昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

入学審議会の決定通知

◎12月7日の記録

 リタリン  1回目 8:30  2回目 12:30
 デパケン  1回目 8:30  2回目 19:00

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6日の夜、町の教育課から電話があった。
先日の入学審議会の決定を通知する時期が来ました、と。(形式張って聞こえるかもしれないけれど、実は親戚に当たる人なので、半分おどけた調子なのだ。笑)
結論から先に言うと、昇平くんの場合、就学先は情緒障害児学級のほうが適当だろう、という結論が出ました、と言われる。

私の感想。
『あ〜、やっぱりそうか』(笑)

11月にあった就学時健康診断の結果だけでなく、昇平の療育や治療に関わるすべての人たちから情報を集めて、審議会を開くわけなのだけれど、その人たちが皆、昇平に「特別の教育が必要」と判断を下したらしい、と感じていたのだ。
特に、保育園のみお先生は一時期とても悩んでいて、私から今までやりとりした連絡帳全部を借りて、それで判断を下したようだった。きっと、今までの昇平の成長ぶりだけでなく、私や先生たちの関わり方を改めて確認して、これからの昇平に「なにが」必要なのかと真剣に考えてくれたのだろう。
その結果、障害児学級を推薦した、というような話はみお先生からはなかったけれど、そのあたりは2年間近いつきあいで、なんとなく察することができたのだ。
当初は「普通学級で大丈夫でしょう」と言っていた主治医も、審議会近くになると、歯切れが悪くなっていたし。(笑)
おそらくこれが、客観的に見た現在の昇平の、ベストの進路だと判断されたのだろう。

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そして、実を言うと、私自身も。

いろいろなことを考えて、地元の学校に通えればよい、とは思っていたが、そうなればまず間違いなく、毎日母が付き添わなくてはならないし、そうすると、昇平の自立を妨げることになる危険性が高かったのだ。
今現在の昇平が、とにかく、母にべったり。保育園ならば自分でできることも、家に帰ると「できない」「怖い」「お母さん、一緒にやって」となる。今の昇平は、いわゆる第一次反抗期にさしかかっているところなのだけれど、一方では母に頼ろうと気持ちがかなり強いので、学校の場にまで母が行くことが、はたして昇平のためになるのだろうか、と考えていたのだ。

また、就学時検診の時の昇平の様子も、何度も何度も繰り返し思い出して考えていた。
いわゆる知識的な勉強は、まぁ、教科によってはついていけるかもしれない。算数とか、国語の読み書きとか。
しかし、彼はまだ物語の場面や登場人物の気持ちを読みとることはできないし、生活科のような、総合的な教科も、大人の補助無しではついていけないだろうと思われる。
そしてなにより、彼は、「今、自分がなにをするべきか」「相手になにを要求されているのか」を、自力で感じ取って判断することが充分にできないのだ。
まだ、場が読めない。指示がよく分からない。お友だちの気持ちが分からない。
そんな彼が、25人にもなるクラスに放り込まれて、はたしてやっていけるんだろうか。
TT制(副担任がいるクラス制度)であれば見込みもあるけれど、今の教育予算では、おそらくそれも不可能だろう。
そうなれば、母が毎日学校について行くしかないのだが、それについての問題点は、すでに書いたとおり。

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私は、情緒障害児学級に昇平を上げることを嫌がっていたわけではないのだ。
地元の小学校にそれがあれば、こちらから希望してでも、そこに入れたいくらいだった。
でも、地元の小学校にはない。というか、町としての情緒障害児学級が、今年から町中の小学校にできたばかりなのだ。これでは、他の小学校にも情緒障害児学級を、と要望するのは難しい。特殊学級を作るには、それなりの生徒数も必要なわけだし。
越境入学になると、地元の子どもたちとの交流の機会がなくなる。
もともと、ここは近所に子どもの少ない場所なので(農村部でも少子化の問題は深刻。地元の小学校は年々児童数が減っている。)学校という共通の場がなければ、出会って一緒に遊べる確立が非常に少なくなってしまうのだ。
今はいい。家庭の中だけの交流で満足している状態だから。
でも、遅かれ早かれ、彼は外に友だちを求め始める。
その時、地元との交流がない、というのは、とても大きなハンデになってしまうのだ。

また、私自身が、地元と繋がりが減ってしまうことを残念に思っている気持ちもある。
お兄ちゃんの関係で、子供会やPTAの役員をやってきたから、それなりに交流関係も広がっていたし、学校に関わる面白さも分かってきたところだったから。
お兄ちゃんは来春卒業だから、これで地元小学校とも縁切りになってしまうのかと思うと、それはそれで、かなり寂しいものがある。
できれば、地元の人たちの中で、その繋がりの中で、昇平を育てていきたかった。

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けれども、特殊教育が実現できそうにない地元小学校では、昇平が毎日辛い思いをするのは、まず間違いがない。
いくら担任が心配りしてくれても、やはり、もうひとり補助員がいなくては、昇平はまともな小学校生活を送ることができないのだから。
であれば、地元を離れてでも(と言っても、車で10分足らずの距離だけれど)障害児学級のある小学校へ越境していくほうが、昇平のためになるのだろう。
たぶん・・・きっと。

来週の水曜日に、詳しい説明や今後の話を聞けるらしい。
決定はそれ以降になるが、おそらく、審議会の決定に従って障害児学級のほうを選ぶことになるだろう、と考えている。

[01/12/08(土) 09:31]

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