昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
老人ホームを慰問して
◎2月28日の記録
リタリン 1回目 7:30 2回目 12:30
デパケン 1回目 8:30 2回目 19:00
☆★☆★☆
火曜日、昇平たち保育園の年長さんは、町内の老人ホームへ慰問に行き、先日お遊戯会で発表した踊りを、おじいちゃん、おばあちゃんたちの前で披露してきた。
以下は、連絡帳に書かれた、そのときの様子。
☆★☆★☆
今日は老人ホーム慰問ということで、少しテンションが高く、部屋を走り回ったりしていました。女の子たちが髪をセットしてもらっていると、「ぼくも!」と言っていた昇平くんです。
老人ホームでは、物珍しさからかそわそわしていて、金魚の入った水槽を見に行ったり、お年寄りの人たちが作った作品を眺めに行ったりしていました。連れ戻そうとすると素早く逃げました。あんなに素早く逃げた昇平くんを見たのは、初めてだったかも・・・。(笑)
今までならば、初めて行く場所だと怖がって、担任にしがみついていることが多かったのに、あんなふうに興味を持って自分から動き回っていたのも、珍しいことでした。
ですが、そんな昇平くんも、自分の出番になるとしっかり龍を持ち、きちんと踊ることができました。一度ステージの縁に立ちすぎて、少しよろよろとこけてしまったことはありましたが、それはご愛敬でしょう。
お年寄りの人たちも大喜びで、手拍子をとりながら眺めてくれていました。
今日は、いつもと違う環境でのお遊戯で、少々疲れ気味だと思いますので、がんばったねと誉めてあげ、ゆっくり睡眠をとらせてあげて下さい。
☆★☆★☆
これを読みながら、3年近く前、まだリタリンを飲んでいなかった頃のことを思い出していた。
どんな場所に行っても、まるで場所見知りをしない子だった。
大胆で活発で、おそれることもなく興味のある対象に突進し、積極的に遊んでいた。
広い会場に連れていけば、ぐるぐると走り回り、ステージがあれば必ず駆け上がり、音響設備や珍しい展示物があれば必ず手を出そうとしていたものだった。
どんなに言い聞かせて制止しようとしても、まったく言うことを聞かない子どもだった。
それが、リタリンを飲み始めてまもなく、こちらの言うことに対して反応が良くなり始め、やがて、初めての場所をとても不安がるようになり、階段やアスレチックのような高い場所をとても怖がるようになった。
それまでなんて大胆不敵な子どもだろうと思っていたのだが、本当は、かなり慎重で心配症な子どもだったのだと、家族は初めて知ったのだった。
それでも、経験を積み重ねていくうちに、昇平は不安や恐怖を自分で克服することを覚えていった。
アスレチックで遊べるようになった。初めての場所でも、それなりに観察して、動けるようになってきた。
大嫌いな歯医者さんでも我慢して治療できるようになったのは、つい最近のこと。
それは状況判断が良くなってきて、自分にできそうかどうか予想が立てられるようになったからだ、と主治医から説明された。
それと同時に、目新しい場所、面白そうな場所、嬉しい場面では、今までよりもずっとはしゃぐようになってきた。
これは結局、状況判断力の伸びと裏表の現象なのだと思う。
まわりがよく見えるようになってきたから、今までよりずっと強く、周囲からの刺激を受けるようになって、それで興奮しやすくなってきたのだろう。
実際、リタリンを飲んでいるのに、以前より効きが悪くなったようにさえ見えるときがあるのだ。
ただ、効きが悪くなるのはたいてい、目新しいことを体験したり、とても嬉しい状況になったりしたときだし、通常の生活ではしかにも落ち着いて過ごせるようになっているので、リタリンの効果が落ちたわけではない。
やはり、それだけ周囲がよく見えるようになったということなのだろう。
☆★☆★☆
今、昇平は新しい環境で、自分のするべきことをきちんとやり遂げられるようになってきている。
今回の老人ホームでの発表のように。
まだ、それ以外の時間まで自分をコントロールして落ち着いて過ごすことはできないけれど、でも、やるべき時にはやれるようになっている。
これは、本当に立派な進歩だと思う。
今回のお遊戯会は、本当にさまざまな昇平の成長ぶりを私たちに見せてくれた。
大きなイベントは、子どもにとって負担も努力も大きいことかもしれないけれど、でも、確かにそれを通じて、大きく成長していくものなのだ、と改めて思うのだった。
保育園や幼稚園での体験は、素晴らしい。
・・・卒園が間近になってきたからか、最近、しょっちゅうそんなことを考えている私だったりする。
[02/03/01(金) 00:30]