎ、Y先生のところに面談に行っているので、個人的に医者込みの相談会を受けたようなものかも。)
前回この児童相談会に参加したのは、1年前の11月。
田中・ビネー式発達検査と生活発達調査票(名称うろ覚え。苦笑)とで、IQとSQ(生活指数)を算出し、その後、全体的なコメントやアドバイスをN先生から伺う、というもの。
こちらからは私と昇平の他に、保育園の担任のみお先生、うちの親戚に当たる保健婦が参加した。
検査の結果。
昇平のIQは99。ほとんど標準と出た。
ただし、能力的には、やはり言語性・・・特に、それを表出(つまり、ことばで話すこと)の方面が大きく落ち込んでいて、それ以外の部分がわりと高いために、平均すると標準になる、ということ。
標準値になったから問題がなくなったかというと、まったくそういうことではない。
SQの方は78。4才8カ月相当の発達。・・・こちらは、わりと印象通りかな。
外にひとりで遊びに行くとか、ひとりで近くまで買い物に行くとかいう行動は、ADHDの彼には危険が大きすぎるために親が制限しているので、その分数値が少し低くなっているかもしれない。
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さて、心理の先生からのコメント。
しょっぱなから、「お母さんは昇平くんの診断名をええと・・・自閉症のような特徴のあるADHDと思われていると・・・」と言われた。
そう。この心理の先生なのだ。昇平を最初からずっと「自閉症」と見ていらっしゃるのは。
お医者様ではないので、正式な診断名ではないものの、自閉について造詣が深いということで、言われることも決して的外れというわけではない。
が、私の中では、昇平はすでに「いくら自閉症のように見える部分があったとしても、障害の本質はADHD」ということで納得してしまっているので、この話題はもう蒸し返してほしくないところだった。
でも、こちらもどこがどんなふうだから自閉ではないと思えるのか、そのあたりをきちんと説明することばをまだ持たないから、結局は「どんなに似て見えていても、やっぱり自閉症とはどこかが違うと感じるんです」と答えるしかなかった。
答えながら、『これじゃ我が子を自閉症と思いたくないばかりに、必死で否定している親にしか見えないんだろうなぁ』と思うと、ちょっと自己嫌悪だった。
それに、どうやら、昇平はこの先生との検査の相性があまりよくない感じなのだ。
いや、先生自身はとても優しい、良い先生なのだけれど、なぜだか昇平を検査に集中させ続けることが難しい。
何故だろうなぁ。
もしかしたら、それこそ、昇平の障害をADHDではなく自閉症だと思っていて、対応も自閉バージョンになっているからだったりして?(苦笑)
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いや、悪口でもなんでもなく、対応の仕方を間違えれば、うまく行くものも行かなくなる、ということは起こりうると思うのだ。
今、うちの「しましま島」のサイトではペアレント・トレーニングのアンケートを行っているけれど、ADHD児の親だけでなく、自閉児の親にも答えてもらってみると、見事に「対応が違う」「これではうまく行かない」と結果が出てきてしまう。
ADHD児や健常児の親からは、例え正解と違った答えが出てきても、「このやり方が基本的には正しい」「これが理想」というような感想が出てくるのとは対照的なのだ。
ADHDも自閉も、外から見てよく似た症状を示すことはけっこうある。
多動、人との関わりの弱さ、状況判断の困難、物事の理解の難しさ、基本的生活習慣の樹立の困難・・・。
だけど、対応を考えたとき、やっぱりADHDと自閉とでは違ってくる。
自閉の場合は、個々の子どもに合わせて対応が変わる、つまりスペシャルバージョンになる、という印象を、私は受けている。
今回、N先生からはまた、昇平に対して予想のつきやすい環境を整えること、また、予定変更などには早めに対処した方がよいこと、ことばによる指示よりも視覚的補助を・・・というアドバイスを受けた。
けれども・・・ああ、N先生、本当にごめんなさい! やっぱり、それらのアドバイスは昇平には合っていないと感じられるのです。
昇平の抱える困難は、ただ予想のつきやすい環境を整え、心構えをさせるだけでは解決しません。
また、やるべきことへの対処法をパターンで覚え込ませても、彼にはあまり役に立たないのです。
彼は、自分のまわりの出来事に対して、パターンで対応してはいませんので。
もちろん、いくらかはパターン化しているものもあります。「おはよう」と言われたら「おはよう」と答えなくてはならない、とか、外から帰ったら手洗いとうがいをしなくてはならない、とか。でも、彼のそれは、いわゆる「習慣」と呼べる程度のものです。普通の子どもたちだってやっている程度のことです。
それ以外の出来事に対しては、自分の目で見て、耳で聞いて、自分で考え判断して、そして行動を起こしています。
本人が導き出す判断も、たいていとても常識的なものです。
ただ、その見聞きする能力がADHD故に充分に働いていないこと、また、自分で考え判断する部分もまだまだ未熟で年齢相当まで発達していないこと、そのために、人との関わり方や行動のしかたの面が大きく立ち遅れていること・・・が問題なのです。
昇平を自閉症と考えたのでは、問題は解決しない、というのは、こういうことなのです。
・・・って、今頃ここで書いたってしかたないことなんですけどね。(苦笑)
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さてさて、今回の相談のテーマは、就学を控えての教育相談。
はっきり言えば「普通学級に進むべきか、情緒障害児学級に進むべきか、どちらが昇平に適当なのか知りたい」ということだった。
検査の結果を見て、N先生が言われたこと。
「この数値であれば、普通学級でやっていけることになりますね。ですが、能力にばらつきがありますから、ただ普通学級に入れただけではいろいろと大変でしょう。例えば、算数は抜群に良くできても、国語の読みとりができない、とか・・・。担任に理解と協力を求めるのは絶対に必要ですし、できれば、TT制(チームティーチング制。ここでは、いわゆる複数担任制のこと)にして、必要な場面で昇平くんに個別対応してもらえたら最高ですね。いずれにしろ、担任とはできるだけ早く会って、詳しく話をすることはもちろんですし、担任だけに働きかけるのでも足りません。校長先生にも、絶対に会って話をしないと。そうでないと、『あの担任は何をしているんだ』なんてことになりかねませんからね・・・」
このアドバイスは、まったく納得がいくものだった。
うんうん。やはりそちらの道で良かったのか、という感じ。
それを見越して、すでに地元の小学校の校長、教頭には内々に話を出してあるし、9月の就学時検診やその後の教育相談会が終了して、きちんと進路が定まったら、小学校に出向いて、正式に話をしてこようとも考えていたのだ。
ただ、そうは思っていても、客観的な数値や見解が「特殊学級の方が適当」と見るようであれば、その時にはまた考えを変えなくてはならない、と思っていたので、今回の相談会に参加したのだった。
私たちは、子どもの障害を隠して入学させよう、なんて気持ちはさらさらない。
私自身が、学校の先生の勉強をしてきた人間だから、そんなふうに黙って入学されたら、その後の対応がものすごく大変になると予想できてしまうのだ。
その子のことを考えたら、黙っていることよりも、状態を正確に述べて理解と協力を求めること、そして、こちらから提供できる協力の内容を示して、一緒に子供を育てていって欲しいと要請するほうが、誰にとってもプラスになると思うから。
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まぁ、昇平の診断に関しては、相変わらず納得のいかないものが残ったけれど、就学の方向性がはっきり見えたのだから、全体的には良い相談会だったと思っている。
それから、私個人としては、保育園のみお先生と一緒に生活発達調査票に記入しながら、保育園での昇平の様子を具体的に聞くことができて、驚きの連続だったことが収穫。
昇平は、リタリンが効いている時間帯には、保育園でかなりしっかりと生活しているらしい。
改めて、園に入ってからの彼の成長ぶりに感動してしまった。
この後、昇平を保育園に送り、私は午後一番でM病院へ行ったのだが、その話はまた次回の日記で。
ちなみに、園に戻った昇平は、給食のカレーを「ものすごくうまい!」と言いながら、猛烈なスピードで平らげたそうな。よほどお腹が空いていたらしい。
「こんなに早く給食を食べる昇ちゃんを見るのは初めてだね」とみお先生とみち子先生とで笑いながら感心したのだそうだ。(笑)
[01/09/05(水) 15:06]