昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

いわき小旅行

◎3月10日の記録

 リタリン  1回目 8:00  2回目 14:00
 デパケン  1回目 8:00  2回目 19:00

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日曜日。家族4人が揃って休みだったので、日帰りで小旅行に出かけた。
題して「『動物の森』を実際に体験してみようツアー」(笑)。

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「動物の森」とはゲームキュー○のゲームソフトで、この正月に子どもたちに買ってやったもの。
動物の住む森の住人になって自分の家を建て、貝を拾ったり化石を発掘したり、魚や虫を捕まえたり、果物を収穫したりしてお金を稼ぎ、家を増改築し、好みの家具を揃え、友だちに手紙を書いて交流する・・・という平和なゲーム。
昇平がCMを見て興味を持っていたので、生活というものに少しでも関心が深まれば、と思って買ったのだが、お兄ちゃんと2人で見事にはまって、毎日楽しんでいるのだった。

ゲームの世界には森や海も出てくる。川もある。
でも、昇平は本物の海も森も化石も、意識して実際に見た経験がない。(小さい頃には行っているのだが、記憶には残っていない。)
福島県は、いわき市に本物の化石が多く出土する場所があり、化石を見られる施設がいくつかある。いわきには海もある。
ということで、「動物の森」に出てくるものを実体験させるために、いわき行きを計画したのだった。

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アンモナイトの化石を見に行くよ、と言うと、昇平もお兄ちゃんも大乗り気。
アンモナイトはゲームの中で一番たくさん出土する化石なのだ。
いわき市アンモナイトセンターというところと、そのすぐ近くにあるいわき市海竜の里センターという公園を目的地にし、その後、近くの海岸で遊ぶことにした。
ちなみに、海竜の里はそのすぐ近くから有名なフタバスズキリュウが発見されたことから作られた施設。スズキリュウはゲームにも登場するのだが、本物のスズキリュウの化石は別施設に展示されているので、時間の関係で今回は回らないことにした。

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当日。
子どもたちを朝6時に起こし、旦那は洗濯、私は弁当作り、お兄ちゃんはお茶を水筒に入れ、昇平はがんばって早く着替える・・・と全員一致で協力して、7時過ぎには出発することができた。
天気は上々。空には雲一つない。
車の中で朝食を食べながら、うきうきと東へ向かう。
昇平は行き帰りの車の中で、ほとんどずっとゲーム○ーイをやっていた。
外に遊びに行くときくらいゲームは手放せばよいのに、とも思ったが、移動時間も長かったので、そのままにしておいた。時々お兄ちゃんとゲームを交代しては、のぞき込んで、なにやら話をしていた。

さて、目的地のアンモナイトセンターに到着したのは、午前9時半頃。
ところが、改修工事のために臨時休館中!
そんなぁ〜。前の日にインターネットでも調べたけれど、そんな案内はどこにも載っていなかったじゃないの〜。(;_;)

見れば、建物の左奥の切り出しでは化石発掘体験中の親子連れがたくさんいる。
センターは閉館中だが、毎週日曜日には体験発掘ができると貼り紙がしてあった。(これもホームページなどでは第二・第四土曜日のみ、となっていた。)
昇平もお兄ちゃんも、ものすごく化石を掘りたがったが、一回2時間のコースだし、受付時間は過ぎてしまっていたし、おまけに小学生以上という年齢制限があるものだから、今回はあきらめてもらった。
この次は、化石発掘をメインにしたコースで来ようね、と話をした。

海竜の里センター。こちらは無事にやっていました。(ほっ)
建物の中には本物の大型アンモナイトの化石が飾ってあって、実際に触ることもできたので、昇平もお兄ちゃんも満足。私たちも一安心。(^o^A
建物はあまり広くはないのだが、それでも三葉虫や貝の化石、サメや魚の歯の化石などが陳列してあって、なかなか面白かった。
センターの広場にはブラキオザウルスの大きなすべり台(たぶん、等身大)があって、昇平と何度もそこを滑った。

実は、以前私は『恐竜の祭り』という童話を書いたのだが、その中に2人の兄弟(モデルは昇平とお兄ちゃん)がブロントザウルスの頭に乗せてもらって、高々と持ち上げてもらう場面があった。
種類は違うが、同じ大型首長竜のブラキオザウルスを下から見上げて、「う〜ん。この頭に乗せられて持ち上げられたら、絶対に怖いよな〜」なんてことを考えていた朝倉だった。かわいそうに。あの兄弟は、実はさぞかし恐怖におののいていたに違いない。(笑)

ちなみに、『恐竜の祭り』はこちらから読めます。→http://www.sets.ne.jp/~asakura/hosi-tw5.htm/top.htm

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時間は10時半。
そろそろ海に行こう、ということになった。
天気が良くてとても暖かい。浜辺で遊ぶのもきっと気持ちよいだろう。

自販機でフライドポテトを買って「海に着いたら食べようね」と言ったら、昇平がポテトを抱えたままセンター前に流れている川辺に下りていこうとした。
「戻っておいで。海に行くんだよ」と声をかけたら、「ここ、海じゃないの?」と昇平。
ああ、そうか、と思った。
「動物の森」のゲームの中にも海は出てくるが、常にそれは画面下の方に現れる青い水の映像でしかない。どこまでもどこまでも続く、あの広大さは、ゲームの中からは伝わってこないのだ。
川辺は綺麗に整備してあって、砂の河原も少し見え、ゲームの中の海岸とイメージ的に似ている。だから、川を海だと思いこんだのだ。
これは、なんとしても本物の海を見せて上げなくちゃ、と思った。

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車で走ること約15分。
四倉(よつくら)という場所に着いた。
長い砂浜が続き、夏には海水浴客で大にぎわいになる場所だが、さすがに今の季節に泳ぐ人はいない。
それでも、好天に誘われるように、海辺を散歩する人たちの姿がけっこう見られた。
私たちも、その仲間入り。

ざぶーーん・・・どどーーん・・・と音を立てながら、際限なく繰り返しうち寄せてくる白い波。
青い海原、水色の空、銀の水平線。
時折、空をカモメが飛びすぎる。・・・いや、カモメはもう渡っていってしまって、あれはウミネコかな?
砂浜には白い貝殻。昇平が歓声を上げて拾い始める。すっかり「動物の森」の世界。(笑)
アサリやハマグリが多かっただろうか。名前のよく分からない、内側が綺麗な紫色の貝殻もたくさん落ちていた。
乾いた海草も拾った。死んだカニも打ち上げられていたが、昇平は怖がった。

波打ち際に立つと、子どもたちはもう大興奮。
昇平は砂で団子を作り、砂浜に置いて海に向かって「食べに来いーーー!」と叫び、波が砂団子をさらっていくと大喜びで飛び跳ねていた。
お兄ちゃんはさすがにもう砂遊びなどはしないで、海に向かってじっと立ち、沖を見つめていた。大きな波が押し寄せてくると、笑いながら逃げてくる。ふ〜む。さすがに小学6年生ともなると、遊び方も少し大人っぽくなってきたかな。
旦那も海を眺めるのが好きな人なので、お兄ちゃんと旦那が2人並んで海を見ていることもあった。
父子だなぁ、と思いながら、その後ろ姿をほほえましく眺めてしまった。

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最近まとまった雨も降っていないので、海の水はとても綺麗。
うち寄せてくる水が透き通っている。
子どもたちは飽きることなく海や砂と戯れている。
そんな姿を、私と旦那が笑いながら眺める。

ふっと、こんなふうに親子4人で遊びに出かけられるのは、あと何回くらいなんだろう、と考えてしまった。
お兄ちゃんもこの春からは中学生。だんだん親と行動するより、友だちと一緒に出かけたりする方が楽しい年頃になる。
昇平だって、いつまでもこんなふうに親の後をついて歩いてはいない。いつかは必ず、親から独立して、一人で歩き始めるときが来る。
忙しい忙しい、金もない、と言いながらも、なんとかやりくりしてレジャーに出かけている今が、実は人生の中で一番幸せなときなのかもしれない、と考えたら、思わず涙がこぼれそうになった。

生まれて初めて海を意識した昇平や、本物のアンモナイトにふれることができたお兄ちゃんにとって、この小旅行はきっと忘れられない思い出になったと思うけれど、私たち親にとっても、きっとこの日のことは一生忘れられない思い出になるんだろう・・・と、そんなことを考えていた。

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海で1時間あまり遊んで、帰りにかまぼこ工場に寄っておみやげを買った。
実は、うちの子どもたちは大のかまぼこ好き。
休憩所でかまぼこを試食させてもらい、お茶をいただいて、好みのかまぼこを何種類も買った。
昇平は、何が何でもナルトが買って欲しくて、しきりに「ナルト〜! ナルト〜!」と言っていた。(笑)
今回のおみやげは、かまぼこやナルトの他に、海竜の里で買った直径4センチくらいのアンモナイトの化石と、お兄ちゃんが欲しがった鉱石(「宝石」の原石・・・と書いてあったが、実際には「貴石」の原石)の標本。
なんとなく、いかにも我々らしいおみやげで、帰りの車の中で袋をのぞきながら、思わず笑ってしまった。

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夕方4時からはスポーツ少年団の予定があったので、あわただしく帰路につき、福島市で遅い昼食をとって帰宅したのが3時半過ぎ。休む間のなく、私とお兄ちゃんはまた出かけていった。
とても忙しくて、お兄ちゃんなどはくたくたになっていたが、それでも「楽しかったね」と言っていた。
昇平も、これから「動物の森」をやるときには、きっと、今回見た海や貝や化石をイメージしながら遊ぶようになるんだろう。
ちょっと大変でも、やっぱり行って良かったね、と夜、旦那と話し合ったのだった。

それにしても、往復4時間以上も一人で車を運転してくれた旦那サマ、本当にお疲れさまでした。ありがとう。

[02/03/11(月) 10:39]

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