昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

入学式

4月8日。満開の桜が作る薄紅のトンネルをくぐって、昇平はピカピカの一年生になった。

朝から緊張のしどおしで、今日は母が最後まで一緒にいることで、かろうじて不安をこらえていた昇平。とても真剣な顔つきで学校に入っていった。
昇平は情緒障害児学級と呼ばれる特殊学級に所属するのだけれど、同時に1年生の教室にも所属していて、行事や教科によっては、そちらの普通教室で他の同級生と一緒に過ごすことになる。この普通学級を「協力学級」と呼ぶのだが、入学式の日は、ずっとこの協力学級で過ごした。
ロッカーにランドセルをしまい、椅子には座ったものの、母がそばから離れるとすぐに母を呼ぶ昇平。
「大丈夫だよ。教室の後ろにちゃんといるよ」と言い聞かせているところへ、特殊学級の担任の森村先生がやってきて昇平に声をかけ、デジカメで写真を撮ってくれた。昇平、たちまちカメラに向かって笑顔でピースサイン。おやおや。さっきまでの不安顔はどこへ行ったのかな〜?(笑)
これでリラックスできたのか、その後は、母が離れてもちゃんと椅子にひとりで座っていられるようになった。森村先生、感謝です。(^_^)

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とはいえ、落ち着かないのは昇平ばかりではなかった。
初めての小学校が嬉しくて、興奮して、あるいは不安で、あっちでもこっちでもそわそわ、もぞもぞしている新一年生たち。
体育館に移動して入学式が始まってからもそれは同じで、後ろを向く子、しきりに隣としゃべっている子、校長先生のお話に「元気に」返事をして、さらに自分のことを話し出す子・・・と、なかなか活発。
後ろの保護者席からそれを見ていて、子どもたちの押さえきれない嬉しい気持ちが伝わってくるようで、何とも本当にほほえましかった。

昇平は、というと、隣の子に話しかけられて何か話しているらしい場面はあったものの、ちゃんと前を向いて座り続けていることができた。入学児童の名前を呼び上げられたときにも、あまり大きい声ではなかったが、ちゃんと「はい」と返事をして起立できたし、皆と一緒に着席することもできた。騒いだり、はしゃいだりすることもなかった。むしろ、他の「普通の子」たちの方が落ち着かないくらいだったので、見ていて、なんだかおかしかった。
この、式典の時の態度は、保育園でしっかりと身につけてきたことなんだよね。
保育園では生活習慣を基礎から作り上げてもらってきたのだけれど、こういう場面に出会うたびに、ほんとうにありがたかったな、と保育園の先生たちに感謝をしてしまう。

入学式の後、保護者は残って役員の選出。子どもたちは教室で担任のお話を聞いたのだが、昇平はそこでも落ちついていたらしい。先生の読む紙芝居も、皆と一緒に聞いていたという。
でも、すべてが終わって教室に戻ったら、昇平は自分の席で目をこすってあくびをしていた。やっぱり、緊張して、とても疲れたんだね。ご苦労さま。

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その夜、障担の森村先生から入学おめでとうのメールが入ってきた。こんな文面。

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とってもすてきな入学式でしたね。前を見て,お客さんのお話を聞いている姿を見て,とても立派だなぁと思いました。今日はどんな式なのか,しっかり感じ取っていたのですね。
式が始まるまでは昇平くんのことが気になっていましたが,式が始まってからは,いらぬ心配だったことにすぐ気づきました。その後は,他の子どもたちが,慣れない環境に舞い上がっていたので,そちらのほうの指導が忙しくて・・・という感じでした。
いつもよりずいぶん早く咲いたサクラが,散らずに待っていてくれたのも,今日の昇平くんの立派な姿をほめてくれるためだったのかもしれませんね。

あしたも元気に会えるのを楽しみにしています。それではまた。

                                  森村

[02/04/09(火) 15:01]

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