昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

連絡帳から・23

◎3月9日の記録

 リタリン  1回目 7:30  2回目 12:30
 デパケン  1回目 8:30  2回目 19:30

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連絡帳にこんなエピソードが書かれてきた。

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歯磨きの後、「歯ブラシがない」と昇ちゃんが涙ぐんで来ました。
「さっき磨いていたから、あるはずだから探してごらん」と言うと、歩きながらうろうろしていましたが、見つかりませんでした。
そこで、みんなに「昇平くんの歯ブラシがなくなったので、誰か一緒に探してくれるかな?」と声をかけると、テレビを見ていた全員が立って、部屋の隅々を探してくれました。
気の利く女の子が、どこでなくしたのかなど、昇ちゃんに聞きながら、お友達のコップ袋を確認してくれると、1本多く入っていた子がいて、昇平くんの歯ブラシだと判明しました。歯ブラシの名前が消えていたので、間違ってしまったようです。
歯ブラシが見つかると、みんなが昇ちゃんに「良かったね」と声をかけ、昇ちゃんもみんなに向かって「ありがとう」を言いました。
本当にみんな優しい気持ちを持っている子供たちだな、と嬉しくなりました。

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昇平のクラスの子どもたちは、今ではすっかり昇平の特徴を飲み込んでくれていて、例えば給食の時、昇平がぼんやりしていると「昇ちゃん、もぐもぐしてね」と声をかけてくれたり、例のA子ちゃんが泣き出したときには、素早く昇平を遠ざけて、一緒に泣き出してしまわないようにしてくれたり、いろいろな場面で昇平を助けてくれているらしい。
本当に優しい子どもたちで、もちろん、昇平をいじめたりするような子は一人もいない。
最近になってようやくお友達と遊ぶ楽しさを覚えた昇平だが、遊びのグループに混ざろうとすると、グループの子どもたちも昇平を喜んで迎え入れてくれるらしい。
本当に、本当にありがたいことだと思っている。

でも、それは決して自然に発生してきたものではない。
昇平が入園するとき、担任の先生たちで「このクラスからは絶対にいじめを出さないようにしよう」と話し合ったそうだが、先生がまず、子どもたちに「昇ちゃんにはこんなふうにやって上げるといいんだよ」とお手本を示し、子どもたちがそれを真似して昇平に接していくのを先生が喜んでくれたから、子どもたちもいつの間にかすっかりそのやり方を覚えてしまったのだろう。

子どもたちはみんな本当に優しい気持ちを持っているけれど、同時に残酷な気持ちだって持ち合わせている。
そのどちらの気持ちを発揮するようになるかは、やっぱり子どもたちに手本を示す大人次第なのだ、と私は思う。
子どもたちが優しい集団は、その子たちに関わる大人たちも優しいということ。
だから、私は子どもたちが昇平に優しくしてくれる話を聞くと、とても嬉しい。
昇平がみんなから受け入れてもらっているのだと分かるから。

先生方、本当にありがとうございます。

[02/03/09(土) 23:45]

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