昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

リタリンの話・4

今回は、リタリンに関してよく聞かれる疑問について書いてみたいと思います。
ただし、私は専門家ではありません。中には、勉強不足や勘違いなども含まれるかもしれません。
あくまでも「朝倉はこう思っているのだ」と解釈してください。

   ☆★☆★☆

Q1.リタリンはいつまで飲み続けなくてはならないのですか?

子どもにリタリンを始めるとき、誰もが必ず気になることです。
でも、残念ながら「いつごろ」リタリンとお別れできるか、それはお医者様にも分からないのです。

本人の発達が良く、どんどん落ちついた行動などがとれるようになれば、半年程度で終了できるかもしれません。でも、子どもがかなり大きくなるまで必要になることもあります。
大人でリタリンを飲んでいる人たちもいます。(ただし、その人たちが子どもの頃にはADHDもリタリンもまったく知られていませんでした。大人になってからリタリンを開始した人たちです。)
どのくらい本人が成長していくか、本人がどんな環境に置かれるか、どのくらいの困難を抱えるかで投薬期間は変わってきます。
普段はリタリンを使わず、修学旅行や試験、運動会などのときだけ選択的にリタリンを出してもらうこともあるそうです。


Q2.長期間リタリンを飲ませ続けていて副作用は心配ないのでしょうか?

多くのお医者様や数々の調査データが、その心配はほとんどないと言っています。

一番よく聞くのが「依存症になってしまうのでは?」というものですが、特に子どもの場合、依存症の心配はないそうです。

「覚醒剤のように幻覚を見るようになるのでは?」という質問もよく聞きます。これも、お医者様の処方された薬を飲んでいる限り大丈夫です。(誤って一度に大量に飲んでしまったときには幻覚が起こることもあるそうですが・・・)

「リタリンを飲み続けていると、ホルモン剤を長期使用したときのように、体がドーパミンを出さなくなるのではないか?」という質問を受けたこともあります。主治医に確認しましたが、そういう報告は聞いたとがないそうです。

「リタリンを長期間飲み続けると背が伸びなくなる」という説は現在ではほぼ否定されています。

リタリンは、アメリカではすでに30年以上使われていて、高い安全性が確認されているお薬なのです。


Q3.リタリンにはドラッグホリデーを設けると聞きましたが。

ドラッグホリデーというのは、休薬日のこと。つまり、毎日お酒を飲む人が休肝日と称してアルコールを飲まない日を設けるように、リタリンを飲まない日を作ること。
理由は、リタリンをずっと服用していると効きが悪くなってくることがあるから。
たいてい、学校のない日曜日(今年からは土曜日も含まれるかな?)や長期休暇の間にお休みします。
ドラッグホリデーを設けることで、リタリンの効果が落ちてくるのを防ぎます。

ただし、これにも考え方はいろいろあって、アメリカには、ドラッグホリデーを設けずに毎日リタリンを飲み続けた方が良い、という調査報告もあります。
実は、昇平もドラッグホリデーは無しです。薬を休んでしまうと、昇平の調子が崩れてしまうことが多いし、薬を飲んでいないと、とたんにこちらの言うこともよく理解できなくなってしまって、発達に影響が出てくるからです。もう2年以上、ほとんど毎日飲み続けていますが、今のところ、薬の効き目が落ちてきたようには感じられません。


Q4.ADHDのお薬にはリタリン以外にどんなものがありますか?

リタリンが効かなかったときや、リタリンによる副作用が強すぎて、量を調節してもおさまらなかったときなどには、第二選択薬と呼ばれる他のお薬を使います。
抗鬱剤、抗てんかん剤などが使われます。(たくさん種類があるので名前は省略します)
ADHDに鬱病やてんかんのお薬が出されると、たいていの親はギョッとしてしまいますが、いずれもADHDに効果が認められているものなので、安心してください。


Q5.リタリンさえ飲ませておけばもう大丈夫ですか?

これに関しては、第1回目のADHDの起こる原因とリタリンが効く理由のところを読み直してください。
リタリンには一時的にADHDの症状を抑えることしかできません。その間に子どもは我慢することを覚えたり、友だちや家族と仲良く過ごすやり方を覚えたり、集中して学習したりするのです。
まわりの人たちは、ぜひ、その手助けをしてあげてください。
今までできなかったことを覚えていこうとするその子を、応援してあげてくださいね。

                          (リタリンの話・完)

[02/05/19(日) 10:22]

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