昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
ニックネームは『エジソンくん』
◎2月1日の記録
リタリン 1回目 8:30 2回目 12:30
デパケン 1回目 8:30 2回目 19:00
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今日はお兄ちゃんの小学校の授業参観だったのだが、そのお兄ちゃんのクラスで、2日前にあった出来事の話。
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来年度から、小学校では運動着が変わる。洗濯して乾きやすく、動きやすく、衛生的なものを・・・という観点から選ばれたのだという。
お兄ちゃんたちは6年生でもう卒業してしまうので、新デザインの運動着に袖を通すことはないのだが、それでも担任が実物を見せて説明をしていたところ、同級生の一人が「そういえば、朝倉くんのとこの弟は来年1年生になるんだよな」と言ってきたのだそうだ。
ちなみに、その学級の子どもたちの中で、来年新入生になる兄弟がいるのは、うちのお兄ちゃん一人だけ。自然と級友たちの注目が集まる中、
「でも、うちの弟、この学校には入らないよ。隣の○小学校に行くらしいんだ」と、お兄ちゃんはあっさりと答えたという。
どうして? と友人たちに問われて「だって、うちの弟、ADHDだから」と、これまたあっさりと言ったらしい。(^o^A
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実は、半年以上前から、私はお兄ちゃんに弟の障害のことを話して聞かせていた。
ADHDという名前は、私が読みあさる本にいくらでも書いてあるので、お兄ちゃんの方で気がついて「昇平はADHDなの?」と聞いてきた。
だから、私としても「そうだよ。ADHDって言うのはこういう障害で・・・普通の子と同じようにできないことはたくさんあるけれど、普通の子よりゆっくりでも、ちゃんと成長していくし、昇平くんにしかできないような、すばらしい才能だって持っているんだよ」と、隠すことなく、できるだけ分かりやすく説明した。
「すばらしい才能ってどんなの?」とお兄ちゃんが聞くので、「昇平は図形に関することがすごく得意だよ。絵を描くのだって得意で、面白い絵をたくさん描くでしょう」と言うと、絵画が苦手なお兄ちゃんは『確かにそうだ』と思ったようだった。
そんないきさつがあるものだから、私とお兄ちゃんの間では、昇平がADHDであることは折にふれ話題に上がっていたし、ごく当然のことのようにそれが話されるものだから、お兄ちゃんの方でも、それを隠さなくちゃならないこととか、とんでもなく深刻な障害だとかは思っていないのだった。(とはいえ、わきで昇平自身が聞いているわけだから、お兄ちゃんが「障害」ということばを連発するときには、さりげなく注意するけれど)
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家で話しているような感覚で、級友たちの前で弟の障害を話したお兄ちゃんを、担任の先生が援護してくれた。
「ADHDってのはな、普通とは変わっているかもしれないけれど、その分、普通の人にはできないようなすごいこともできたりするらしいぞ。発明王のエジソン、あの人も実はADHDだったらしいんだ・・・」と、エジソンの子どもの頃のエピソードなどを子どもたちに話して聞かせてくれたらしい。
そこで、すっかり感心した子どもたちが昇平に付けたあだ名が『エジソンくん』。
お兄ちゃんが帰宅して、「今日から昇平は『エジソンくん』って呼ばれることになったんだよ」とにこにこしながら報告してくれたものだから、この出来事が、私にも伝わってきた、という次第。
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お兄ちゃんの担任は、とても真面目な男の先生。
5年生になって初めての個人面談で、私は「下にADHDを持った、6つ年下の弟がいます」と知らせておいた。
「母が弟のほうにかなり手を取られていますので、兄に情緒不安定な様子が見られるようなときにはお知らせください」と言って。
折しも、学校ではADHDの診断を受けた子どもを初めて受け入れたばかりで、ADHDについてはかなり先生方の関心が高かったらしい。結局、お兄ちゃんの情緒不安定の方は、私の杞憂に終わったのだが、担任は昇平のことをしっかりと記憶にとどめてくれていたのだ。
その後、私が新聞に投稿したときにも、めざとく気がついて、子どもを通じて声をかけてくれた。
昇平の受け入れの足がかりに、とADHDに関する本を持って校長を訪ねたときにも、私が書いたアポイントメントの手紙に、新聞の投稿記事のコピーを添えて校長に渡してくれていた。(校長からそのコピーを見せられて、私は初めてそれを知った。)
昇平が地元校に来るか、隣校の特殊学級に行くのか、決定を迫られていた時期にも、気にして「どうなった?」とお兄ちゃんに声をかけてくれていたのだ。
表だって手を貸したり、声をかけたり、ということは一度もなかったが、それでも、見えないようなところで、さりげなく手助けをしてくれる、そういう先生だった。
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今回も、その先生のおかげで、昇平は「地元校に通うこともできない障害児」と馬鹿にされないですんだし、お兄ちゃんも「障害児を弟に持つヤツ」と級友からからかわれたりしないですんだ。
それどころか、昇平は『エジソンくん』というすばらしいニックネームまでいただいて、子どもたちの中に受け入れられてしまった。
お兄ちゃんから、その一部始終を聞かせてもらったとき、「へぇ〜、面白いね」と言いながらも、私は心の中で嬉し涙を流しながら、担任に手を合わせて感謝していた。
先生、すばらしい配慮をありがとうございます。
子どもたちにかけがえのない指導をしてくださって、本当に本当にありがとうございます・・・・・・と。
[02/02/01(金) 23:51]