昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

作文の作り方

先日、昇平は遠足に行ったときの様子を作文に書いた。
4月26日の日記にそのことはレポートしたけれど、先生からの連絡帳にその時の様子が書かれてきたので、もういちど作文を載せてみる。

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きのう。えんそくで、ありに。えさをあげました。ありさんは。おかしをはこびました。

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たったこれだけ。
句読点の付け方にもことばの使い方にも、おかしなところがあるけれど、昇平が自分のことばで自分の体験を作文につづったことが、母にはとても嬉しかった。
森村先生からの連絡によると、この作文は、こんなふうにして作られたのだという。

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作文、いっしょうけんめい書いていました。

森:「遠足、いつだったの?」
昇:「きのう」

私、わきの紙に小さくメモ。

森:「いっぱい遊んだ?」
昇:「アリさんにおかしあげたの」

(ありさん)(おかし)をメモに追加。

昇:「先生、何? それ?」
森:「昇平くんが言ったこと、忘れないようにメモしたよ」
昇:「みせて・・・」

じっと見たあと、席に戻って書き始めました。それがあの作文です。
まず、頭に浮かんだことを確実に書くことを目標に、「文章を書く力」を育てたいと思います。

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やはり、背景に的確で上手な指導があった。

作文指導をするとき、原稿用紙を渡して「さあ、遠足を思い出して、その時のことを書きましょう」とおっしゃる先生が時々いるけれど、それではよほどの文章力がある子どもでなければ、なかなかうまく書き出せない。
実は、私の小学1、2年生の時の担任がこのタイプで、私は作文の時間がイヤでイヤでたまらなかったのだ。
当時は、作文が下手な自分のせいなのだとばかり思っていたのだが、今にして思えば、書く内容も浮かんでいないうちから「さあ、紙も鉛筆もある。書けるはずだ。書け書け!」と強制することのほうが無茶な注文だったのだと分かる。
まったく、あれは作文ではなく苦行の時間だった。

でも、まず頭の中に遠足の時の体験を思いだし、次に、それをことばにしてメモに取り、そのメモをもとに文章を作る・・・というように、手順を踏みさえすれば、昇平にだってこんなふうにちゃんと作文が書ける。
先生の指導に応えるように、昇平が自分から作文を書き始めた様子が伝わってきて、私はますます嬉しくなった。

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森村先生は、学級の子どもたちが他のクラスの先生にお願いに行くようなときには、まず自分の前でことばを言わせてから、実際に子どもを行かせるように指導している。
適当でない言い方をしているときには、さりげなく直し、何と言っていいのか分からないでいる子には、言うべきことばを一緒に考えてくれる。
作文の指導と、基本は同じ。頭の中の言いたいことを、確実にことばにする練習なのだ。

日常の中の、小さな体験の積み重ねは、やがて、きっと子どもたちの社会性を大きく伸ばして行くだろう。
昇平の小さな作文を通して、そんな将来像まで見えてきて、ますます楽しみな気持ちになった母だった。(^_^)

[02/05/01(水) 15:33]

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