昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

著しい成長

◎12月24日の記録

 リタリン  1回目 9:00  2回目 12:30
 デパケン  1回目 9:00  2回目 19:00

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最近、昇平は本当に成長が著しい。
ぼやぼやしていると、こちらの方が彼に置いて行かれそうなほどなので、忘れないうちに書きつけておこうと思う。

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内言語能力が発達してきたようで、自分の知らないことばに出会うと、その意味を聞くようになってきた。
「おびえる、ってどういうこと?」「到達する、っては?」
ことばでそのことばの説明をすると、それですぐに納得する。本当に成長したな〜、と思う。

自分の気持ちや状況も、かなり詳しく説明できるようになってきた。
部屋に入ったらゴミ箱がひっくり返されてゴミだらけになっていたので「どうしたのよ! ひっくり返しちゃったの?」と言うと、「緑の三角(雑誌の付録)がなくなったから、落ちちゃったのかな、って思って探したの」。
で、その後、母がもう一度よく探したら、本当にゴミ箱の中に三角が落ちていた。

ことばをコミュニケーション手段として使いこなせるようになってきたら、他人との関わり方も豊かになってきたように見える。
自分から人に話しかけることも、子ども同士で遊ぶことも、今までより格段に増えてきている。

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先日、このコーナーで書いた「スケジュール表」を実行している。
100円ショップで買ったホワイトボードに油性マジックで時間軸を書き込み、毎朝、日付とその日のスケジュールを書き込んでいるのだが、昇平にはとても役に立っている。
普段の日は、保育園のお迎えの時間を知るのに活用している。出がけにもう一度眺めてから登園するので、しっかり頭に入っているらしく、例え遅いお迎えの日でも、今までのように不安に思うこともなく、落ちついて待っていられるようになった。

日曜日のような休日には、スケジュール表が特に大活躍する。
一日の行動の見通しが立つことで安心するのだろう。
だいたいこんな風に一日が進む、と分かっていることで、本人の気持ちにも余裕が出てくるらしく、今までのような遊びの転動も、すごく少なくなった。(夜、リタリンが切れて眠くなったときにだけ出てくる。)
父や母と遊べる時間帯というのも見通しがつくので、例えば母が仕事をしているときにも「遊ぼう、遊ぼう」とうるさくつきまとうことがなくなった。そういうときには、お利口にひとり遊びしながら待っていて、時間になると「一緒に遊ぼう」と誘ってくる。
母としても、今までのように常に忙しく働いているような気分から(気分だけ)、メリハリをつけて遊んだり仕事をしたりできるようになって、気持ちが楽になった。

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遊びは、「神経衰弱」や「戦争」などのトランプゲームができるようになってきた。
神経衰弱だと、ついつい他の人の番を抜かして、自分がカードをめくりそうになるので、順番の人がピカ○ュウ人形を持つようにした。そうしたら、順番抜かしがぴたりとなくなった。
彼の場合、順番を抜かしてしまうのは、待ちきれないからではなく、「今は誰のターンか」というのが読みとれないからだったのだ。
意識がゲーム上に集中持続できないから、気持ちが他の物へと転動していき、ふっと我に返ってゲームに意識が戻ったとき、自分の番だと思いこんでカードをめくろうとしていたらしい。
順番が守るゲームは、他にもたくさんある。ピカ○ュウ人形はその時にも多いに使えそう。

ちなみに、自分のターンで人形を持つ、というのは、ことばの教室のO先生の指導をヒントにした応用編。良いことを教わりました。

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天皇誕生日。家族全員が休日で家に揃っていたので、クリスマスパーティを開いた。
夕方前、買い物に出たのだが、昇平はもう最高に興奮状態。
これまでもクリスマスは何度も体験してきているのだが、「クリスマスがどういうものか」を理解して楽しみに待っていたのは、今年が初めて。彼にしてみれば、生まれて初めて、本当のクリスマスを体験しているようなものだったのだ。
自分でも買い物気分を味わいたかったらしく、手におもちゃのお札を2枚握りしめていたのだが、案の定、それを1枚店内でなくしてしまって、いくら探しても見つからない。
昇平は、ウキウキ楽しい気分から一転して大泣き、大駄々。興奮状態の天国から地獄へ、一気に急降下。・・・とはいえ、このふたつの状態は同じ精神状態の裏と表なので、そう驚くようなことでもないけれど。

店内を何度探し回っても、おもちゃのお札は見つからない。
家に帰れば、同じものが他にもあるから、といくら言い聞かせても納得しない。
久しぶりの強力な「こだわり」状態。
大粒の涙をボロボロこぼしながら、探すのをあきらめないでちょうだい、と言い続ける。
このまま探していても見つからないし、クリスマスのアイスケーキも溶けちゃうから、早く家に帰ってパーティの準備をしよう、と説得すると、なんとか車には乗ったものの、やっぱりぐずぐずと言い続ける。
そこで、旦那に車を道路わきに停めさせ、「お金のことをいつまでも言い続けていると、パーティが楽しくなくなるから、パーティはやりません。家にも帰りません」と宣言した。
その後も、もうしばらく、ぐずぐずとやりとりは続いたのだが、ふと、昇平がこんなことを言いだした。
「わかった。お母さんが間違ってレジで使っちゃったんだ」
涙で汚れた顔で笑い顔を作っている。
自分で、おさまらない気持ちをなんとかおさめようと、合理化したのだ。
「そういうことにしたいのね? わかった。じゃ、そうしましょう」と私が答えると「うん。お母さんがレジで使っちゃったから、それでパーティができるんだ」
どうやら、パーティの材料を買うのに、おもちゃのお金を使ってしまったということにしたいらしい。
それで納得ができて、気持ちが落ちついたので、旦那に車を発進させてもらった。

帰り着いて、家に入ろうとしたとき、昇平がまた言ってきた。「お金はどうしたの? 誰のせいなの?」
不安顔が戻ってきている。
「お母さんがお店で買い物に使っちゃったんでしょう」と言うと、安心した顔になる。
そこで「この次、お金を持っていくときにはどうしたらいい?」と聞いてみた。
「お金をポケットに入れる」と答えた。
ちゃんと分かっているね。それならよろしい。

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本当に、最近の昇平の変化はめざましい。
これでも、実際に感じる成長ぶりの半分も書けていないのだ。
朝、このことを日記に書こう、と思っていても、夕方にはまた新しい出来事や発見があって、結局書きそびれてしまったりする。(しかも、最近は将来をも揺るがすような大事が続いていたし。笑)

一方、特に夕方以降、今までよりも昇平が疲れやすくなった気がする。
上に書いた大駄々も、そんな疲れの出た時間帯に起こっている。
いろいろなことが分かるようになってきて、自分でもがんばろうと思うようになった分、とても疲れるようになっているんだろう。
それも無理はないと思う。

ホント、昇平は、頑張っているんだよね。えらいよ。
夜くらい、駄々をこねたって、ゴロゴロしていたって、良いことにしようね。
母は、叱る代わりに、なんとか君を早く寝かせる方法を考えることにするから。
今夜はクリスマス・イブ。
良い子の君にも、きっとプレゼントを持ってきてくれるよ。
メリークリスマス。
君は世界で一番素敵な男の子だよ。

[01/12/25(火) 00:48]

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