二次障害
さて、ADHDっ子たちが、脳に小さな小さな障害を負って生まれてきたために、うっかり屋で落ちつきない人間になってしまっていることは、昨日の日記に書いたとおり。
でも、本当はね、ADHDっ子たちも、他の子たちと同じように「きちんと」「落ちついて」生活したいとは思っているんです。
と言うか、自分ではちゃんとそうやっているつもりなんですね。
ところが、なにしろ脳の働きがそういうことにあまり向いていないものだから、実際には他の子たちのように「きちんと」することができない。
そうすると、先生や親たちから叱られてしまいます。「どうしてキミは他の子たちみたいにきちんとできないんだい?」
どうして、って言われたって、本人にだって分かりません。だって、自分では一生懸命やっているつもりなんだもの。それなのに、どういうわけか、他の子たちみたいには上手にできないのだもの。
すると、大人たちは怒ります。「キミはやる気がない怠け者なんだ! 先生を(親を)バカにして、言うことを聞かないでいるんだろう!」・・・そんなふうに叱られたりしてしまいます。
ADHDっ子は、何度も叱られるうちに、自分自身に間違った思いこみを持つようになります。
「自分はダメな人間。怠け者で言うことが聞けない、悪い子ども。自分はこの世から必要とされていないんだ。自分なんていない方がいいんだ」
そうして、やがて思春期に入り、「自立」の時期を迎える頃には、ADHDを持つ子供たちはすっかり自分に自信をなくしてしまって、自分の足で人生を歩き出せなくなっています。
不登校、引きこもり、鬱、自殺・・・逆に、自分を理解してくれなかった大人たちに逆襲を考える子どもたちもいます。家庭内暴力、クラス内暴力、非行、犯罪・・・。
もともとのADHDっ子たちが、そういうマイナスの要素を持っているわけではないのです。
でも、長い年月の間に大人たちが与え続ける「マイナスイメージ」が、その子から自信と生きる力を奪って、悲しい行動へと向かわせてしまいます。
これを二次障害と呼びます。ADHDが直接引き起こすのではなく、まわりの人たちの無理解と間違った対応から引き起こされてくる障害です。
ADHDっ子を育てていく上で一番気をつけなくてはならないのは、実はこの二次障害の問題なのです。
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ADHDっ子たちは、確かに、うっかり屋で落ちつきがありません。
でも、それはそれとして、別のところに目を向けてみれば、他の子たちには真似できないくらい素晴らしいものをたくさん持っています。ADHDっ子は、本当はとっても魅力的なのです。
自分の良いところに気がついて、自分を好きな人間になっていけること。
ADHDを持つ昇平を育てながら、母はいつもそのことに一番心を砕きます。
自分が好きでさえいられたら、そして、自分自身の良いところを自分で見つけだせるようにさえなれたら、ADHDがあったって、きっと自力で自分の人生を切り拓いていけるようになることでしょう。
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今日は昇平の入学式でした。
いよいよ小学校生活のスタートです。
「友だち100人できるかな」の歌に合わせて入場行進してきた新一年生たち。
昇平も、たくさんたくさん友だちができて、その中で、自分自身の良さを少しずつ見つけて行けたらいいな・・・。
そんなふうに思いながら、拍手で入場を見守った母でした。
[02/04/08(月) 16:25]