お遊戯会
◎2月16日の記録
リタリン 1回目 8:00 2回目 13:30
デパケン 1回目 8:00 2回目 19:00
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昨日は保育園のお遊戯会だった。
そう。昇平がずっとセリフを練習していた「オズの魔法使い」の劇をいよいよ発表する日。
保育園の行事になかなか参加できない旦那も、最後くらいは、と半日休みを取って一緒に見に行った。
昇平の通っている保育園は、赤ちゃんから5歳児まで全部で5クラスある。
プログラムを見てみると、演目は、お遊戯と劇だけで30。つまり、一クラスで6つくらいは出し物を抱えていることになる。
子どもたちも、乳児をのぞいて、一人2つずつの演目に出る。
しかも、衣装は手作りで凝っていて、ドレスあり、ミニスカートあり、ガ○レンジャーやウルトラマンコ○モ○の衣装あり。背景の絵も大きくてきれいだし、小道具も・・・。それらのほとんどが、すべて園の先生方の手作りだというのだから、毎年のことながら、その努力と熱の入れ方のすごさには頭が下がってしまう。
それだけ力を入れているお遊戯会なので、子どもたちも真剣そのもの。
特に衣装をつけると、みんな自分の役になり切ってしまう。ヒーローになりきって戦う子、お姫様になって優雅に踊る子、ピンク○ディーの曲に合わせて色っぽい仕草を見せる子(笑)・・・とにかく、見ていて面白い。
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さて、我が家の昇平は、「オズの魔法使い」の劇と「こども龍神祭り」という踊りの2つに出ることになっていた。
劇のほうはともかく、踊りのほうはほとんど話を聞いていなかったので、どんなことをするのかもよく分からなかった。演目名さえ、プログラムが渡ってくるまで知らなかったほどだ。
初めは「オズの魔法使い」。
さすがは年長さん。どの子もセリフを忘れるようなこともなく、危なげなく劇を進めていく。
テンポよく進行していって、やがて、昇平の出番。
茶色い猿の衣装を着て、背中に白い蝶のような羽根を背負った羽根ザルが2人、悪役の西の魔女の前にひざまずいた。背の大きい方が昇平だ。
視線が客席をきょろきょろと泳ぐ。父と母を捜しているのだ。
私たちは前から4列目のちょうど中央あたりにいたので、まわりに人が多くて、なかなか見つけられない様子。
それでも、自分の動くときには、気がついてもう一人の羽根ザル君と一緒に動いていたし、「ドロシーを捕まえてしまえ」と魔女に命令されると、敬礼しながらセリフを言えた。
「かしこまりました、キーキー」
声の大きさも速さも、まずまずと言ったところ。普段からことばには不明瞭さが残っていて、子音の発音があまりはっきりしないので、セリフとしてはあまりクリアではないのだが、一応、なんと答えたのか聞き取れたので、合格。彼にしてはとても良い出来だった。
その後も昇平は親を捜し続けていたが、とうとう最後まで見つけられなかったらしい。
羽根ザルの踊りはあまりうまくなかったけれど、何故か、一緒にやっている子も同じ程度の踊りで(緊張していた?)、昇平は全然目立たなかった。(笑)
羽根ザルたちが、ドロシーの一行を捕まえようとして戦う場面。ドロシーたちはダブルキャスト、トリプルキャストなので、総勢9人。それに対抗するのが、おとなしく優しげな羽根ザル君2匹なものだから、ドロシーたちの返り討ちに合うんじゃないか、という雰囲気。(笑)
ところがナレーションが「ドロシーたちはとうとう羽根ザルたちに捕まってしまいました」と来たものだから、客席のお父さんお母さんたちの間からは思わず笑いが起こっていた。
その後、最後のフィナーレまで昇平は親を捜し続けていたけれど、その状態でもちゃんと劇はできていたのだから進歩と言えるだろう。
親が見つけられなくても平気な顔で演技できる、という自己コントロールができるまでには、もう少し時間がかかるだろうけれど、今はこれだけできたら、本当に上出来。
私も旦那も、ほっと胸をなで下ろしたのだった。
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「子ども龍神祭り」のほうは・・・。
はっきり言って、ものすごくびっくりさせられた。
内容に関して何も知らなかったのは、先に書いたとおりだが、カーテンが開いても舞台には誰もいない。
と、会場の後ろのほうからジャーンとシンバルの音が鳴り響き、後ろの入り口から舞台に向かってまっすぐに龍が入ってきた。
中国の龍神祭りや日本の蛇踊りを見たことがあるだろうか? あれなのだ。
長い龍の人形の下に棒がついていて、それを7人の男の子たちが持ち上げて、客席の間の通路を練り歩いていく。
男の子たちは、黒と金のそろいの衣装を身につけ、頭には黒いはちまき、足は素足と、とても勇ましい。
あっ、今わきを通り過ぎたの、昇平だ!
きりっと引き締まった顔に笑みを浮かべながら、他の6人と一緒に堂々と龍を運んでいく。
不安も迷いも、微塵も感じさせない、すばらしい顔つきだった。
カメラのフラッシュが間に合わなくて、写真に収められなかったのが残念!
舞台の上に上がっていくと、龍をスタンドに立てて、2本のばちを持つ。
昇平もてきぱきと行動している。
ちょうど写真を撮ろうと伸び上がった母を見つけたらしい。満面の笑顔が広がって、そこからはますます自信に充ちていった。笑顔も絶えない。楽しそうに、伸びやかに踊っている。
・・・昇平がこんなに踊れるなんて!
去年の踊りでは、昇平は剣士だった。(「アニメ四銃士」の曲)
マントをなびかせ、細い剣を振って踊っていたが、他の子の動きを見ながら踊っているので、どうしてもワンテンポ遅れてしまう。動きも顔つきもちょっと不安そうだったし、ポーズもあまり上手ではなかったが、それでも、他の子たちと同じように踊れたことに私たちは感動したのだった。
ところが、今年の昇平は、他の子の動きなんて見ていない。
ワンテンポ遅れるどころか、むしろ、他の子よりほんの少し早く動くくらい。
どの発表のグループにもこういう子は1人2人いるのだが、要するに、踊りを完璧に覚え込んでいるのだ。次になんの動きをするのかしっかり頭に入っているから、体が次々と動いていく。だから、きびきびした動きに見える。
場所移動も、ばちを打ち慣らしてリズムを取るのも、ポーズを決めるのも、まったく問題なし。
年中の時、鼓笛パレードでガードという旗の演技をするのに、場所移動がどうしてもできなくて、担任の介助を受けながら動いていたのが嘘のようだ。
「今年の昇ちゃんは、もう、次にどうするなんて言わなくても大丈夫なんです。手首を上に向けて、とか、手をまっすぐ伸ばして、とか、他の子たちにするのと同じようなことを指導しています」と、担任からは教えられていたのだが、それがどういうことなのかは、実際に自分の目で見るまで分からなかった。
確かに、昇平は他の子たちとまったく見劣りすることなく動き踊っていた。
手首を上に向けた状態で腕を前に伸ばす演技だけは、難しくてちょっと苦労したようだが、手首の内側にカービィの絵を描いて、「カービィの見えるほうを上にして伸ばすんだよ」と家で一日練習させたら、それですんなりクリアしてしまった。
確かに、昇平はうまかった。
何も知らずに踊りだけを見ている人たちは、昇平に障害があるだなんて、誰も絶対に気がつかなかっただろう。
「昇平がここまで成長するなんて、保育園に入れるときには想像もしていなかったよな」と隣で旦那が言った。
本当に、その通りだった。
いっぺんにここまでたどり着いたわけじゃない。
階段を一段ずつ上がるように、ひとつひとつの課題をクリアしながら、とうとう昇平はここまで上がってきたのだ。
園の先生方の支援や、お友達、家族の応援を受けながら、自分自身の力でがんばり抜いて。
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予定より40分以上遅れて、すべての演目が終わり、園の昇降口まで迎えに行くと、おみやげのお菓子とケーキが入った紙袋を抱えた昇平が、元気に外へ駆け出してきた。にこにこと笑顔で、疲れた様子もない。
「劇も踊りも、とっても上手にできたね」とほめると嬉しそうに笑った。
駐車場に行くと、先に車に戻っていた旦那が「昇平くん、すごかったね。お見事でした」と拍手で迎えてくれた。昇平は「すごいすごい! お見事〜!」と飛び跳ねて喜んだ。
母にほめられるより、父にほめられたときのほうがもっと嬉しそうだった。(笑)
お遊戯会で他の子たちと同じように踊れたからと言って、すべてのことが他のこと同様にできるようになった、というわけではない。
やっぱり昇平は特別な支援の必要な子ども。
でも、適切な指導と援助があれば、きっと自分の力で進んでいくことができるのだと・・・たとえ、他の子たちよりゆっくりした歩みでも、しっかり前進していくことができるのだと、今回のお遊戯会を通して、昇平は私たちに告げていたように思う。
昇平の保育園生活も、残すところあと1ヶ月ちょっと。
最後に見事な締めくくりを見せてもらえたような気がした。
本当に、この保育園に入って良かったね、昇平。とっても楽しい2年間だったね。
保育園でもらったたくさんのことを力にして、4月からは小学校でもがんばっていこうね。
☆「子ども龍神祭り」の写真 (前列中央が昇平)
[02/02/17(日) 11:23]