昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

運動会

◎9月22日の記録

 リタリン  1回目 8:00  2回目 13:00
 デパケン  1回目 7:30  2回目 19:00

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この日、昇平の保育園では運動会があった。
応援に行ったのは、私とお兄ちゃんとおばーちゃん。旦那は今週出張があったので、その分仕事がずれ込んでいて、どうしても応援に来られなかった。

朝、運動会の格好をして階下に下りた昇平、台所で朝食を食べている父親に「お父さん、おはよー!」と張りきって声をかけたあと、旦那がワイシャツにネクタイを締めて出勤姿でいるのを見ると「お父さん、お仕事?」「運動会に応援に来る?」と言った。旦那が「今日は仕事でどうしても応援に行けないんだ。ごめんね」と言うと、「え〜〜〜っ! 応援に来る〜〜!!(応援に来て、の意味)」とブーイングしていた。
・・・なんだか、ものすごくしっかりしたやりとりで、妙に感心して聞いてしまった。

今回、昇平は家族に応援に来てもらうということをとても楽しみにしていた。保育園で「おうちの人たちが応援に来てくれますよ」とでも言われていたんだろうと思う。
とても肌寒い朝で、半袖半ズボン、ハイソックスという格好では震えてしまうくらいだったので、上からカーディガンを着せてやったのだけれど、それでもまだ寒い。
でも、寒さにもめげず、私たちと一緒に張りきって登園した昇平だった。

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午前9時、開会。
全園児が「宇宙戦艦ヤマト」の曲に合わせて入場してくる。懐かしいぞ。(笑)
昇平は、わきに先生についてもらうこともなく、ちゃんと入場してきた。・・・前後の人との距離がうまくとれなくて、つい、すぐ後ろについてしまったり、行進の足がしっかり上がっていなかったり、家族がどこにいるのか探してきょろきょろしたりしていたけれど。(^_^;)
 昇平は、空間の中では自分と相手の距離がうまくつかめないのだ。同時に複数のことをこなすのも難しいので、前の人にきちんとついて歩こうとすると、手や足を大きく動かして歩くことがおろそかになるし、つい気が散ってきょろきょろしてしまうのはADHDの特徴。
年長ともなると、他の子たちはびしっと決めて行進してくるので、そんな昇平の幼さはちょっと目立つけれど、でも、彼自身のレベルから考えるとこれは素晴らしい行進ぶり。
去年の運動会の時、どうやって彼を前の人について行進させたらいいだろうか、と担任の先生たちと頭をひねったのを、遠い夢のように思いだしてしまった。

さて、運動会の最初の種目はかけっこと決まっている。
そうすると、親が我が子の走る姿を見逃すまいとして、時間通りにきちんと集まるからだ。(笑)
昇平は5人グループの中の一番最後だったけれど、きちんとスタートからゴールまで走りきることができた。
「プーさんのハニーハント」なる障害物競走も、やっぱり一番最後。走るのが遅いし、途中、赤いベストを着てプーさんのお面をつけるという場面でもたもたしていたからだ。本当はベストを先に着なくちゃいけなかったのに、お面を先につけてしまったものだから、ベストを着る手を止めてあわててお面を外し、ベストを着終わってからお面をつけ直したりもしていた。要領の良い子は、間違ってお面を先につけても、そのままベストを着続けていたのだけれど。昇平はまだ、一位になるためになりふり構わず走らなくてはならない、ということには気づいていないようなので、なんとものんびりした印象がある。
でも、なかなかうまくできるようにならなかった前転も、落ちついてやったら、ちゃんと回れていたし、缶ぽっくりに乗って行くところも、曲がって危なく放送席に突っ込みそうになりながらも、ちゃんとゴールまで歩いていくことができた。どちらも家で練習してきたのだ。
よく頑張ったね、昇平。順位は一番最後でも、そうやって実力を出し切ったことは、本当に偉かったよ。

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親子競技は、なんと騎馬戦。あ〜、旦那に出てほしかった!(苦笑)
子どもたちだけだとしっかりしている年長さんも、親と一緒になると、たちまち甘えっ子に変身。お父さんやお母さんにだっこされたり、もたれかかったり、絡まったり。昇平も「寒いよ」とか言いながら私に絡みついていた。
さて、昇平をおんぶして、競技開始。
目の前には体の大きなお父さんたちがずらり。とても相手にならないと思って、お母さんがおんぶしている子を狙ってヒット・アンド・アウェイ戦法を狙う・・・が、相手の男の子の方が素早かった。昇平の帽子が取られてしまって、あえなく我々は敗退。
でも、親子で一緒に闘ったってのは楽しい経験だった。
他の親子も、勝っても負けてもみんなニコニコ顔だった。

私は、この親子競技の他にも、保護者の競技(カード合わせ&仮装競争)と綱引き、選抜制のクラス対抗団体競技にも参加して、いつになく走った動いた。おかげで夜にはすっかり足が痛くなっていた。これは筋肉痛は必至だろう。(^_^;)
でも、去年の運動会と比べて、今年は私自身に余裕があった。それはやっぱり、昇平を安心して見ていられるようになった証拠なんだろうな、と思う。私も運動会が楽しめるようになったのだ。

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さて、いよいよ運動会のメインイベント、リトルマーチングフェスティバル。つまり、鼓笛演奏。
去年の昇平は、ガードと呼ばれる大きな旗を持っての演技で、自分の位置も動きもなかなか覚えられず、旗の持つことさえうまくできなくて、本番でもすぐそばに先生が待機していて、要所要所で手を貸してもらいながらようやくやり通したのだった。
今年は年長なので、楽器の担当。昇平は片手で叩く中太鼓だった。
リズムがなかなか覚えられなかったり、全体で合わせると自分のリズムが分からなくなったり・・・と、今年もいろいろ苦労したけれど、去年と一番違ったのは、家で練習する部分がとても少なかったということ。
一対一で指導されれば自分の演奏はできるようになったので、全体の中で「合わせて」演奏する、というところがメインになり、保育園で指導してもらうしかなかったのだ。

さて、結果はいかに?
入場行進や個人競技の時と同じように、まわりと比べると、決してうまくはなかった。
やっぱり全体と合わせると自分のリズムがつかめなくなるらしく、太鼓を叩く手元を見ているとリズムはばらばら。でも、何故か最後がきちんと合っていて、ひとりだけ音を出してしまって目立つ、ということはないのだった。
打楽器の音に合わせて行進、「茶色の小瓶」「明日があるさ」「CHANGE THE WORLD」を演奏して、「10人のインディアン」の曲に合わせて隊列移動。それからもう一度、「茶色の小瓶」の演奏。
初めのうち緊張していた子どもたちが、だんだんいつもの調子になって、自信を持って演奏するようになっていく。
昇平も、最後まできちんとやり通していた。演奏の時には指揮者を見つめ、隊列移動ではまわりの子どもたちの動きを見ながら、とうとう最後まで先生の助けを借りることなくやり遂げたのだった。
去年のマーチングから比べると、本当にすごい進歩ぶり。
先生たちの指導力には、本当に頭の下がる思いだった。
・・・さすがの私も、今回は泣きました。もちろん、うれし泣きです。(^_^A

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その後もつなひき、鈴割りと続き、最後が紅白対抗リレー。
そう、昇平がふざけて走るから自分のチームが負ける、とクラスメイトから抗議が上がったというリレー。
小さな組の子どもたちから次々とバトンが渡されて、赤組、白組、大接戦。(ちなみに、他の学年は選抜制。年長児だけが、全員参加。)ちょうど昇平にバトンが渡されたとき、両チームはほぼ同着だった。いやが上にも盛り上がる応援席。私は思わず「やめてくれ〜!」と心で叫んでいた。(苦笑)
やっぱり引き離されていく昇平。でも、一生懸命最後まで走っていたので、誰もブーイングはしない。
次々とバトンが渡されていくうちに、また赤組が追い上げてきて、最後のランナーは大接戦。
盛り上がるだけ盛り上がり、結局、白組が優勝。
昇平が遅れたことは目立たずにすんだようだった。一安心。(^,^A

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皆と同じく行動することが何より大事とは言わないけれど、場の要求に合わせて、皆と同じように行動できることは大切なことだと思う。
昇平は、やっぱり、園の行事を通してそのステップを1つ1つ上がってきている。
よくお便りなどで「運動会の練習を通して一回り成長したお子さんの姿を見てあげて下さい」と書いてあったりするのだけれど、昇平を見ていると、本当にそれを実感するのだった。

それにしても・・・無事に運動会が終わってよかった。
やれやれ。(笑)

[01/09/23(日) 10:33]

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