昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
児童館への道
「児童館への道」
昔、ブルース・リー主演の「ドラゴンへの道」という映画があったけれど、今回のタイトルはそれとはまったく無関係。
純粋に「児童館への道」の話です。(笑)
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昇平は、ご存じの通り、学区外から通学しているので、小学校の周辺の地理はほとんど分からない。
登下校も母の車なので、小学校に至る道さえよく知らないでいる。
通常なら、車の中から景色を見て道を覚えたりもするのだろうけれど、何しろ彼はとっても素敵な不注意ボーイ(笑)。景色から道順を覚えるなんて、期待できるわけもない。
ところが、週に2回、母が仕事に出かける日には、昇平は児童館に行かなくてはならない。
これまではコース別に分かれて、先生の引率で行っていたから良いけれど、まもなく自力で行かなくてはならなくなる。
そこで、小学校から児童館までひとりで歩いて行けるかどうか、日曜日に練習してみることにした。
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用事のついでに旦那の車で小学校まで行き、昇降口に昇平をおろした。
「お父さんとお母さんは、車で先に児童館に行って待ってるからね。昇平くんは歩いておいでね」
ひとり学校の前に残された昇平、とても不安そうな顔。「お母さんもいっしょに行こう〜」なんて言っていたけれど、いざ車が走り出すと、後を追って走り出した。
児童館は、小学校の坂を下った、すぐ目と鼻の先。300mくらいしか離れていない。
それでも、途中に小さな交差点があるので、旦那に頼んで、私はそこで降ろしてもらった。
振り返れば、昇平がすごい勢いで坂を駆け下ってくるのが見える。
「おかあさーーーん、こわいよーーー!」なんて声を上げながら。(^_^;)
たかがそれくらいの距離で(母も子も)大げさな、と思われるかもしれないけれど、実は、昇平は自分一人で外を歩いた経験がほとんどないのだ。
不注意が強く、多動性もあるので、何かに夢中になったり、ぼーっとしていたりすると、まわりを見ないで車道に出ていったり、側溝に落ちたり、看板にぶつかったりしかねないので、とてもひとりで歩かせられなかったのだ。
もっと昔には、どこへでもひとりで歩いていく子だった。
周囲の危険などまるで気にすることなく、自分の行きたい方向へどんどん歩いていってしまい、疲れて果てて、母におんぶされて帰ってくる、というのが彼の散歩だった。
手をつないで歩くことも難しかった。
周囲がまったく見えていなかったし、自分が迷子になるだろうとか事故に遭うかもしれないとかいう危険も、まるで思いつかなかったのだ。
あのころから比べたら「一人歩きが怖い」という今の状態は、ものすごい進歩。
だんだん、いろいろなことが分かってきたからこそ、「こわいよーーー!」と言えるのだから。
ただ、だからといって、いつまでも大人といっしょでなくては歩けないようでは困る。
ので、本当に短い距離ではあるけれど、自分だけで目的地まで歩く練習をしてみたのだ。
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坂を下りきった横断歩道で、昇平と合流。
ここだけは、ちょっと心配だったので、そばにいることにした。
「横断歩道はどうやって渡るんだっけ?」と聞くと「右見て左見る」と言いながら、左を見て右を見て(^_^;)、横断歩道を渡っていった。・・・まあ、ちゃんと左右確認したんだからいいか。(笑)
横断歩道を渡ると、「もう少しだ」と自分で言いながらどんどん歩いていき、とうとう児童館の入り口につくと「やったー! ついたー!」と歓声を上げた。
駐車場で待っていた旦那の車に乗り込むと、「昇平くん、ごくろうさま」と旦那が声をかけた。
ちょっと得意そうな昇平の顔。
「これで、自分一人でも児童館に行けるね」と言うと「うん」とうなずいた。
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実際には、児童館に行く日には、協力学級でお帰りの会をして、児童館へ行く子たちといっしょに歩いていくことになるので、たったひとりで児童館へ向かうことはほとんどないかもしれない。
それでも、いざというときのため、万が一というときのため、あらかじめ練習できることはしておきたいのだ。
今、昇平はすごいスピードでいろいろなことを身につけている。
小学校に入って、自分でできることが増えて、自信を増やしているところなのかもしれない。
ほんの300mの児童館への道。
でも、昇平にはきっと、とても長くて意味のある道だったんじゃないかな・・・と思っている。
[02/04/21(日) 17:11]