昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

死の意識

◎3月21日の記録

 リタリン  1回目 7:00  2回目 12:30
 デパケン  1回目 7:30  2回目 19:00

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昨日は小学校の卒業式。お兄ちゃんは無事に小学校6年間を終えて、修了証書を手にすることができた。

一方の昇平は、保育園のお別れ遠足で、年中さん、年少さんたちと一緒に、少し離れた神社までお弁当を持って歩いていった。
以下は連絡帳に書かれたその時の様子。

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今日の遠足では、行きは「○○神社はどこ?」と目的地を口にしながら、楽しく歩くことができました。
神社に着いてからは、ドングリを拾い、見つけた枝を大事そうに手につかんで歩き回っていました。ハチのことは、一言も口にせず遊びました。おりこ〜。

誰かが捨てたオルゴールを見つけて、まず、そばにいたみお先生に教えてから、次にA子ちゃんに見せてあげていました。(母談:A子ちゃんが泣くと、昇平もつられて泣いちゃうけど、そうでないときにはとっても仲良しなんだよね。ホントはA子ちゃんが大好きなんだよね。)

行き帰り、年長さんは年少さんと手をつないであげるのですが、帰り道では年少さんに昇ちゃんが引っ張ってもらう形で歩いていました。時間も12時近かったので、薬も切れてきていたようです。でも、最後まで「疲れた」とか「歩きたくない」とか言うことなく、がんばって歩いてくれたので、最高のお別れ遠足となりました。

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家に帰ってきてからは「遠足おもしろかった」と言っていた昇平だが、さすがに疲れたらしい。夜にはバテバテになって、風呂にも入らず、いつもより1時間以上早く寝てしまった。

夕食はお兄ちゃんの卒業と、一足早く昇平の卒園を祝ってお寿司だったのだが、大好物のお寿司を前にして、昇平が涙ぐんでいた。
「どうしたの?」と尋ねると「ぼくは大人になったら、年とって死ぬの? ぼく、天国行くの? おうちは? おうちに帰れなくなるの?」

はて〜? なぜ、急にそんなことが気になりだしたのだろう。
夕食前に見ていた『クレヨンしんちゃん』のビデオで、浪人がチョウを刀で切り捨てているのに気づいて、ビデオを巻き戻して見ながら「チョウチョ、切っちゃった。殺しちゃった。どうして?」と真剣な顔で尋ねていたのだけれど。それを思い出したのかなぁ。
それとも、お兄ちゃんの小学校卒業を考えるうちに、
 小学校→中学校→高校→大学→大人(働く)→おじいさん→死んで天国に行く
という構図を思い出したのかなぁ。
「最後には地球、爆発するの? みんな死んじゃうの?」とも尋ねてきた。
以前、人が年を取ると死ぬように、地球もいつか年を取って爆発するのだ、と話したことがあるのだが、それを思い出したのだ。

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子どもは、成長の過程として、人は必ず死ぬものだということに気づき、自分もいつかは年を取って死ぬのだということに気がついて、とても怖くなる体験をする。
私は4人姉弟の一番上だったから、自分自身だけでなく、妹弟たちがある日突然、死ぬことを怖がって泣き出したときのことも記憶にある。もちろん、お兄ちゃんにも死ぬのが突然怖くなった時があった。
経験から言うと、その時期はだいたい小学校入学前後に来るだろうか。・・・個人差はあるようだけれど。

そういうときは、「死ぬのは当たり前だ」と言ったり「そんな先の話を心配するなんてバカだな」などと笑ったりしてはいけない。
当人はとてもとても真剣で、本当に胸がつぶれるくらい怖くて不安なのだから。
だから、抱き寄せて、安心させるように語りかけてあげるのが、一番効果がある。

昇平には、人間の平均寿命の話などしても分からないので、死ぬのは、ずっと先のことで、たくさん遊んだり勉強したり仕事したりして、もう十分だ、と言うくらい生きたら天国に行くのだという言い方で教えた。
天国ではまたみんな一緒で、新しい天国の家に住むのだとも教えた。
地球が爆発するのは、まだまだ、まだまだ先のことだけれど、もしその時が来たら、人間はきっとロケットを作って地球を脱出して、新しい星にまた住み始めるだろう、とも話して聞かせた。・・・その頃まで人類がいるかどうか分からない、とは言わないでおいて。(^_^;)

話を聞くうちに、昇平はべそをかくのをやめたけれど、それでも寝るまでずっと不安そうで、布団の中でも母に抱っこされたがっていた。

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突然情緒不安定になったのは、多分に遠足の疲れが関係していたのだと思う。だが、いつまでも幼い、幼いと思っていた昇平が、こんなふうに死を意識することができるほど大人になっていたことには、内心びっくりさせられていた母だった。
子どもは、目に見えないところで、確実に日々成長を続けているものらしい。

[02/03/23(土) 07:19]

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