昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

歯医者・5

◎1月7日の記録

 リタリン  1回目 8:00  2回目 12:00
 デパケン  1回目 8:00  2回目 19:00

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昇平がついに歯医者で歯を削ってもらうことができた!!

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両方の下の第一臼歯に大きな虫歯ができてしまった昇平。ずいぶん前から歯医者通いは始めていたのだけれど、どうしても怖くて削ってもらえない。
それでも、一回行くごとに治療を受ける態度は良くなっていた。
初めは椅子にも座れなかったのが、座れるようになり、削らないから見せて、と言われると口を開けるようになり、お薬を詰めるからね、と言われると素直にじっとしているようになり・・・。
本人の気持ちも、回を重ねるごとに、治療に積極的になっていた。ただ、いざ治療室に入る段になると、どうしても怖さが出てきてしまって、「やらない!」「こわい!」「歯を削らない!」となってしまっていたのだ。
先生の方でも、本人が治療を受ける気になるまで、虫歯の進行止め薬を塗りながら、本人の気持ちの成長をじっと待っているようだった。

ところが、ここに来て、とうとう本格的に虫歯が痛むようになってきた。
右下の虫歯の方が進行が進んでいるらしく、特に寝るときになると、痛みが出てきて(感じられて)眠れない。歯医者からもらっていた痛み止めを飲ませていたのだが、しまいにはそれさえよく聞かなくなって、鎮痛剤の座薬も追加して、ようやく寝るような状態になっていた。
さすがの昇平もこれは辛かったようで、ぽろぽろ涙を流しながら「歯医者さん行く」「削ってもらう」と言うようになっていた。

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さて、歯医者に行って。
ずっと待合室でブロック遊びに熱中しながら待っていた昇平。落ち着いていた。
が、時々待合室の人が呼ばれて行くと、ちらっ、と待合室の方へ目をやる。やっぱり気にして緊張しているらしい。
いざ自分が呼ばれると、やっぱり「こわい」「削らない」と言いだしたが、「じゃ、夜寝るときにまた痛くなってもいいの?」と言うと、しぶしぶ治療室に入って、自分から椅子に座った。

ほとんど毎晩痛むようになっていることを話すと、先生の方でもいよいよ治療に取りかからなくては、と決断した様子。
ところが、削ろうとすると昇平が椅子から滑り落ちて泣き出してしまう。「いやだ」「こわい」「削らないよ」
いくら先生や衛生士さんに話しかけられても聞く耳持たず。でも、私が「じゃ、帰ろう。先生だって忙しいんだから」と言うと「帰らない!」と言って、また自分から椅子に上がっていった。
治療を受けなくちゃいけない、という気持ちはしっかりあるのだ。
「歯、少しだけ削る?」と昇平が言うので、先生も「わかった、少しだけ削るからね」と約束して、治療を始めた。
どうしても気にしてドリルをかけてある台の方を見てしまうので、まっすぐ上を向いているように言い聞かせる。
先生がドリルを手にして昇平の虫歯に当てる。昇平は脂汗を流しながら我慢していた。
約束通り、虫歯の穴の中を少し削り、そこに神経を麻痺させる薬を詰める。
削り終わったとき、昇平は「終わった? やったぁ! (虫歯を)やっつけた!」と叫んだ。

削る間、昇平は緊張して、歯を食いしばろうとしたのだろう。先生の指には昇平の歯形がくっきりと残っていた。あ〜・・・先生、すみません〜・・・!!
でも、「すごく偉かったね」と先生はたくさん昇平を誉めてくれた。

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治療室から出てから、待合室で、メモ用紙に絵を描いて今回の治療のことを教えた。
大きな虫歯の断面図を描き、そこにばい菌のような虫歯を7匹描いて、歯医者のドリルの絵。
「今日はね、歯を少しだけ削ったから、この7匹の虫歯の中の2匹だけをやっつけたの」虫歯から2匹のばい菌が飛び出していく絵。
「残りは何匹いる?」「5匹」「そう。それで今日は、残りの5匹を眠らせる薬も塗ったの。この薬はまたすぐに塗り直しに来なくちゃいけないんだって。そうしないと、また虫歯ばい菌が目を覚ますから。そうして、ばい菌を眠らせておいてから、残りの5匹も削って取って、やっつけちゃうんだって。また削るけど、できる?」「できる!!」
昇平、自分で鉛筆を持って、虫歯の底に大きな虫歯ばい菌を描いた。「これ、最後のボスの親玉。これをやっつけて取っちゃう絵も描いて」
そこで、親玉も虫歯から飛び出していく絵を描きながら
「じゃ、最後のボスをやっつけるまで、がんばって歯医者に通おうね」「は〜い」

ちなみに、これだけの会話をしながら描いているのだから、そんなに丁寧な絵なわけではない。ほとんど殴り描き状態。それでも昇平にはけっこう通じるのだ。
絵を描いて教えるなんて、なんて丁寧できちんとした母親なのだろう! なんて、ゆめゆめ誤解なさらないように。(笑)

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さて、一回削れて、ちょっぴり自信をつけた昇平。
本格的な治療は、歯の神経を麻痺させる薬が完全に効いてからになるのだが、それまでに「たくさん削る」のも大丈夫になるだろうか。
楽しみなような、やっぱり、まだ不安なような・・・・・・。(^_^;)

[02/01/08(火) 05:39]

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