昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

お話タイム

◎3月3日の記録

 リタリン  1回目 9:00  2回目 13:00
 デパケン  1回目 9:00  2回目 19:00

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我が家では、夜寝る前がお話タイムになっている。
この習慣は長男の時からで、長男がちょうど小学生になって自分で本を読むようになったあたりから、今度は昇平に引き継がれていった。
ところが、昇平は全然物語に集中しない。
絵本を読み聞かせると、絵のほうに夢中になりすぎて、読んでいる母を無視してどんどんページをめくろうとするか、そうでなければ、じきに飽きて寝室をあちこち飛び回り始める。
同じ兄弟なのに本の好みも違うし、理解の仕方も聞く態度も違う。昇平にはずいぶん読み聞かせするのが難しいなぁ、とずっと思っていた。
・・・昇平がまだ、ADHDだと分からなかった頃の話。

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昇平にADHDという特性がある、と分かってから、読み聞かせが難しかった理由が分かった。
昇平は視覚認知優勢なので、絵本を見ると絵のほうに興味が行きすぎるのだ。
もちろん、ひとつの物語が終了するまで興味・関心を維持するのも難しかった。

そこで、寝る前のお話タイムで絵本を読むのをやめて、素語りをすることにした。
素語りというのは、母が覚えている物語を、思い出しながら、ただことばで話して聞かせるもの。
となると「桃太郎」や「シンデレラ」あたりの名作童話が定番になってくるのだが、残念ながら当時の昇平にはそれを理解するだけの言語能力も知識もまだない。
そこで、母が勝手に短いお話を作って聞かせることにした。
登場人物には、昇平や、昇平の好きなアニメキャラクターなどを登場させて。

初めは、昇平やピカチュウやハム太郎たちが一緒にお弁当を持ってハイキングに行きました、そしてお弁当を食べて家に帰りました・・・というような、単純で短いストーリィだった。
それでも、昇平にはけっこう面白かったらしい。登場人物にカービィも出してくれ、などとリクエストしてくるようになった。
そのうちに、ストーリィも長く複雑になってきて、ピカチュウやピチューやハム太郎たちがお化け屋敷に入って、中のお化けをやっつけてしまう、という物語なども出てきた。これは多いに昇平に受けて、何度もアンコールして話して聞かせたっけ。
何しろ、私は一応小説など書くから、物語を適当にでっち上げてまとめていくのは、けっこう得意なのだ。
でも、子どもにしてみれば、形が整っていなくたって、親が作ってくれた話を聞かせてもらえるだけで、きっと嬉しかったんだろうと思う。

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その後、昇平は寝る前に一人で好きな本を読むようになった。
たいていは漫画かゲームの攻略本で、あまりストーリィ性のないものばかりだった。
夜の素語りは、オリジナル物語から古典的な童話・落語に移っていった。
短いものから初めて、だんだん長くて複雑なストーリィのものに移っていった。

素語りの良さは、自分でことばを選べるところ。
もちろん、一言一句原作どおりに覚えて語る素語りの仕方もあるのだが、私にはとてもそんなことはできない。しかも、毎晩違う作品を聞かせるわけだから、それをひとつひとつ覚えている時間もない。
だから、ストーリィはそのままだけれど、ことば遣いだけは自分で考えて、昇平に分かりやすいことばを選びながら話して聞かせていった。
これはまだ理解できないな、と思えるようなことは、ちょっとはしょったり、内容を変えたこともあった。(本当はあまり良くないんだけれどね。(^o^A )

昇平にはおもしろ話、落語系のオチのある話がかなり受けた。
「団子」「頭に柿の木が生えた男の話」「石のスープ」「ジュゲム」。
漫画などの好みもそうなのだが、昇平はギャグ系、コメディ系の、短めのストーリィが好きだった。
たぶん、起承転結がはっきりしていて、ストーリィの中に適度に笑える場面が織り込まれていて、長さも短めだから、理解しやすく興味も持続しやすかったのだろう。
「桃太郎」などの古典名作も、保育園で絵本や紙芝居を見てよく知っているからか、理解が良くて、受けがよかった。

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母が語れる物語も出尽くした頃、昇平が「これ読んで」と絵本を自分から持ってきた。
『あいうえお』という、ことば遊び的な本。
いかにも文字の好きな昇平らしい、と思いながら読んで聞かせたら、反応がものすごく良かった。
以前からあった本で、時折読み聞かせてはいたのだけれど、その頃より、格段に理解度が上がっていたのだ。
これは良い、と思って、昇平にリクエストを聞きながら絵本を読んでいった。
『あいうえお』の次は、さとうわきこの『ばばばあちゃんシリーズ』。考えてみれば、どちらの作品も起承転結がはっきりした物語だった。

その次に昇平が持ってきたのは、『エルマーのぼうけん』だった。お兄ちゃんが小学生になった頃に大好きだった本だ。
一瞬、これは昇平に理解できるかな、と心配になったが、昔、幼稚園で英語の仕事をした頃、先生が年長児に少しずつこの本を読み聞かせていたのを思い出して、真似して読んでみることにした。
一晩に一章ずつ。
ことばはできるだけ原文のままで読むようにして、わかりにくい部分は本の挿し絵を見せたり、質問や説明で補ったりした。

相変わらず衝動性は強いので、本から興味がそれたり、勝手な遊びを始めたりするのだが、ペアレント・トレーニングの「無視」を活用したら、最近ではかなりきちんと物語を聞けるようになってきた。
(近いうちに、ペアレント・トレーニングのページでまたレポートしますね。)
そうして、昨夜、とうとう『エルマーのぼうけん』を全部読み終えたのだ。
最近では、一緒に本を眺めて、母の声を聞きながら一緒に文章を読んでいるようだった。
読み終わるなり、「次はこれね」と2作目の『エルマーとりゅう』を持ってきた。その後には3冊目の『エルマーと16ぴきのりゅう』も控えている。
夜のお話タイムは、当分ネタに困らなくてすみそうだ。(笑)

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そうやって、絵本ではない物語を読み聞かせていると、やっぱりこういうのも段階を踏んでステップアップしていくものなんだな、と改めて感じる。単純で短いものから、だんだん長く複雑なものに。
もちろん、本人が本に興味を持っていなかったらどうしようもないのだけれど、興味そのものも、ステップアップしていったような気がする。
子どもというのは本当に、何でも段階を踏んで進んでいくものなんだなぁ。

さて、エルマーシリーズが終わったら、次は何を読むようになるのかな。
うちにたくさんある本と言えば・・・お兄ちゃんが好きで集めた『怪傑ゾロリシリーズ』。
う〜ん。これをよる寝る前に読んで聞かせたら、受けすぎて、眠れなくなるんじゃないだろうか?(笑)

[02/03/04(月) 07:07]

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