昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
「昇平くんは、どうしてゆめがおかなの?」
今朝、昇平をゆめがおか学級に送っていったときの話。
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障害児学級のゆめがおか学級は、学校の1階、1年生の教室の前を通って行くようになっている。
朝の登校時間。
子どもたちが続々到着しては、それぞれの教室に入って着替えをしたり、学習の準備をしたりしている。
すると、1年2組の教室から、昇平と同じ保育園だったMちゃんが出てきて私たちを見つけ、声をかけてきた。
「昇平くんのお母さん、昇平くんは何組になったの?」
同じ学校に入ったはずなのに、なかなか昇平の姿を見かけないので、どこにいるんだろうと思ったのだろう。
そこで「昇平くんはね、ゆめがおか学級と1年3組に入ったんだよ」と教えた。
Mちゃんは、ちょっとびっくりしたような顔をした。
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昇平をゆめがおか学級において、廊下を戻っていくと、1年2組の前でMちゃんが待っていた。
「ねえ、昇平くんは、どうしてゆめがおかなの?」
わけを知りたくて、ずっと待っていたらしい。
そりゃそうだよね。保育園時代は同じクラスで、他の子たちとまったく隔たりなく同じように過ごしてきたんだもんね。
自分たちは1年生の普通の教室に入ったのに、どうして昇平だけゆめがおかになったのか、納得できなかったんだろう。
そこで、にっこり笑って、こう話してあげた。
「昇平くんはさ、お話しするのがあまり上手じゃないでしょう?」
「うん」とうなずくMちゃん。
「先生のお話も、すぐそばでよ〜く言ってもらわないと、なかなか分からないでしょう?」
「うん」
「だからね、普通の教室だと先生のお話が分からなかったりして、よくお勉強できないのよ。それで、ゆめがおかに入って、先生にていねいに教えてもらっているの。そして、時々、1年3組で一緒にお勉強しているんだよ」
「ふ〜ん」
Mちゃん、分かった、という顔になって、教室に戻っていった。
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子どもが障害児学級に入ると、時々、子どもたちから「どうして○○ちゃんは障害児学級に入ったの?」と質問されるようになる。
大人は知りたくても遠慮して尋ねないことが多いけれど、子どもたちは遠慮がないから、疑問はストレートに口にする。
それが精神的に辛い、とおっしゃるお母さんも結構いる。
私だって、子どもからそれを聞かれると、一瞬ドキッとはするのだ。
でも、子どもたちはとても純粋に「どうしてなんだろう」と疑問に思っているので、たいてい、それ以上のニュアンスはない。
だから、私も、子どもに分かるようなことばで、ありのままに説明することにしている。
ADHDだとか障害だとかいう難しいことばを使わなくても、彼らに納得がいく説明はできるから。
まっすぐに説明してあげると、彼らもまっすぐにそれを理解してくれる。
そして、その後も、昇平に対する態度は全然変わらないのだ。
彼らのような素直な気持ちで、ゆめがおかの子どもたちを受け止めてもらえたらいいな、と思う。
障害児学級に通うことは、恥ずかしいことでも劣っていることでもなく、ただ、自分に合った学習と生活の場がほしいから、そこに所属しているんだということを、ありのままに受け入れてもらえたらいいな、と・・・。
[02/04/17(水) 08:49]