昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

就学時健康診断

◎10月17日の記録

 リタリン  1回目 8:00  2回目 12:00
 デパケン  1回目 8:00  2回目 19:30

   ☆★☆★☆

地元の小学校で、昇平の就学時健康診断があった。

前の晩、「明日は小学校に入るための健康診断とお勉強の検査があるよ」と教えたら、お兄ちゃんのランドセルを背負い制帽をかぶって、こたつでお勉強を始めたのには、びっくりしたり笑ったり。
本人も、小学校に上がることをとてもとても楽しみにしているのだ。

ところが、いざ当日の昼すぎ保育園に迎えに行ったら、すごく不安そうな顔つきの昇平。空が曇っているのを気にして「もう夕方?」「学校に行ったらおうちに帰る?」「帰ったらもう夕方?」
時間を気にしているように見えるけれど、実はこれは不安が強いときに出てくる最近の決まりことば。時計を示してまだ1時だと分からせ、終了時間が3時半なので、終わってもまだ夕方ではないと教えると、間もなく納得して質問しなくなった。
・・・デパケンの量が増えてから、ものごとにこだわる時間が短くなってきたような気もする。

   ☆★☆★☆

さて、小学校に到着。
その日、検査を受ける子どもは、男女合わせて25人だった。
もちろん、クラスはひとつだけ。
一番最初の噂では20人そこそこではないか、という話だったのだが、実際にはもう少し多かったわけだ。
まぁ、昇平にとってはぎりぎり良いところの人数になるだろう。
(理想を言えば20人くらいが最適だったけれど・・・)

全体を見回すと、女の子より男の子の方が少し多い。全体に女の子の方がきちんとしていて、男の子の方が落ち着きがない。
でも、その中でも群を抜いて落ち着きがなかったのは、やはり昇平。

まず、内科検診があったのだが、畳の部屋で上半身裸になって校医の診察を受ける。
脱いだ衣類はそれぞれ、自分の番号の順番にかごに入れておくことになっているのだが、昇平は、担当の先生から「このかごだよ」と教えられても、それがなかなか分からない。
指さされているかごがどれか分からないのだ。他の子はもう服を脱いで入れているので、空っぽのかごが自分のものということになるのだが、その判断もできない。
他の子が脱いだ衣類をどけて、その下の番号札を確かめ、そこから数えて、自分の番号のかごを見つけようとしているのが分かった。(ちなみに、そのとき親は廊下で待機していた。)
そのために、かごを探して、昇平はうろうろ。
先生に教えられて、やっとかごが分かって服を脱ぎ始めても、トレーナー一枚脱いだだけで、今度は他の子のかごを飛び越えて遊びはじめてしまう。
せかされて、なんとか服を脱ぎ、自分の番に間に合ったようだったけれど、全体に不安が強かったようで(遊んではいたけれど、でも、基本的には不安な気持ちでいた)担当の先生を「この人のそばにいれば大丈夫だ」と判断したらしく、どこへ行ってもその先生の元に戻ってきていた。

内科検診の後は、保健室で歯科検診。
ひとりずつ中に入っていくので、番号順に列になって並ぶのだが、これがまた、昇平には難しい。
どの子の後ろにつけばいいのかがわからない。
分かっても、列全体の様子が把握できないので、列に並び続けることができない。
なものだから、またフラフラする昇平。
列が短くなってきたら、ようやく列のイメージがつかめるようになったのか、並べるようになったのだが、今度は保健室に早く入りたくて前の子をどんどん押してしまい、前の子に押し戻されて転んだり。
はぁ〜・・・小学校に入ったら苦労するわね、こりゃ。(^_^;)

   ☆★☆★☆

その後、親は会議室で子育てに関する講演会。子どもたちは別室に移動して、知能検査を受けた。
本来は視力、聴力検査も行われるのだが、昇平は保育園ですでに済ませていたので、それはパスになった。
ちなみに、昇平は視力はOK。聴力も大丈夫だったらしいが、「ピー」とか「ピッピッピッ」とかいう音の種類を聞き分ける、というのがよく分からなかった、と保育園から聞かされていた。
聴力系には本当に弱いものがあるんだよね〜。(苦笑)

さて、親と離れて知能検査の会場に行かなくてはならないのだけれど、昇平は不安いっぱいの顔で私にしがみついてくる。
役場の方からお手伝いに幼稚園のベテラン先生が派遣されていたそうで、その先生が昇平の担当になってくれようとするが、嫌がって騒ぎそうな雰囲気。
私は、昇平を一度私の方にむき直させ、しゃがみ込んで、昇平の目を見ながら「お母さんはこのお部屋でお話を聞きます。昇平くんは別な部屋でお勉強検査を受けます。お勉強検査は、昇平くんひとりで受けるんだよ。わかった? はい、じゃ、行ってらっしゃい」と背中をドンと叩いて、送りだしてやった。
すると、昇平も納得して、担当の先生に手を引かれ、他の子たちと一緒に別室へ向かっていった。

ところが、講演会を聞いている途中、廊下からこんな声が聞こえてきた。
「お母さん、むずかしいよ〜! 手伝ってちょうだ〜い!」
あう〜・・・検査の説明を聞いて、難しそうだと思ったのね、きっと。(^〜^;)
すぐに担当の先生が廊下に出てきて、昇平を教室に連れ戻していく気配。

後援も終盤に近づいた頃、静かだった検査会場の方が賑やかになってくる。子どもたちのざわめき声。
すると、また、昇平が廊下に出てきたようで「お母さーん! お母さん、どこーーー!!」と言いながら、こちらに歩いてくる気配。それを聞いて、他のお母さん方が「あら、検査が終わったのね」とつぶやく。(^o^A
またまた、担当の先生が追いかけてきて、昇平を教室に連れ戻していったらしい。
その後、子どもたちは後援が終わるまでビデオを見せてもらっていたようで、その後は子どもたちのざわめきもおさまっていた。

すべて終わって、子どもたちも戻ってきて、就学時健康診断は終了したのだが、帰り際、昇平の担当をしてくれた先生にご挨拶したら、「最後の方は飽きちゃったみたいですね」と先生が言われた。
うん、そうだろうなー。あれだけの時間(知能検査だけで小一時間)かかったし、しかも、リタリンが切れかかってくる時間帯だったしね。
「でも、(知能検査の)結果はけっこう良かったみたいですよ」とも言われた。
そうなんだよねぇ。知能そのものは低くないから、知能検査の点数はそこそこ出てくるはずなのだ。
なのに、行動的にはずっと精神年齢が低い。
このギャップが問題なわけだ。

   ☆★☆★☆

昇平は機嫌良く帰宅したものの、一人きりでがんばった反動なのか、家ではなにかというと「お母さん!」「お母さん!」と母を呼んでばかりいた。遊びも、ひとり遊びではなく、家族と一緒に遊びたがっていて、部屋に一人ではいたがらなかった。それだけひとりで緊張しながらやり遂げていたんだよね。
よくがんばりました。(*^^*)

   ☆★☆★☆

でも、母の方は、今回の健康診断ではっきりと学校生活の問題点を把握した。
やはり、昇平は集団行動に困難がある。並ぶ、待つ、皆と同じように行動する、先生の指示を聞き取る。そのあたりが、極端に苦手なのだ。・・・まぁ、いかにもADHDらしいなわけ問題点だけど。(笑)
対策としては、やはり、TTが理想。
クラスに、主担任の他に副担任がいて、主担任はクラス全体をリードし、昇平がその指示などを理解できないでいるときに、副担任が昇平をフォローしてくれる。これがしてもらえれば、昇平は学校生活に慣れていけるし、やがては、自力で集団生活もこなせるようになってくるだろう。その力がついてくるまでの間、もうひとり、補助の先生についていてもらいたいのだ。
でなければ、副担任ではなくても、介助の人。必要な場面で昇平に声かけしたり、昇平に分かる形で指示を出し直してくれる人。
予算的にはかなり難しいはずなのだが、でも、最初から諦めて何もしなかったら何も始まらない。
役場の教育課に要望を出してみようと思っている。(最終的には教育委員会に話を持っていくことになるのだろうけれど。)
それがどうしても通らなかったら、その時は、私が小学校に一緒に通うしかないわね。(^_^;)
まっ、それはそれで、面白いかも。(笑)

[01/10/19(金) 05:47]

[表紙][2001年リスト][もどる][すすむ]